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あーあ

1 :のほほん名無しさん:2006/12/28(木) 06:39:17 ID:cFC+/Sqf
 

2 :のほほん名無しさん:2006/12/28(木) 06:40:28 ID:cFC+/Sqf
私の妹が久しぶりに、桜が見たい、と私にいった。
今は冬である。
本来なら、無理をいいなさんな、といってなだめる私だが、今回ばかりはそれに従うことにした。
 私は東北大学院の学生で、植物系の専攻をしている。
 妹は病気で、余命はわずかであると宣告されている。だから今度は、両親に呼ばれて急遽東京に戻ってきたのだ。昔から桜が好きだった妹も、今は中学一年生である。私とは大分歳が離れている。
私から見たら今でも十分小さい時なのだが、妹が小さいときに熱を出して寝ていた、ある冬の日のこと。
「お兄ちゃん。わたし桜がみたい」
 と妹はぼんやりとした顔つきで言った。
 私はそのとき高校三年くらいであったはずである。
「無理いうなよ。今は冬だよ」
とたしなめた。
しかし妹は足をバタつかせて、
「みたいみたいみたい!」
 とカナギリ声をあげた挙句、泣き出してしまった。熱だというのに、この元気は……と私は思った。
それに困った私は、
「わかったから。お兄ちゃんが取ってきてやるから。泣くなって」
などと言ってなだめた。
するとすぐに泣き止んで、早く取ってきて、と笑顔で言うのだ。
私は外に出てしばらく歩きながら考えていた。
考えていると、良いアイディアが一つ浮かんだ。
桜に似た花に、根っこから白い液体を染み込ませて、桜モドキを作ろう。幸いその桜に似た花は、そのとき私の部屋にあった。花が好きであるから、いくらか収集していた。
少しの違いなど、妹にはわかるまい、と思っていた。
それは簡単に即席で作れた。
それを持っていくと、受け取ったときはやや怪訝な顔でその桜モドキを見つめていたが、そのうち、「お兄ちゃんありがとう!」と受け取った。
 それから妹は、
「わたし、本当はもう、お熱下がってるの」
 怒られまいかと慎重に言っていた。



3 :のほほん名無しさん:2006/12/28(木) 06:41:09 ID:cFC+/Sqf
そんな桜好きの中学生になった妹が、あの時と同じ冬の日に、病床で私に弱弱しい声で言ったのだ。
「お兄ちゃん、桜が見たい……」
 可愛らしいピンク色のパジャマが、私にはもの悲しく写った。顔色は不思議とまだいい。

だから私は、妹のささやかな願いを叶えるために、桜を持ってきたのだ。今回は本物である。
友人に言って保管してある桜をこっちに送ってもらったのだ。
横になっている妹に桜を差し出すと、桜をまじまじと見つめて、
「お兄ちゃん……ありがとう。今度は本物だ。」
れいのごとく妹の危機を知らせる機械の音が鳴り響いた。
私はクラクラと眩暈がして、医師たちにどけられた。
私は最後まで、「お兄ちゃん。わたし、本当は、病気なんて治ってるの」
と言ってくれることを願っていた。
しかし、妹はまもなく息を引き取った。
桜も、寒いとすぐにやられてしまう。妹と同時に、桜も散ってしまった。
私に残されたのものはなにもない。

 後日、私は妹の部屋から、あの時の桜モドキを見つけた。
それはしおりの押し花となって大切に保管されていた。
しおりには説明がされていた。それは当時の妹の執筆で書かれていた。
「これは、お兄ちゃんのさくら」


4 :のほほん名無しさん:2006/12/28(木) 07:45:57 ID:???
これは、クリリンのぶ〜ん!

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