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ロリショタバトルロワイアル8

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:03:34 ID:UZA1qFO1
本性を晒け出せ!
衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!



ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。

前スレ
ロリショタバトルロワイアル7
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1173267370/
過去スレ
ロリショタバトルロワイアル6
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1171953607/l50
ロリショタバトルロワイアル5
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1170746599/
ロリショタバトルロワイヤル4
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169810359/
ロリショタバトルロワイアル3
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169293272/
ロリショタバトルロワイアル2
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1168265134/
ロリショタバトルロワイアルをやれるか話し合うスレ
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1167045572/

テンプレは>>2以降に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8274/
まとめwiki
http://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:04:07 ID:UZA1qFO1
〜参加者一覧[作品別]〜
【魔法少女リリカルなのは】高町なのは/フェイト・テスタロッサ/ヴィータ/八神はやて/アリサ・バニングス
【ローゼンメイデン】真紅/翠星石/蒼星石/雛苺/金糸雀
【魔法陣グルグル】ニケ/ククリ/ジュジュ・クー・シュナムル/トマ
【ポケットモンスターSPECIAL】レッド/グリーン/ブルー/イエロー・デ・トキワグローブ
【デジモンアドベンチャー】八神太一/泉光子郎/太刀川ミミ/城戸丈
【ドラえもん】野比のび太/剛田武/リルル
【魔法先生ネギま!】ネギ・スプリングフィールド/エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/犬上小太郎
【絶対可憐チルドレン】明石薫/三宮紫穂/野上葵
【落第忍者乱太郎】猪名寺乱太郎/摂津のきり丸/福富しんべヱ
【名探偵コナン】江戸川コナン/灰原哀
【BLACKLAGOON】ヘンゼル/グレーテル
【クレヨンしんちゃん】野原しんのすけ/野原ひまわり
【ドラゴンクエストX】レックス(主人公の息子)/タバサ(主人公の娘)
【DEATH NOTE】メロ/ニア
【メルティブラッド】白レン/レン
【ちびまる子ちゃん】藤木茂/永沢君男
【カードキャプターさくら】木之本桜/李小狼
【テイルズオブシンフォニア】ジーニアス・セイジ/プレセア・コンバティール
【HUNTER×HUNTER】キルア/ゴン
【東方Project】レミリア・スカーレット/フランドール・スカーレット
【吉永さんちのガーゴイル】吉永双葉/梨々=ハミルトン
【ヴァンパイアセイヴァー】リリス
【MOTHER】ネス
【サモンナイト3】ベルフラウ=マルティーニ
【Fate/stay night】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
【みなみけ】南千秋
【武装錬金】ヴィクトリア=パワード
【BLACKCAT】イヴ
【からくりサーカス】才賀勝
【銀魂】神楽
【ひぐらしのなく頃に】古手梨花
【灼眼のシャナ】シャナ
【とある魔術の禁書目録】インデックス
【るろうに剣心】明神弥彦
【ボボボーボ・ボーボボ】ビュティ
【一休さん】一休さん
【ゼルダの伝説】リンク(子供)
【ベルセルク】イシドロ
【うたわれるもの】アルルゥ
【サザエさん】磯野カツオ
【せんせいのお時間】鈴木みか
【パタリロ!】パタリロ=ド=マリネール8世
【あずまんが大王】美浜ちよ
【ポケットモンスター(アニメ)】サトシ
【SW】ベルカナ=ライザナーザ
【Gunslinger Girl】トリエラ
【ぱにぽに】レベッカ宮本
【FINAL FANTASY4】リディア
【よつばと!】小岩井よつば
計86名

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:04:37 ID:UZA1qFO1
〜参加者一覧[あいうえお順(名簿順)]〜
01:明石薫/02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/05:イシドロ/
06:泉光子郎/07:磯野カツオ/08:一休さん/09:猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:イリヤスフィール(略)/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン(略)/15:江戸川コナン/
16:神楽/17:金糸雀/18:城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:小岩井よつば/25:剛田武/
26:ゴン/27:才賀勝/28:サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:ジーニアス・セイジ/32:ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:真紅/35:翠星石/
36:鈴木みか/37:摂津の きり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:太刀川ミミ/
41:タバサ(主人公の娘)/42:トマ/43:トリエラ/44:永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:ネギ・スプリングフィールド/48:ネス/49:野上葵/50:野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:野比のび太/53:灰原哀/54:パタリロ/55:雛苺/
56:ビュティ/57:フェイト・テスタロッサ/58:福富しんべヱ/59:藤木茂/60:フランドール・スカーレット/
61:ブルー/62:古手梨花/63:プレセア・コンバティール/64:ヘンゼル/65:ベルカナ=ライザナーザ/
66:ベルフラウ=マルティーニ/67:南千秋/68:美浜ちよ/69:明神弥彦/70:メロ/
71:八神太一/72:八神はやて/73:吉永双葉/74:李小狼/75:リディア/
76:リリス/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク(子供)/80:レックス(主人公の息子)/
81:レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:レン/85:ヴィータ/
86:ヴィクトリア=パワード
計86名

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:05:08 ID:UZA1qFO1
〜ロリショタロワ・基本ルールその1〜
【基本ルール】
参加者全員で殺し合い、最後まで生き残った一人が優勝となる。
優勝者のみが生きて残る事ができて『何でも好きな願い』を叶えて貰えるらしい。
参加者はスタート地点の大広間からMAP上にランダムで転移される。
開催場所はジェダの作り出した魔次元であり、基本的にマップ外に逃れる事は出来ない。

【主催者】
主催者:ジェダ=ドーマ@ヴァンパイアセイヴァー(ゲーム・小説・漫画等)
目的:優れた魂を集める為に、魂の選定(バトルロワイアル)を開催したらしい。
なんでロリショタ?:「魂が短期間で大きく成長する可能性を秘めているから」らしい。

【参加者】
参加者は前述の86人(みせしめ除く)。追加参加は認められません。
特異能力を持つ参加者は、能力を制限されている場合があります。
参加者が原作のどの状態から参加したかは、最初に書いた人に委ねられます。
最初に書く人は、参加者の参戦時期をステータス表または作中に記載してください。

【能力制限】
参加者は特異能力を制限されることがある。疲労を伴うようになっている能力もある。
また特別強力な能力は使用禁止になっているものもあるので要確認。

【放送】
放送は12時間ごとの6時、18時に行われる。内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」
「過去12時間に死んだ参加者名」など。

【首輪と禁止エリア】
・参加者は全員、爆弾の仕込まれた首輪を取り付けられている。
・首輪の爆弾が起爆した場合、それを装着している参加者は確実に死ぬ。
・首輪は参加者のデータをジェダ送っており、後述の『ご褒美』の入手にも必要となる。
(何らかの方法で首輪を外した場合、データが送られないので『ご褒美』もない)
・首輪が爆発するのは、以下の4つ。
1:『禁止エリア』内に入ってから規定時間が過ぎたとき。
2:首輪を無理やり取り外そうとしたとき。
3:24時間で死者が出なかったとき。
4:ジェダが必要と判断したとき(面と向かって直接的な造反をした場合)。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:05:39 ID:UZA1qFO1
〜ロリショタロワ・基本ルールその2〜
【舞台】
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/76.gif

【作中での時間表記(2時間毎)】(1日目は午前6時よりスタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 真昼:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【支給品】
・参加者が元々所持していた装備品、所持品は全て没収される。
・ただし体と一体化している装備等はその限りではない。
・また衣服のポケットに入る程度の雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される物もある。
・ゲームの開始直前に以下の物を「ランドセル」に入れて支給される。
「食料」「飲料水」「懐中電灯」「地図」「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」「名簿」
「ランダムアイテム(1〜3種)」。
なおランドセルは支給品に限り、サイズを無視して幾つでも収納可能で重量増加もない。
その他の物については普通のランドセルの容量分しか入らず、その分の重量が増加する。

【ランダムアイテム】
・参加者一人に付き1〜3種類まで支給される。
・『参加者の作品のアイテム』もしくは『現実に存在する物』から選択すること。
(特例として『バトルロワイアル』に登場したアイテムは選択可能)。
・蘇生アイテムは禁止。
・生物および無生物でも自律行動が可能なアイテムは参加者増加になる為、禁止とする。
・強力なアイテムには能力制限がかかる。非常に強力なものは制限を掛けてもバランスを
取る事が難しいため、出すべきではない。
・人格を変更する恐れのあるアイテムは出さない方が無難。
・建前として『能力差のある参加者を公平にする事が目的』なので、一部の参加者だけに
意味を持つ専用アイテムは避けよう。出すなら多くの参加者が使えるようにしよう。

【ご褒美システム】
・他の参加者を3人殺害する毎に主催者から『ご褒美』を貰う事が出来る。
・トドメを刺した者だけが殺害数をカウントされる。
・支給方法は条件を満たした状態で、首輪に向かって『ご褒美を頂戴』と伝えるか、
次の放送時にQBが現れるので、以下の3つから1つを選択する。

1:追加のランドセルが貰える。支給品はランダムで役に立つ物。
2:ジェダに質問して、知人の場所や愛用品の場所などの情報を一つ聞ける。
3:怪我を治してくれる。その場にいれば他の人間を治すことも可能。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:06:10 ID:UZA1qFO1
〜ロリショタロワ・基本ルールその3〜
【ステータス表】
・作品の最後にその話に登場した参加者の状態、アイテム、行動指針など書いてください。
・以下、キャラクターの状態表テンプレ
【現在位置(座標/場所)/時間(○日目/深夜〜真夜中)】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(身に装備しているもの。武器防具等)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なもの。
     収納している装備等、基本的にランドセルの中身がここに書かれます)
[思考・状況]
(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
 複数可、書くときは優先順位の高い順に)

◆例
【D-4/学校の校庭/1日目/真夜中】
【カツオ@サザエさん】
[状態]:側頭部打撲、全身に返り血。疲労
[装備]:各種包丁5本
[道具]:サイコソーダ@ポケットモンスター
[思考]
第一行動方針:逃げた藤木を追い、殺害する
第二行動方針:早く仲間の所に帰りたい
基本行動方針:「ご褒美」をもらって梨花の怪我を治す

【予約】
・キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
・期間は予約から72時間(3日)。期間終了後は、他の人が投下してもOKです。
・予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか
十分に確認してから投下しましょう。

【投下宣言】
・投下段階で被るのを防ぐため、投下する前には必ずスレで 「投下します」 と宣言を
して下さい。 投下前にリロードし、被っていないか確認を忘れずに。

【トリップ】
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 本人確認のため、書き手は必ずトリップをつけてください。

7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:26:10 ID:prah6FVv
     └-i:::::::::::::::::::::::: ,.  '"´     ``ヽ:::::::.: : ヽ、
     __...ノ: : : : : : :,.ィ´   /     ',   ヽ `丶、: : : :ト.、  ,.ィ"ヽ
.     |: : : : : : : :/  ./  /      ',   ',  「: : : : :|:.:.:ヽ: : : : : 〉ニニ、二
      ヽ.ィ: : : :/    /   ,'       l   ', `丶ト、:|:.:.:.:.:.|: : : : :ート、、ヽ
     r‐:':::::::/     ,'  ,'          !   .l i'"´: : |:.:.:.:.:.:!: : : : :_:ハ ',ヽ
.      ',_:、:::/     l   l        |l     ! ',: : : :.|:.:.:.:.:.:|: : : : L_l::', ',r
       ノ:,'     ,'l   |     l  | l !  ! |  `丶; |:.:.:.:.:.::!: : : : : :ハ::ヽ
        /:| |   ,' | ! .!l|    ,'| l l | l ,' ,|. |!´: :.!:.:.:.:.:.,': : : :r ' `¬
     /:::,! |   ..L.',_ト. |',ト   / !./l/├ /¬ ¬、).:: /:.:.:.:./: ::::::::|    |:
      /:::::ハ.ト 、 ! ..l_ヽヽ\、./ l/"´ l/_∠ |  {: : :/:.:.:.:./::::::;:::ノ|    !:
      ヽ|l ',ヽ \ !,イ `` ト  '′   ,イ"´ lヽ  ,ハr'^,-ヘ':::::::::}::!|   .!:
.        |   ト、ト.`弋..ン        弋..ン ' | .|/j〈ィ'>》_ノ"!::l !   |:
      |    l l.|. ',     、        l  ! .|:.ヾ ニフ   !::l. |   |:
       |   / / | ト、     ,.、     | l| |/      ヽ:| |l    ! >>1
.      |  / / | |_.> 、       _..-.、l l ! !          |.!   |  なのだわ
      l|  /,イ _..l l:.:.:.:.:.:.:`丶、 __..ィ´:.:.:.:.:.,' .,'::| |         | !   !
       !|_ノ' r":.:.l l:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハィュヘ:.:.:.:.:.:.:./ /:.:::! !ヽ、       .| l   |
    _..'"ィ´  ト、:.:.! .l:.:.:.:/``ヾ.ニンリ:.:.:.:.:./ ':.:.:.:.:| |:.:.:/、       ! !   !
  <._ <.|   ! ∨ ,'_:.:'-:.:.:.:.:.:.:`¬´:.:``:./:.:.:.:.:.:.:.! !;/: : \     ! l   |

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 19:55:22 ID:efl1BxdZ
.    ∧ o
      | |
   ゚ | |i 。  -―-
    !| | γ     ヽ   _\|\/
    o i| | ゚ Ll_|||_||_||_| | i   \
.     i | | !ノ |i], i〕)|  |  < いえーい>>1乙!!
   ┌i_!┐. ゝ▽.ノ|| l|   /
    (ア.|)) ̄.ゞA.ノ'\||    ̄|/|/\
     |_| ̄ ̄L|:|_,〈ヽ. \ __
      \/ァ‐r‐‐ヘ/` 、(と"
      r'(. /  !    >
    r-、>、`ァ〜r-'^ ,r'
     ゞ_ >'`〜r'`r'^
          (^ ーi
          ̄


9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 20:14:19 ID:mllZtW+Y
>>1オーツ

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 20:50:12 ID:mSAi4pag
こんなAA連投なんて容量圧迫してSS投下できる量が少なくなるだけだと思わんかね。

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 22:54:40 ID:qxXCKdV7
頑張って何か書こうかなと思ったが、受験失敗して意気消沈。。。

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:28:22 ID:lHBmPvV4
>>11
イキロ。受験浪人なんて就職浪人に比べれば何でも無いって

しかしこのロワ、ぶっ壊れる人とか黒い人が多いなw

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:30:27 ID:NvjJbyy2
まともな人はさっさと死んでいくーっ☆
刺殺撲殺首チョンパで死んでいくーっ☆

('∀`)アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:34:54 ID:efl1BxdZ
精神的にも肉体的にも強い、まっとうな強マーダー狩りができる参加者の一人や二人は
ほしい所。マーダー側にも危機感をもってほしいし。

でも、暴走ひなはよかったけどなー。

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:47:34 ID:qxXCKdV7
>>12
一つだけ。
私は厨房だから、公立落ちただけで私立がある。
でも精神的ダメージは計り知れない。
まあ、私程度の文才ならば替わりは他にもいるでしょうに。。。

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:49:10 ID:ePgsKo3V
精神的には微妙だが、リィン装備の桜には期待している>対マーダー
リィン発動による、銀髪碧眼化も併せて

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:54:36 ID:prah6FVv
強い対マーダーか。
城のどうみてもマーダーチームな前科持ち共が友情パワーを身につけるか、
あるいは……予約入ってる所がどう転ぶかだな。
なにげにどれもかなり戦力が集中したポイントだから、話の転びようによっては本当にどうなるか判らない。

学校組は数は多いし強い奴も多いんだけど、アイテムが心許ないし、
どれも泥沼の戦いになって強キャラのイメージはできない気がする。

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:54:43 ID:CZLtVRz3
フェイトは空気化してるからあんまり当てにならんし、なのはエヴァニケはマーダーと戦闘中。
やっぱり桜なしなし組が期待持てるかな。

だが、危険因子孕んだやつばっかのほうがドキドキして楽しいんだぜ!
脱出派VSマーダーの構図は食傷気味なんだよなー

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:57:05 ID:vStCwyWG
ようやく帰宅したぜ…。

>対マーダー
精神的にも装備的にもシャナ&小太郎、ジーニアス、キルアあたりに期待…、というか他に頼れるキャラが少ないw

>前スレ
やはり◆3k3x1UI5IAは素晴らしき存在! カオスの権化だ! もっと、もっと見せてくれ私に! あなたの主観に満ちた世界を…! ふふふふふぁははははは!!



20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/19(月) 23:58:54 ID:efl1BxdZ
>>16
対マーダーになりえる参加者は多いだろうけど、
戦闘で仲間が殺られるならともかく、仇を討つために無駄なことをして被害が
余計に広がる展開は個人的になにやってんだと思っちゃう。

ロワとしては面白くはないとは思うけど、人を殺害しても不屈の意志で自己を
保ちつつ、正義を貫き、いかに多数の仲間を救えるかを信じ続ける涙をこらえる主役がほしいかなっと。

普通にちらほらいるか。

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:05:03 ID:ysV6CJR5
強い対マーダーと言えば、タバサ嬢。
マーダーより怖いともっぱらの評判じゃないかw

……自身がマーダーと紙一重だけど。

22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:05:09 ID:ucdpVXSZ
強い奴がかたっぱしからマーダーに……

何て素晴らしい…またぐらがいきりたつようだ…

個人的にはインデックスに期待
まぁ、ここでも空気となりつつありますが…

23 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:13:07 ID:ZBZmMDhp
いっそのこと全員マーダー化して壮絶な殺し合いを演じたら最高なんだけどなあ……。
ああ、見たい! 出会った傍から殺し合うマーダー三昧の狂宴が見てみたい!

絶対にゲームに乗りそうにないやつが複数いるから無理か……。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:16:13 ID:22xsqUvV
明確に対主催路線で強い奴らなら、城でのんびりお茶啜ってるじゃないか。

……ってヤバいのか、こいつらも。

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:19:36 ID:ljabmERT
あー、俗に言う主人公属性な奴か。
殺し慣れてるような奴とは違うな。
ネギ勢とか、武器を手に入れたなのは勢とか……弥彦は催眠中だからなぁ。

現在登場話数トップのイエローが結構期待できるかもしれない。
ベルカナが支える形のコンビは激しくもえた。

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:24:20 ID:22xsqUvV
レッド、サトシ、ゴン、しんのすけ、乱太郎と、主人公勢が相次いで散ったからな。
……書き手的に殺しやすいから仕方ないんだけどw

ここは、のび太が一皮剥けることを期待。潜在能力はある奴だから。
元々、劇場版とかでもヒーロー性に目覚めるのが遅いスロースターターだし。
ヘタレ属性で序盤の殺害を逃れ、満を持して正義に目覚める。コレだ。

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 00:32:57 ID:3pkr/uij
銃があればかなり強いな

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 01:16:16 ID:ucdpVXSZ
トイソルジャーがあれば人間兵器が完成するな……



29 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/20(火) 18:09:52 ID:0LUHre/D
◆NaLUIfYx.g氏に質問があります。
beingにおける小太郎の状態表道具欄の

>尚小さい物ならまだ小太郎に気づかずまだ入っているかもしれません

というのは、もしかして未確認支給品のことですか?
新しい支給品を出そうとは思っていませんが、少し気になりました。

30 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/20(火) 19:41:56 ID:98x0TLIz
>>29
はい、そのつもりで記載しました。
でも未確認支給品まとめにも載っていないのですよね……orz
次の話でも出ないようですし、混乱しないようスパッと消しちゃった方がいいですかね?

31 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/20(火) 20:35:05 ID:0LUHre/D
>>30
非常に言いにくいのですが、あの文面だとまとめの方が見落としても仕方がないかと思います。

個人的にはシャナと小太郎には極端な強武器は支給されていないので、未確認枠があと一つあるのも
いいと思うんですけど…。未確認支給品0〜1という感じに修正されてはどうでしょうか?

32 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/20(火) 21:06:13 ID:98x0TLIz
そうですね、何でわかりにくい文面にしたんだろ……
◆IEYD9V7.46氏の言われた通り、未確認支給品0〜1に修正さしてもらいます
尚且つ指摘に感謝です。

33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/20(火) 21:40:02 ID:s4ZmS6ZA
【予約まとめ】

3/18(日)の予約(〜3/21(水)まで)
◆ou3klRWvAg :リルル、ククリ、ネス、イエロー
◆IEYD9V7.46 :シャナ、小太郎、イヴ、ビュティ、ブルー、双葉
◆NaLUIfYx.g :なのは、ヴィータ、勝
◆uOOKVmx.oM :エヴァ、ニケ、リリス

現在は主に状況の予断を許さないような参加者達が予約されております。
おそらくは、ここが放送までの山場でしょう。

34 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/21(水) 01:58:48 ID:J/a5dvlO
すみません。殆どのパートを書き上げたのですが、データベーススレ覗いたら禁止事項に抵触するものを書いていました。
内容は、シャナが相手の了承を得てから存在の力を吸収するというものです。
話の差し替えや登場キャラの削減も検討しているので、どうか意見をお願いします。



35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 02:09:30 ID:RmTzitpW
最近ココを読み始めた者ですが。
ごめん、すごい細かいことなんだけどさ
前スレの不思議の国のアリスゲーム ◆3k3x1UI5IA さんの作品で気になった事が
・水銀灯→水銀燈
・巴はヒナのことを「ヒナちゃん」じゃなくて「雛苺」って呼ぶと思うんだ
 内容が面白かっただけに少し気になった

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 02:35:40 ID:5mivIPap
>>34
同意を得れば可能程度に制限するなら、まあ有りなんじゃないかな。

『回避困難?で防御無効で無消費どころか回復して攻撃手段として凶悪すぎる』のが危険で、
且つ『原作で戦闘に使われてないから封印してもイメージが損なわれない、むしろ戦闘に使う方が……』
辺りが禁止指定される理由だろうから、
攻撃には使えないって事ならバランス的な問題は無いと思う。

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 02:56:36 ID:J5kcahb3
>>34
双方同意の上なら特例としてアリなんじゃないか? 
封絶と同じく戦闘に使うと凶悪すぎるってのが制限の理由なんだし。

38 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/21(水) 10:12:53 ID:k+L3mrsJ
>>35
指摘感謝です。
どうも自分1人で推敲してると、そのような見落としが消えないようで……。

そのようにwikiの方で修正しておきます。ありがとうございました。

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 10:22:17 ID:5ksA3Ae2
トウカラッシュにwktk

40 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 16:33:47 ID:2nVLADxh
質問なのですが、ミニ八卦炉の始動呪文というのは何でもよろしいのでしょうか?
それとも別の固定始動呪文があるのでしょうか?

41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 16:50:20 ID:lTe3pF5d
>>40
これといって無い(つまり何でも良い)はず。

42 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 17:10:23 ID:2nVLADxh
>>41
お答えしてくださってありがとうございますー

43 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 17:49:40 ID:lTe3pF5d
あ、ただなんでも良いのは変わりない(=元から魔術師には不要か)はずだけど、
このロワでは発動だけなら誰でも出来るように呪文のメモか何かも付いてたらしい。
原作所有者の使っていた呪文だと思われる。
原作でも必殺技名(マスタースパークとかダブルスパークとか)しか判らないし、
ボムとして瞬時発動していた位だから割と短いあるいは慣れれば省略できるものだろうけど。
使わないならそう気にしなくても良い。

44 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/21(水) 18:36:31 ID:J/a5dvlO
>>36-37
了解です。意見ありがとうございます。

完成したのですが、容量が大きく投下する時間が今は取れません。
申し訳ないですけれど、0時前後に投下になると思います。

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 18:48:55 ID:UAHerkEr
超期待して待っておこう!

46 : ◆ou3klRWvAg :2007/03/21(水) 19:14:16 ID:oEtejXUS
すみませんが、私事で今日中の投下が無理そうです。
さすがに三度目の延長を申請するのも気が引けるので
予約を破棄いたします。

しかし、もし、明後日までキャラに予約が入らないようでしたら、そのときは
“無予約”で完成したものを投下する予定です……。

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 20:02:42 ID:YIWcOFzz
予約破棄多いなあ。ちょっと残念。

48 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:30:44 ID:2nVLADxh
おし
ではなのは、ヴィータ、勝を投下さしてもらいますー

49 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:32:22 ID:2nVLADxh
3人共黙って、互いの様子を伺う。
勝はフランベルジュを構え、なのはは先ほど見せた光球を作る準備を見せ、ヴィータは格闘戦を行う構えを取っていた。
3者別々の考え、しかし求めるのは目と鼻の先にあり、地面に散らばっている勝の支給品。
僅か、僅かずつであったが、3人はそれらの距離を縮めていった。

(このままじゃまずい……!)

勝はこの状況に不満を感じていた。
このまま行くと3人は、ほぼ同時に支給品を手に入れる事になる。
支給品を守り通す事――それは防ぐべき行為であり、1番優先となるべき行動。
出来る事ならばどんな事があっても守らなければならない。
この状況において、1番有利な状況にいるのは空を飛んでいるあの子。
靴には小さな羽根がついている。他に飛べる要素がない分、信じ難いがあれで空を飛んでいるのだろう。
ならば制空権は彼女にあると言っても過言ではなかった。
だから彼女がその羽根を閉じて、地面に降り立ったのは少なからず勝に動揺を与えた。
その理由は、羽根を展開する事で魔力を消費し続けるのはまずいと思ったからである。
しかし、逆を言えば今がチャンス、ここで2人が支給品を手に入れないように妨害するしかない!
勝は完璧なるスタートを切った。ヴィータもなのはもその速さの前には対応が若干ばかし遅くなった。
その若干ばかし遅くなった間に勝は屈みこんで、小さい石を何個か左手で素早く取り、なのはの方へと投げる。
利き腕でもないし、体勢も不十分。しかし牽制用としては十分過ぎる働きを得た。
目前へと迫った小石を寸での所で避けるなのは。
そしてそのままヴィータへと向かう勝。

(落ち着け、相手を殺すような真似だけはしちゃいけない!)

50 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:33:00 ID:2nVLADxh
勝は自分がやるべき事を言い聞かせる。対するヴィータも防御の構えを見せていた。
ヴィータだけではない、もう1人――なのはもいる。故にここは一撃でしとめなければならない。
一撃で相手を戦闘不能にして、尚且つ相手を殺さないような部分。
もちろん一発で決めようとはしない。本来ならば幾多の斬撃から与える事の出来るというレベル。
しかし、今はそんな悠長な事は言ってられない。この1回の攻撃で決着をつけなければならなかった。
間合いは既にフラベルジュの射程距離内、勝は振り上げていた短剣をそのまま勢いをつけて振り下ろす。
ヴィータはその攻撃を最初っから想像していた。途中からあからさまに剣を振り上げていたからだ。
片方の膝の力をふっと抜かし、体を横に反らす。しかし、勝の攻撃はこれで終らなかった。
ぴたっとその場で止まり、手首を地面と平行にし、刃の向きを変える。
そこから先ほどよりも速い、猛烈な速度でヴィータの足を斬りかかろうとした。
足――そこを斬れば、治療しない限り行動に支障がでる。1番狙いやすく、死なない部分。
だから、気づいた時には……自分が宙に飛んでいたのは信じられなかった。

(あ……あれ……?)

脳が、頭がぐらぐらと廻る。舌を切ったのか、口からは血の味がした。
頬が言葉では表せない痛みに縛り付けられる。
そして地面に体ごと打ちつけて、その痛みによって意識を取り戻す。
その瞬間、どうして自分がそうなったのかわかった。
簡単な事だ。自分が斬る前に相手が先に攻撃を当てればいい。
自分はグーで頬を殴られて、吹っ飛ばされてた、という事になる。
その間にもヴィータは自分を飛び越えて、ドラゴン殺しの方へと向かう。
ガンガンに痛む顔を耐えながらも立ち上がる。
この間僅か数秒。しかしその数秒でなのはが攻撃に転じるのは十分な時間であった。

「……鳴り響け! 『ディバイン・シューター』、シュートッ!」

小さいが、魔力の固まりである光球がヴィータに襲い掛かる。
ヴィータにはあの攻撃がどんな物かわかっていた。
威力はそこまで高くはないが、なのはの操作の下誘導される魔法弾。
例え避けたとしても自分を狙おうと追ってくる。ならばどうやって防ぐ?
防御魔法の展開? いや極力魔力消費は抑えた方がよい。
と、その時自分の手に装備しているラージシールドの存在に気づく。


51 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:33:36 ID:2nVLADxh
(こいつなら……いけるか!?)

そう思い、主を守らんと盾を前に突き出す。
中央に宝石が組み込まれてる、一見したらただの盾だと思うが、魔法攻撃に対しても防御がある特殊な盾。
確かに自分が展開する魔法の方がいいが、向こうも威力が抑えられてる分こっちで十分! ……それがヴィータの考えであった。
結果としてそれは功を結んだ。
衝突しあう魔法弾と盾、相手はデバイスなしの上1発だけ、防ぎきるには十分。
魔力が盾から離れるようにどんどん拡散していく。
その光景に、なのはは僅かながら期待していた部分を裏切られたのであった。

(やっぱりこれじゃダメ……あれを使うしかない……)

そう思い、再度見る八角形の物体。あれならばヴィータと少年を止められるのかもしれない。
しかしそれは、あれを手に入れる暇があったらの話、ヴィータはこちらに向かって走っていく、その距離後数m。
なのはは遠距離魔法専門、対するヴィータは近距離専門、身体能力が低いなのはにとって武器も防具も何もない状態絶望的。
しかし、逃げる事は出来ない。なぜなら彼女に後ろにはヴィータが狙っている大剣が落ちている。
ここで守らなければならない……あんまし自信はないが。

「させない!」

声の方へと向くヴィータとなのは。
勝は再度小石を投げる。今度はちゃんと振りかぶり、肩の勢いもつけている。
先ほどよりもスピードはついている。狙うは大剣を狙わんとしている女の子!

「ちっ!!」

舌打ちと共に一旦後退し、距離をとるヴィータ。
そして振り出しへと戻った。ただし、違う点もある。
それは武器の位置、勝の近くにはミニ八卦炉、ヴィータの近くにはメタルイーターMX、なのは近くにはドラゴンころしが落ちている。
距離はそれぞれ数m、いつ動こうか再度機会を伺う。

52 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:34:57 ID:2nVLADxh
   * * *


その中で勝は1つの結論に至った。
2人から3つの支給品を守り通すのは不可能である事を。
1人は自分と同レベルの実力、もう1人は未だに未知数であるが、魔法みたいなのを使える。
相手に支給品を奪われぬように、且つ相手を戦闘不能状態に持っていくのはどう考えても出来ない。
ならばどうする? 答えがわかっているのに敢えて聞く自分。
決まっている、あのメタルイーターMXというのを使う以外他なかった。

(だけどどうする? どうやってこれを使って2人を止める?)

殺す
殺さない

2つの選択肢が勝の頭の中に展開される。
普通に考えたら殺すしかない。むしろあの銃を使って殺さないという展開が勝には浮かばなかった。
少しでも掠っただけでも致命傷になりかねない弾が、1秒で12発も発射される。
ならば……彼女らを殺すのか?
ドクンと心臓が勝にもわかるようにはっきしと血を全身に送った。
自分自身の手で殺すとなると話は別だ。いやでも緊張してしまう。
勝の頭の中ではどちらの選択肢を選ぶべきか絶えず悩む事になった。


   * * *


(ちっ、このままじゃいつまで経っても手に入らねぇ!)

ヴィータはどうしようもない苛立ちを、誰にもぶつけられずに心の中に抱え込む。
攻撃してきた奴を迎撃し、なのはの『ディバインシューター』をも防いだというのに少しだけ距離が縮まった程度。
お求めの武器を手に入れる為には、なのはを倒さなければならない。
しかしなのはを倒している間にも、向こうの奴が自分の近くに置いてある武器を手に入れる。
まさに動こうにも動けない状態、そんな状況にヴィータは腹立てていたのであった。
こうしている間にもはやてが危ない目にあっているかもしれない。
そう思うと早く動きたい気分でもあったが、自分を落ち着かせる。
ヴィータは相手の戦力を考えた。
なのはの方は丸腰、ポケットとかに隠し物をしていない限り武器も防具も何もない状態であるが、魔法を打てる。
少年の方はフランベルジュのみ、身体能力でいうなら自分とほぼ互角、油断できない相手。
先ほどのカウンターも偶然決まっただけ、次防ぎきれる自信はなかった。
この場合相手にしたくないのは少年の方、先に倒すべき存在だ。
それはなのは自身も同じ事を思ってる……と信じたい。
その時なのはと目が合った。
その瞬間、なぜかはわからないが、なのはが自身と同じ事を思っているという確信を得た。
このままうまく行けば成功、それ以外だったら失敗。
それは1つの賭け、代償は自分の命。
それでもヴィータは勝の方へと突っ込まずにはいられなかった。


53 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:35:32 ID:2nVLADxh
   * * *


(このままじゃ……でもどうやってあれを?)

なのはは、八角形の物体に何度も目をやる。
そしてなのはの行く手を遮らんと立っている少年。
あれさえ手に入ればこの勝負に勝てる自信があった。
しかし、先ほどのヴィータとの戦い、とてもじゃないがなのはに勝ち目はあまりない。
それを直感で感じた今、なのはからは動ける術がなかった。

(このまま魔法を詠唱しても、今度は詠唱中に攻められる……)

頼りとなるデバイスは手元にはない。あるといったら空を飛べるカード、と言っても彼女自身飛ぶ魔法は持っているのだが……
こういうときは詠唱の余裕を与えられる前衛がどうしても必要となってくる。
この状況で前衛となってくれる人は1人しかない。
と、その1人――ヴィータと目があった。
彼女があの少年の方に向かってくれるなら、これ以上のない味方である。
まぁそんな事はありえない事で……と思っていた。
しかし、その考えは一瞬で変わる。


   * * *


最初に動いたのはヴィータであった。そしてやや遅れて詠唱を始めるなのは。
2人とも勝の方を向いている。
勝はやや驚きながらも、それでも冷静に2対1になったのだと判断した。
そして口には出さないが、一時的に味方となった仲間に2人は感謝する。
1人は後衛となり詠唱に入り、1人は前衛となり敵の方へと突っ込む。

「リリカルマジカル……」
「はぁぁああ!!」

(素手で攻めてくる!?)

勝の巴投げも、ヴィータのカウンターも防御の姿勢からの反撃技。
なのに今度は向こうから攻撃に転ずる理由が勝には……わからされた。
ヴィータの左手が動く――盾を装備している左手が。
勝は咄嗟に剣を出す。ぶつかり合う剣と盾、ヴィータは盾を鈍器として攻撃に走ったのだ。
互いに力が込められる。どちらも退こうとする気はない。
フランベルジュの剣にまとわりつく炎が盾を燃やさんとするが……
勝は、ヴィータの持っているラージシールドの効果を知らない。
それは炎や冷気の魔法攻撃を受け流す魔法の盾。
つまりフランベルジュはこの戦いにおいてはただの剣と成り下がる!
ならば力で押し通す。どちらも自身の持てる最大限の力を発揮しようとした……が。
ヴィータはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、そのまま盾を自分の手から外した。
それと同時に、

「……鳴り響け! 『ディバイン・シューター』」

一歩下がるヴィータ。無意識の内に盾を手に取る勝。そして魔法弾を放とうとしてるなのは。

「シュート! アクセル!!」


54 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:36:44 ID:2nVLADxh
今までとは最後の詠唱が違う。それは自身の魔法弾の加速度を上げる追加詠唱。
さらにそのラージシールドにはもう1つの効力――敵の攻撃を惹きつけ効果。
先のヴィータは盾を前に突き出していたので、なのはの魔法弾を簡単に防いだ。
しかし、今回は違う。
追加詠唱と惹きつける能力によって、その魔法弾の加速度は最大へと変わる。
勝は目の前に集中しすぎた。しすぎたからこそ、なのはの魔法弾を避けれずに直撃した。

「グッ……ハッ……!?」

腰からあまりよくない音が出てくる。魔法防御も何もない勝である。その被害は無論酷くないわけがない。
そのまま宙に浮いて、吹っ飛ぶ勝。
ちゃんと握っていなかった盾が勝の手から離れ、それを掴むヴィータ。
1人が倒れた今、2人がすべき事は自身が欲する支給品を手に入れる。
なのはは靴から羽根を伸ばして高速飛行し、ヴィータの靴には魔力が包み込まれた。
勝が倒された今、先ほどの関係は崩れ2人は敵対関係へと戻った。
このとき大事なのはいかにして早く武器を手に入れるか、ここで再度戦ってもジリ貧合戦、終わる要素がない。
そして……2人はほぼ同時にそれぞれの武器の下へと辿り着いた。
ヴィータは指輪に祈りを込める。先ほどまで使った魔力を回復しようと目論む。
指輪から小さな輝きと共に、自分自身魔力がやや回復したのがわかった。
だがそれは微々たる量、これだけじゃまだ不安が残る。
ヴィータは再度指輪に祈りを込めた。


   * * *


なのはは、ミニ八卦炉を手にしてから困った。
即ちどう使えばいいかわからなかった。
ストレージデバイスなのだろうか? とりあえず意思はなく話してくる様子もない。
どうすればいいのだろうかと辺りをキョロキョロ見渡すと、そこには小さな紙が落ちていた。
慌ててそれを取り、内容を見る。
そこには、このデバイスの発動詠唱と共に注意書きが書かれてあった。
なのはは2つに驚きを感じる。
1つはこの呪文の始動キー、4つ呪文があるがどれも同じ始動キーであった。しかし、正直いってあまり言いたくない詠唱である。
そしてもう1つは注意書き、

『きをつけないとじぶんもやかれてしまうぞ byメイオウじぇだ』
(そんなに威力の高い魔法なのかな……?)

なのはは疑問を覚えながらもその注意書きの対処を考える。
ようはその威力が凄まじくて、自分に振りかかる。ならば、その対処はなのはの頭には1つしかない。
早速その魔法の詠唱を始める。


55 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:38:11 ID:2nVLADxh
「守護する楯、風を纏いて鋼と化せ……」

そして振り返る。そこにはタイミングよく、あのとてつもなく大きい剣を持ち上げているヴィータの姿がいた。
考えている暇はない、むしろ恥ずかしがっている暇はない。
なのははミニ八卦炉を前に出す。そして詠唱を続ける。

「すべてを阻む 祈りの壁 来たれ我が前に! ワイドエリアプロテクション!」

ミニ八卦炉と手を境に展開される広域防御魔法、これで自分に振りかかる炎を防ぐという考えであった。
ヴィータも気づき、その大きい剣を持ちながら向かってきた。
こちらも迎え撃つ、威力の高いであろう上から3番目の魔法を叫ぶ。

「にっくきターゲットを狙い、放つは恋の魔砲! ファイナルスパーク!!」


   * * *


(くっ、間に合わないか!?)

指輪に祈る事3回、ようやく魔力も戻ってきた。
それらの魔力を早速自身の身体強化へと割り当てる。
そして持ち上げる、鉄の塊と言われてもおかしくない大剣を……
とてつもなく重量感があるが、振り回す事は出来る!
なのはの方を見る。そこには既に広域防御魔法を展開していた。
なぜ防御魔法? と思ったが、目の前には八角形の物体が自分の方を向いている。
ヴィータの勘が囁く、あれは魔法であり防がなければまずいものであると……
しかしまだ距離はあり、既に詠唱は始まっている。。多分あの魔法は発動してしまうだろう。
と、自分が持っている武器を見る。
これならば、これならあの魔法を防げるのではないのか?
なぜかそう思ってしまう自分、そしてあれこれ考える前に行動に移してしまう自分。
ヴィータは目の前にドラゴンころしを突き刺し、なのはと自分の間に割り込ませた。

「ファイナルスパーク!!」

と、なのはの魔法が放たれた。
その瞬間、高熱高圧の尋常じゃない熱量が発せられた。
ドラゴンころしを挟んでもわかる。この熱量は半端ない。
背中をドラゴンころしにあててラージシールドを顔の前に出し、体を縮ませる。
ドラゴンころしが防ぎきれない熱をラージシールドが受け流す。
かなり熱い。が、耐えられる熱さであった。
これをずっと浴びていたら間違いなくこんがり焼かれるだろう。もっともそんな風になる気はないのだが……
ヴィータは自身の武器と防具に感謝していた。
どちらかが欠けていたら間違いなく自分は死んでいたに違いなかった。いや、もしかしたら避けられるスピードでもあったかもしれない。
だがそんな事は気にする内容ではない。このまま行けば向こうの魔法は打ち切られる。そうしたらこっちの番だ。
そして10秒ぐらいだろうか? 周りには名残のように舞う紅蓮の火の粉……
なのはの魔法が打ち終わった証拠だ。
ヴィータはその瞬間飛び上がる。
2Mもの大剣を支えている柄を再度持ち、そのまま前に着地しようとする。
その勢いを利用して、地面に突き刺した剣を抜く。
なのはの方は完璧に虚をつかれいてる。
次の魔法を打てる状況はもうない。
詰んだ! そうヴィータは思った。

56 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:39:17 ID:2nVLADxh
   * * *


勝は腰の痛みに耐えながらも、立ち上がった。
骨は……折れていない、恐らく打撲程度の物だろう。
そして勝の視界には最悪な状況が展開されていた。

(2人共僕の支給品を……)

手に入れていた。もちろん「泥棒ー」とか言う気ははなっからない。
2人とも武器の方に夢中になっていて、自分の方には気づく様子がなかった。
それはそれでチャンスである。勝はズキズキする腰に喝を入れ、最後の武器の下へと向かう。
距離にしてそれは10Mあるかないか、それでも勝自身にとっては数倍の距離に感じてしまう。
と、その時である。
1人の女の子の声がした。先の言葉から考えるにそれは魔法の詠唱。
気になって目をやる勝の視界にはさらなる驚愕の光景が……
そこにはミニ八卦炉から出てくる量とは思えない程とてつもない炎が、もう1人の女の子を襲い掛かっていた。
しかし、その女の子はドラゴンろしを盾にしてそれすらをも防いでいる。
勝の思った通り、それらの武器は武器としての一線を越していた。
故に強く願う――この武器を使用不能にしなければ、と。
自然と足が速くなる。このままいけばあのドラゴンころしを持っている人が勝つであろう。
そうなる前に防ぐ。殺し合いを止める、そう願ったではないかと自分に言い聞かせる。
そしてメタルイーターMXの目の前に立つ。

(……あった、この手なら殺さなくて戦闘不能にする事が出来る!)

殺す
殺さない

再び現れる選択肢、それを1つの閃きによって選ぶ。殺さない方を。
勝はそこらへんに生えている雑草を乱暴に取って、唾をつける。
そしてそれを耳に入れて即席の耳栓を作った。
再び見る。ミニ八卦炉からは炎がちょうど切れ、ドラゴンころしの子の攻撃へと転ずる。
時間はもうない。考えている暇もない。向こうは気づく様子もないが大体距離は5M弱、きっと十分だ!
勝は仰向けとなって空を見上げる。
そのまま日向ぼっこというわけにはいかない。自身よりも長いこのメタルイーターMXを最大の力を使って持ち上げる。
地面と背中が接触している今、反動はそれなりに防げるだろう。
後は放つだけ!!
勝は意を決して引き金を引いた。


57 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:39:51 ID:2nVLADxh
途端、空気が震えた。空を揺るがす銃声が辺り一面を轟き渡す。
耳栓をしてる勝でもわかる。これは今まで聞いた音は比較にならないほどであると。
それは音と呼べるような音ではなかった。
たった1秒、1秒で12発もの弾を勝は空へと撃ち込んだ。
勝自身即席の耳栓を作ったが、キーンとずっと鳴っている。
しかし静かであった。あの1秒が嘘みたいに静寂が場を支配してた。
勝はメタルイーターMXを放り投げた。
メタルイーターMXの反動だろうか、骨がキィキィと悲鳴を上げ、ズキズキと痛み出す。
1回深い深呼吸をした後、倒れたまんま体を横に向けた。
2人共倒れていた。起き上がる気配もなく、その光景に安堵の息が吐き出された。

(とりあえず……大丈夫かな?)

勝が1つの閃きによって浮かんだ考えがこれであった。
この銃はアホみたいに大きい、加えてその銃口も大きい。
ならばこれらから発生される音はどうなるだろうか?
比例して凄まじく大きい音ではないのではないだろうか?
そして出た結論がこれであった。
弾で相手を殺すのではなく、音で相手を気絶させる。
それは賭けでもあった。これで相手が気絶しなければそれこそどうなるかわからない。
しかし、勝はその賭けに勝ったのだ。代償は体の痛みだが、それでも十分だ。
少なくとも1時間ぐらいは起きないだろう。もしかしたら聴覚に障害を起こしたのかもしれないが、そんな事は気にしていられない。
ならば後10分ぐらいはこうしていても大丈夫であろう。痛みを少し和らげるのは休息が1番、それはわかりきった事。
そしてある重要な事に気づく。

(この後どうしよ……)


58 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:40:24 ID:2nVLADxh
【B-5/谷底の空き地/1日目/午前】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:気絶、魔力消費中、少し疲労、聴覚障害あり?
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケットに入っております)
    (ランドセルごとエヴァに預けてきてしまいました)
[思考]:なし
第一行動方針:???
第二行動方針:ニケ・エヴァと再度合流し、自分の友人やニケ・エヴァの仲間を探す。
第三行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒



【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:気絶、魔力消費小、若干の疲労、巴投げされて背中に軽い打撲、聴覚障害あり?
[装備]:勇気ある者の盾@ソードワールド、祈りの指輪@DQ、ドラゴンころし@ベルセルク
[道具]:基本支給品
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:なし
第一行動方針:???
第二行動方針:はやてを探す(手段は選ばない?)
基本行動方針:はやてを見つけ出し、守り抜く。



【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲、聴力一時損失
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品のランドセル (ランドセルの中身は近くに散らばっています)
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:つ、疲れた……
第一行動方針:とりあえず少しだけ休む
第二行動方針:2人をどうするべきか考える
第三行動方針:工具を探し出し、手加減すら出来ない強力過ぎる武器を破壊or封印する。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????



[備考]:
勝の基本支給品一式(ペットボトル1本消費済み)が、3人のすぐ傍の地面に落ちてあります。
谷底の3人がいる場所は、山頂にいる3人の位置からは直接は見えません。
周囲にメタルイーターMXによる轟音が響き渡りました。

59 :ETERNAL BRAZE ◆NaLUIfYx.g :2007/03/21(水) 22:43:38 ID:2nVLADxh
投下完了ですっ!
正直ミニ八卦炉の効果にあまり自信がないです……
疑問点、問題点、指摘がありましたらお願いします〜

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/21(水) 23:20:21 ID:lTe3pF5d
GJ。
三人とも生き残ったか……勝、やるなあ。
投下乙でした。

ミニ八卦炉は、スペルカードの説明文を呪文にするのは有りだと思います。
威力もドラゴンころしなら防げて良いでしょうし。
敢えて言うなら噴き出すのは炎にはあまり見えないビームという所かな。
超極太のビームをぶっ放す文字通りの魔砲ですので。
ただ、これもビーム状の炎と考えれば矛盾無いです。

それより勇気有る者の盾の効果にちょっと問題が。
この盾の攻撃を引きつける効果って、宝石が目に付くという精神的効果なんですよね。
それがブレスを吐くような奴らに特別効果が有るというだけで。
だから勝への攻撃の加速度アップというのは起きないはずです。
この部分だけ、少し修正が必要かと。

61 : ◆uOOKVmx.oM :2007/03/21(水) 23:52:03 ID:OFxp1mt/
>>59
GJ。勝の一人勝ちとは予想外でした。
轟音の主がメタルイータートは更に予想外w(八卦炉かと思ってました)


すみません、大筋は書き終わりましたが間に合いそうにありません。
予約延長も連続になってしまうので、一度予約を破棄させていただき
書きあがった時に、まだ予約が入ってないようであれば、無予約で投下させていただきます。
三日間、キャラを拘束して申し訳ありませんでした。

62 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:31:30 ID:cCW//TK0
お待たせしました。ツンデレと廃病院投下します。
どこかで切ったほうが良かったのかもと思いつつ……。

63 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:32:46 ID:cCW//TK0
鬱蒼と生い茂る木々の中、黒髪の少年少女が恐れるものなどないかのように堂々と歩いていく。
紅世に名を馳せる天壌の劫火のフレイムヘイズ、その名をシャナ。
忍術を用いた卓越した技を持つ狗神使い、その名を犬上小太郎。

時間は昼過ぎ。
天上を通過した太陽が僅かに森の地面を照らし、まばらな光の斑点を作り出す。
二人が南を目指し始めて数時間。
不可解なことに、彼らの姿は未だ途切れることのない深森の中にあった。
真っ直ぐと着実に南を目指していればとうの昔に森を抜けているはずである。
ましてや、彼らは常人を遥かに凌駕する身体能力を有しているのだから。
ではなぜ、この二人の歩みがここまで鈍いのか?
その答えは――――。

「……ちょっと」
「ん?」
「さっきから進行方向が東にずれていっている気がするんだけど」
「はぁ? アホ言うな。なんやその言いがかりは?」
「うるさいうるさいうるさい! ずれてるったらずれてるの!」

……と、このような口喧嘩を都合30回ほど繰り返しているのである。
(主にシャナが小太郎に喧嘩を売っているのだが)
ふとしたときに互いの世界の情報交換、友人の話、他愛のない世間話がなされていたが、
なぜかその結末はいつも「うるさいうるさいうるさい!」というシャナの激昂で終わるのだ。
彼らの口論は似たもの同士であるがゆえに些細なきっかけで点火してしまう。
その度に足を止めているのだから進むものも進むはずがない。
時間に対して彼らが進んだ距離を導き出せば、まさに亀の歩みと例えるほかはないであろう。
それでも、此度の衝突は比較的短い幕切れとなり、辺りに葉のこすれあう音だけが残される。
場が静まり返った、その直後。

……ド…………ド……ドン……。

シャナの左手側。
廃病院により近いほうにいた小太郎の耳に届いたのは微かな、
しかし断続的に響いてくる――――銃声と思しき撃音。
そしてその後に続くのは、

『――――どこに隠れた、こんガキィ〜〜ッ!!』

今度の音はシャナにもはっきりと聞こえた。
微小なノイズを含んだあの声は、恐らく拡声器のものだろう。
二人は顔を見合わせながら、言葉に出さずとも事態を察知する。
先の銃声と併せて考えれば、殺人者とそれに追われるものの図式が浮かび上がるのは必定。
片や正義感から、片や有益な情報を得たいという考えから少年と少女は廃病院へと急行する。

64 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:33:27 ID:cCW//TK0



程なくしてシャナと小太郎は朽ち果てた病棟の敷地内へと辿りつき、尚も加速する。
そこには地図に載っていた図面の印象そのままの姿が存在している。
荒んだ棟と同様に、深い森を北から南まで貫く道路もところどころに大小様々な亀裂が走っていた。
二人は迅速に院内へ侵入可能な通路を探していたが、最初に目に付いたのは蔦がはびこる正面玄関であった。
内部に潜む殺人者が周到な人間であれば正面から馬鹿正直に侵入するのは無謀にも程がある。
シャナも小太郎もそのことを頭の中では理解していたが、数瞬後に両者がとった行動には僅かな差異が生じた。
小太郎が慎重を期すべくブレーキを掛けようとしたその横を、風になびく黒髪が突き進んでいく。

「ちょっと待てや!」
「何よ、怖いのならそこで待ってればいいじゃない」

どこまでも勝気で強気な態度。
もしもこの場に彼女が尊敬してやまない紅世の魔神、あるいは
相手のいかなる計略をも見破るミステスの少年がいたのなら思いとどまったかもしれない。
だが、それは所詮ないものねだりであり、今ここにその両者の姿はない。
もとより、罠があったところでまとめて叩き潰すのが炎髪灼眼の討ち手なのである。
その勢いに押されて、不本意ながらも小太郎はシャナの後を追っていった。



シャナが先頭に立ち正面玄関の扉を開けて中に入る。
その際に乱暴に扉を開いてしまったせいか、渦を巻いた空気が埃を巻き上げてしまい、二人は
軽く咳き込んでしまう。

「ゲホゲホ……アホ、もう少し静かに開けろや!」
「けほっ……私のせいだって言うの!? グズグズしてたら逃がすかもしれないじゃない!」

このまま、またも舌戦が始まるのかと思われた直後。

「――――――だああああああああぁぁぁぁっ!」

何処からか届いた、耳をつんざく叫び声がロビーに響き渡った。

「……2階やな」
「2階ね」

両者に不敵な笑みが浮かぶ。
分かりやすくて手間が省けた、二人はそう考えながら迷うことなく2階を目指して階段を駆け上った。
玄関から見えない位置。――――1階の他のフロアでは二人の少女が静かににらみ合っているとも知らずに。

65 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:34:49 ID:cCW//TK0


  *  *  *


もがいても脱出できない、深い泥のような沈黙が1階の廊下を支配する。
その中に佇む金髪の少女――イヴは自身の犯した過ちに向き合う方法、あるいは逃げ道を探していた。
平時の冷静で知的な面は見る影もなく、目の前の桜髪の少女と向き合ってどのくらい時間が経っているのかさえ分からない。
捕まえるべき犯罪者でも何でもない、一般人に向けて発砲してしまったという事実がイヴの心に重くのしかかる。
何かを言わなければならない、何かを示さなければならない、何かをしなければならない……。
堂々巡りだった思考の迷路の中。
頭を無理矢理回転させ、時間を掛けて手当たり次第取りうる手段を模索した結果、ここに来てイヴはようやく一つの答えに行き着く。

(……そうだ。私のナノマシンを使って手当てをすれば……)

イヴは体内のナノマシンの働きにより、常人よりも傷の治りが早く、怪我もしにくい。
このナノマシンとはあらゆる分野に応用することが可能であり、無機物、有機物を問わずに
干渉することができる技術なのである。
本来なら力の消耗を避けるべきであるから、初対面の双葉に対してこの力を使うことを躊躇った。
だが、ここで出会った初めての仲間であるビュティになら。
誤解を解くために誠意を見せること。
即座に応急処置をすること。
今ここでナノマシンの力を示せば、その両方を叶えることができるはずだ。

(大丈夫、分かってくれる……。また、元に戻れる……)

そう自分自身に言い聞かせ、あまりにも細く長い――しかし確実に繋がっているであろう希望の糸に必死でしがみつく。
イヴはまず、手に持っていたアタッシュ・ウェポン・ケースを床に置き、抵抗する意思がないことを示した。
それを見たビュティは口にこそ出さないが、僅かに警戒を緩めたようだ。

(平気だよね……スヴェン……)


66 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:35:53 ID:cCW//TK0
心の中に最も頼りになる存在を思い浮かべながら、勇気を振り絞る。
ありがたいことに最初の一歩を踏み出してしまえば、半ば自動化されているかのように勝手に脚が動いた。
歩きながら自身の黄金色の髪を変形させ、傷口に宛がうための接続端子を構成していく。
ビュティにとってその様は、目の前の少女が異形の存在へと変化していくように見えたのかもしれない。
何をされるのか分からないという恐怖心からか「ヒッ」という小動物のような声が漏れる。
……このままではまずい、とイヴは悟った。
やはり、撃たれたショックを拭い去るには適切な言葉をかける必要があるようだ。
ビュティを安心させ、おとなしく治療を受けさせるためには――――。
考える時間はなかった。それでも、その僅かな時間を用いて導いた言葉を押し出すようにして口にする。

「――――動かないで」

動いたら、ちゃんと治療できないから――。
イヴはそう続けようとして、しかし二の句を継ぎ出すことができなくなった。
言葉を紡いだ瞬間。
今日二回目の致命的なミスに気づいてしまった。いや、気づかされてしまったのである。
なぜならすぐ近くにまで迫ったビュティの顔に、誤解がもたらす混乱ではなく、
――――決定的な恐怖が刻み付けられていることが見て取れたからだ。
極度の精神疲労及び混乱、そして一種の職業病が連れてきたものなのか。
こんなときに限って、イヴは“掃除屋が犯人を確保するときと全く同じ言葉”を掛けてしまった。
危害を加えてくるかもしれない相手から、制止を促す命令を告げられた人間がどうなるのか。
答えは一つ。

「いやああああああああああああああっ!!」

絶叫と共にビュティが手にした仕込み傘から残弾が全て射出される。
弾丸のうち、いくつかはイヴの体を掠め、
いくつかはナノマシンで硬化させた手足に当たり、
一発だけが硬化が間に合わなかった脇腹を貫いた。

「が……はっ……」

イヴの口から、呼気が抜ける音が漏れる。
やはり体内のナノマシンの反応が普段よりもずっと重く、そして鈍い。
ビュティがどのような行動を取ろうとも取り押さえる自信はあったが、
いつもの力が出し切れないことを計算に入れるのを失念してしまった。
ナノマシンを自在に操れるようになってから、久しく味わっていなかった獰猛な熱と痛みが
イヴの体内を暴れ回る。
気が遠くなった彼女は左半身を床に打ちつけながら崩れ落ち、胸を上下させる以外の動きを止めた。
そこに、堰を切ったように激情を迸らせるビュティの追撃――――傘による打撃の雨が炸裂する。

67 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:37:00 ID:cCW//TK0

「何で!? 私、イヴちゃんのこと信じていたのに! ブルーちゃんと3人で、仲良くなれるように頑張ったのにっ!」

反射的にイヴは急所である頭部を両腕で守るように抱えた。
一撃、二撃、三撃。十を超える打音が響いたが、その音は止まらない。

「……もう、ぃやぁ……」

仕込み傘の弾丸を使い果たしたビュティは、まるで化け物を相手にしているかのように
傘に懇親の力を込めてイヴを殴打し続ける。

「みんなキライだぁ――――――ッ!!」

叫びに呼応するかの如く、殴る力が加速度的に高まっていく。……いつからそうだったのだろうか。
ビュティはつらい現実から逃げるためにその眼を堅く閉ざしていた。
自分が、一人の人間を破壊しようとしているという事実を認めたくなかったのかもしれない。
イヴの身体のどこをどのように打撃しているのかを考えることなく、ただ取り憑かれたように闇雲に腕を振るい続ける。
いかにナノマシンに守られていようとも、このまま殴られ続ければ最後に訪れるものは死だ。
1秒ごとにイヴの意識がどんどん刈り取られていく。

(……痛い、痛い、痛いよ……。……助けて……トレイン…………スヴェン……。死んじゃう、怖い、助けて……。


ビュティが何かを叫んでいる。イヴには何も聞こえない。


(い……た、い……だれ、か……)


ビュティが傘を叩きつける。イヴは何も感じない。


(……もう……だ、め……)


意識を保つのにもやがて限界が訪れる。
そのときだった。

68 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:38:01 ID:cCW//TK0


――イヴよ。


(……だ、れ……?)
聞こえたのは、ある男の声。
気が付けば、イヴの身体は何もない空間の中にあった。
いや、何もないというのは正確ではない。
イヴに背を向けて立つ、スーツ姿の男のシルエットがあったのだ。
男は重く、言い聞かせるように口を開く。


――何をやっているんだ、駄目じゃあないか。


(……スヴェン、スヴェンなの?)
やっと、自分のことを迎えに来てくれた。
歓喜に湧いたイヴはその男の背中を目指して足早に駆けていく。
少女が真後ろに来る頃合を見計らって。
男が、イヴのほうへと向き直った。



――――鬼は人間を狩るものだぞぉっ!! 忘れたのかぁっ!



刹那。
一陣の風が、肉を打つ鈍い音をさらっていった。
同時に、頑なに眼をつむり続けていたビュティを奇妙な浮遊感が襲う。
自分の平衡感覚が狂ったのでなければ、今、自分の身体は天井のほうを向きながら落下している。
さっきまで我武者羅に叫んでいたのが嘘のように、ビュティの脳裏に冷静な思考が展開される。

(落ちてる……まさかね。そんなバカなこと起こるわけないでしょ……常識的に考えて。
 ……あれ。何で頭の中にボーボボが出てくるの? それに首領パッチ君にへっくんまで。
 あー、まだいっぱい来る。1人、2人、3人…………って、やめてよ!
 あんまりたくさん来られてもキャラ紹介しきれないじゃんか!
 ……もー、どこからツッコミ入れればいいんだろ……。
 だいたい、みんな何しに来たの? それに、そこにいるのは――――)

69 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:38:52 ID:cCW//TK0

「お……に、……ぃ…………」

おにいちゃん、という呟きが最後まで形作られることはなかった。
意識がどこまでも深い闇に落ちていく。
ビュティは今際の際にたった一人の兄を思い、そしてあまりにも呆気なくこの世を去った。


惨劇の廊下に残されたモノ。
金髪の少女の髪は鋭利なナイフ――血に濡れたナノスライサーへと変化。
超極薄のナノオーダーの刃は、バターを切るように容易く人体を両断した。
肉を断ち、背骨を断ち、命を絶つ。
一つ一つの細胞を潰さずに、その結合だけを断ち切られた胴体断面は、
どんなに精巧な標本よりも雄弁に人体内部の様子を語りかけてくる。


人を殺したという事実を前に、しかしイヴは辛うじて発狂することを免れた。
いっそのことそのまま狂ってしまったほうが、彼女にとっては幸せだったのかもしれない。
人は正気を失わない限り、思考を続けてしまうのだから。
何も考えたくないはずなのに、自分が殺してしまった少女の最期の言葉を否応なしに反芻してしまう。

「……お、に……。…………鬼、……か。……そう、だよね……。
 やっぱり、あなたにも私がそう見えたんだよね……」

それは一つの思い違いだった。
為す術なく殴られ、限界を迎えようとしていたイヴが幻覚の中で聞いたトルネオ・ルドマンの“鬼”。
ビュティが死に際に呟いた、本人が意図していなかった“鬼”。
二つは折り重なり、イヴに非情な現実、過酷な事実を容赦なく叩きつけてくる。
彼女の壊れかけた精神を更に突き落とすのに、これ以上の言葉はありえない。

「……ゴメン、なさい……。……ごめん、……な、さい。
 …………スヴェン、……わたし、また、鬼になっちゃったよ……っ……」

頬を伝う涙の道は途絶えることなく、静かに流れ続ける。
朽ち果てた廊下に、人間だったモノと、抜け殻のような少女だけが取り残された。


  *  *  *



70 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:41:07 ID:cCW//TK0
シャナと小太郎が院内に侵入する少し前。
2階では一つの弱いものいじめがその幕を閉じようとしていた。
タイマン勝負をいじめとするのは些か疑問が残るところだが、不意打ちあり、凶器あり、
年齢差身長差体重差ありという極悪ルールが採用されているのだから弱いものいじめと何も変わらない、双葉はそう思っていた。
この勝負に勝敗があるのかはまだ分からないが、現時点での勝者は上から見下ろしてくる仮面のナースで敗者は汚い床に這いつくばる傷だらけの自分である。
しかし、このまま終わるつもりなど毛頭ない。
五色町に知れ渡るガキ大将、吉永双葉は淡々と勝機を狙っていた。
胸に異物が挿入されている不快感と、度重なる戦闘による銃創、刺し傷、
失血の四重奏は双葉の意識を飛ばそうと代わる代わる責めたててくる。
鉄のように重くなりつつある瞼は、力を振り絞ってもほんの僅かしか開いてくれない。
だが、それで充分だ。
薄目であっても、正面から自分を刺してきた仮面ナースの姿が見えるのだから。
このまま死んだフリをしていれば、ランドセルを奪おうとこちらの間合いに入ってくるはずだ。
そのときが、ラストチャンス。
何もしないでやりすごそうとか、助けがくるまでじっとしていようなどという考えはありえなかった。
自分はもう、長くはもたない。治療だって誰かの手を借りなければならないし、
その誰かが都合よく来てくれるという楽観的な考え方をすることも出来なかった。
まだ廃病院にいると思われる3人がどうにも信用ならなかったからだ。

(気に食わねーガキ、銃を乱射しまくる女、裏がありそうな金髪。そんで、目の前の変態仮面と来たもんだ)

こんな連中しかいないのに、助けを期待するほうが無駄というものだった。
ピンチのときにはいつだって来てくれた、あの偉そうな石像だっていない。
自分の手でことを成すしかない。
だが、ここで二つの問題が生じてくる。
まず一つ。
一矢報いようにも手元に武器が何もない。扱いやすい小ぶりな剣を始めとする装備は全て
背中のランドセルの中なのだ。そんなものを取り出す余裕などあるはずがない。
双葉は今になってランドセルを入れ物として支給してきたジェダを蹴り飛ばしたくなった。

二つ。
何をするにも、直前までは死んだフリをしなければならない、つまり相手の隙をつくことが
困難であるという問題がある。

これらを掻い潜り一撃入れるにはどうすればいいか。
止まりそうな思考ながら、双葉は状況を再確認する。
どうせ処理能力の低い頭だ、手近にあるものをそのまま利用して
あとは気合と根性を込めればいいと即断した。
(きゅうそ猫を噛むだったっけ。……追い詰められた人間の覚悟を見せてやる)

71 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:41:40 ID:cCW//TK0


仮面のナースが一歩ずつ進んでくる。
細く暗い双葉の視界の中で、その姿が大きくなり、見えていた病院の壁の割合が反比例で減っていく。
手足は動かさないように力を込めているが、出血のせいでどうしても肺の動きがでかくなる。
こればかりは意思の強さや精神力でどうにかなるものではなかった。
生きていることがばれたら、今度こそ間違いなく止めを刺される。
それだけは阻止したい。
(何もせずに死ぬのはゴメンだ……。コイツを放っておくなんて冗談じゃない)
死の恐怖など、とうの昔に決意が凌駕した。次に倒すのは、
『でも、槍で刺されたりしたら、死んじゃうよ?』
相手を傷つけるという恐怖だ。ブルーの言葉が蘇る。
あのときはイヴとビュティがいた手前、物騒な答えを出すことは出来なかったが、今は違う。
(向かってくるバカヤローに容赦はしねー)
壁は全て壊した、あとはタイミングだけだ。

(さぁ、来やがれってんだ……。――――ぶっ潰してやる!)

トクン、トクン、トクン……。
自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。
鼓動が刻まれるたびに、体のどこかでまた血が滲む。
心臓がノックされる音と、仮面ナースの足音が合致する。
ナースが、双葉から1mと離れていない位置にまで接近。
その手が、ランドセルへと伸ばされ、自然と体が中腰の体勢へと変形していく。

――――バタン。

突如鳴った扉の開閉音が外の空気を中に取り込んだ。
それは振動となり古びた病棟を極僅かに揺らし、やがて霧散する。
方角から考えて、位置は正面玄関だろう。
仮面のナースはその音に気を取られ、腰と膝を折り曲げた状態のまま
顔だけを一階へ降りる階段があるはずの廊下の向こうへと向ける。
それは、双葉が待ち望んだ好機。
不意をつける、最初で最後の勝機。
(――――今だっ!)

「――――――だああああああああぁぁぁぁっ!」

72 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:42:13 ID:cCW//TK0

裂帛の気合と共に、双葉は唯一の武器――――胸に刺さった鋏を右手で引き抜き、
そのまま勢いを殺さずに手首の捻りを利かせナースへと投げつける。
具体的に狙いをつけることは出来なかったし、満足な体勢からのスローイングでもない。
それでも、この至近距離からなら喉笛にでも当たれば重傷を負わせられるはずだ。
一瞬の後。
鋏が、何かに当たった音が響く。
投げながら目を瞑ってしまった双葉は、自分の行動がどのような結果を残したのかを確認すべく、
最後の力を振り絞って目を開ける。
そこにあったのは鋏に仮面を吹き飛ばされ、素顔をあらわにした一人の女。
女の表情には他に表しようがないくらいの驚愕が深く刻まれ、それを見た双葉は少しだけ晴れた気分になる。
同時に、一つの疑問が生まれてくることを感じる。

(……あれ。こいつ……どっかで……?)

奇妙な既視感が双葉に迫るが、それを纏められる状態にあるはずがなかった。
福引は当てたことがあるというのに、こんなときに限って運がないのかと自嘲する。

(……邪魔な仮面だったな。一泡吹かせるどころか相手の顔に傷一つつけられねーでやんの)

体が冷たくなるペースが速くなってきた。鋏を無理して抜いたせいで胸からの失血がひどくなったらしい。
襲撃者は双葉に止めを刺さず、仮面を回収しながら何かから逃げるようにその場を後にしていた。

(……あー、そっか。さっきのは誰かが来た音だったのか。……まっ、どうせ助けなんてこねーだろーけど。
 ここで会ったやつは神楽以外にろくなヤツがいなかったんだし)

視界の中に、瞼の裏側とは異なる黒いヴェールが緩やかに舞い降りてくる。

(誰だか知らねーけど……止め刺したけりゃ、……勝手にしろ、ってんだ…………)

ヒューズが切れるように、限界を突破した。



  *  *  *

73 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:43:09 ID:cCW//TK0



「おい、しっかりしろや!」

シャナと小太郎が到着したのは、全てが過ぎ去ったあとだった。
そこにいたのは生の終わりを迎えようとしているボロボロの少女だけで、拡声器を使っていたであろう襲撃者の存在はどこにもない。
そのことに憤りを隠せないのがシャナと小太郎の共通見解。
特に、戦いは男のものであるという考えを持っている小太郎は、自分と同い年くらいの少女が争いに巻き込まれ、無残な姿になっているという現実に対して怒りを煮えたぎらせていた。

……そう、ここまでならこの二人の考えは一致していたのである。


小太郎は手早く少女の肩に掛かっていたランドセルの紐を外し、その体を仰向けに横たわらせる。
そして、ほんの一瞬だけ躊躇した後、自身の獣耳を彼女の胸の中央、左右の肋骨の境あたりに当ててみる。
一人の少女に死が迫っているのだ、小太郎の中にあった気恥ずかしさなど一瞬で消えうせた。
子供とはいえ、仮にも女性だ。本来なら男である小太郎よりもシャナが率先して行動すべきところなのに、
事ここに至って、なぜかシャナは傷ついた少女を即座に助けようとはしなかった。
そのことに微かな苛立ちと不可解さを感じつつも、小太郎は耳に神経を集中させる。

トクン……トクン…………トクン……。

「! まだ生きとる! とにかく手当てせんと――――!」
こんな病院でも、探せば応急処置道具の1つや2つは見つかるはず。
行動指針を定めた小太郎は、いい加減何もしようとしていなかったシャナに協力を仰ごうとした。
そこで彼は、自分の眼が捉えた信じがたい現実を前に凍りつくことになる。

「……、……何、しとるんや、シャナ……?」

74 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:44:15 ID:cCW//TK0

シャナの姿を追い求めていた小太郎が見たもの。
それは、手当ての邪魔になるからと床に投げ捨てた赤いランドセル――重傷の少女の持ち物をあさましく漁る、長い黒髪の後ろ姿。
少なくとも、小太郎にはその光景が主人の留守を狙う下劣な空き巣に見えて仕様がなかった。
小太郎が瀕死の少女の様子を診ているあいだに中身の検品を終えたのか。
シャナは期待はずれだったとでも言いたげな表情を浮かべながら、ひびの入った窓ガラスを通して外の森を眺め始めた。
――これでは、まるで最初から助ける気などなか――――。
小太郎は首を左右に振ることで、今自分が考えようとしたことを否定し、努めて明るくシャナに問いかける。

「……あ。…………あー、あれやな! ランドセルの中に包帯でもないかと探してたんやな、そうやろ?」

小太郎は切望する――頼むからそうだと言ってくれ、悪い考えを吹き飛ばす答えを返してくれ、と。
ここに来るまでに、幾度となく言葉を交わした少女が、死に掛けた子供を見捨てるような冷血な人間であるはずがない。
彼の胸中には、確信にも似た強い想いがあった。
そんな、少年の願いは――――。

「何で私がそんなことしなければならないの」

届かない。
足許がガラガラと音を立てて崩れ落ちていく感覚。
会って数時間しか経っていないというのに、シャナの突き刺すような攻撃は
小太郎にとって耐え難いものとなっていた。

「おまえ、……人を助けるために……ここまで来たんじゃ……」
「勘違いしないで」

キッパリと断言する。


「私はアラストールを探すためにここまで来たの。人助けなんかのために来たわけじゃない」


シャナの言葉は冷酷な銃弾だった。
一言発せられるたびに小太郎の精神に侵入し、その心を削り取っていく。
立ち尽くす小太郎が反論を思案している最中に、シャナの追い討ちがどんどん続く。



75 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:45:22 ID:cCW//TK0
「私はこの世のバランスを崩しかねないジェダを確実に討滅しないといけないし、
 そのためなら、この島の人間がどうなろうと構わない。おまえに付いていったのも
 戦力になりそうな存在が欲しかったから。ただ、それだけ」


彼女は目を据わらせながら酷薄にそう言い切った。
……しかし、シャナが今言ったことには嘘と迷いが紛れ込んでいる。

まず、小太郎に付いていった理由だ。
シャナは小太郎に出会った直後に、なぜか彼女が最も激しい感情を寄せる少年、
坂井悠二とどこか似たものを感じてしまっていた。その正体を突き止めるべく
彼女は小太郎に同行し、道中で様々な話、主に自分が滞在していた御崎市での出来事
をぶつけて何か確かなものを得ようとしたのだ。

また嘘とは違うが、人間がどうなってもいいという点にも彼女の迷いがある。
確かに御崎市を訪れる前の彼女だったら、紅世の住人が事件に関わらない限り、
人間が何人殺されようと気にも留めなかっただろう。
だが、御崎市に来て悠二と出会った彼女は、彼から名前を貰い、そして彼を通じて
普通の人間との関わりを持ってしまった。
そのときからフレイムヘイズしか知らなかったシャナの中で、フレイムヘイズ以外のものが
占める割合が急速に増えていった。今では学校にも通い、友人と呼んでいい存在、
そしてライバルだと認める少女まで現れてしまったのである。
彼らがこの島にいたなら、口が裂けても「何人死のうがどうでもいい」
などとは口に出せないし、どんなに取り繕おうとも心中穏やかではなかったであろう。
ここで彼女は人間の命の価値について迷いを持ち、しかし悠二を始めとする
友人がいないのだからと割り切ってしまう。
そして、それが出来てしまえばシャナのフレイムヘイズが揺らぐ要因は全くないのだ。
自分に課せられた宿命と、見ず知らずの人間の命が拮抗することはありえない。
ここでなら彼女はシャナとしてではなく、悠二と出会う前の“贄殿遮那のフレイムヘイズ”として
振舞えるのである。
知人を巻き込むことがないという事実が、シャナの中で大きな安堵感となって表れる。
使命に殉ずる炎髪灼眼の討ち手として、思う存分に力を行使できるのだ。
それなのに。

76 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:46:17 ID:cCW//TK0

「ふざ、けんな……」

少年の、搾り出すような声が届く。

「おまえはさっき、あんなに楽しそうに他のやつらのこと話してたやないか!
 そんなやつが、苦しんどる子を平気で見捨てられるんか!?」

ここに来てシャナは小太郎と話をしたことを後悔し始めていた。
小太郎に感じたものが何なのかを探るという、下らない目的のために
自分の弱いところ、御崎市での日常を散々さらけ出してしまったからだ。
未だ、彼女は自分の中の矛盾に気が付かない。本当に感情の一切を排除し、
フレイムヘイズのみでいようとするなら小太郎のことなど最初から放っておけば良かったのだ。


「知ってる連中がここにいても同じことを言えるんか!?」
「ッ……。そんなあり得ない仮定に……意味なんかない……ッ!」


図星だった。
小太郎の口撃はどこまでも的確に急所を突いてくる。
自分で分かっていることを、改めて他人に指摘されるのは
認めがたい屈辱のようなものがあった。
互いの激しい舌戦はクライマックスへと加速していく。


「世界のバランスを保つだの大層な目的を掲げとるくせに
 目の前の女の子一人救えへん! それどころか助けようともせえへん!
 フレイムヘイズっつうのはその程度のモンなんか!?」

「ッ!?」


頭に血が上った小太郎は、遂にシャナの存在理由そのものと言っても過言ではない、
フレイムヘイズの理念に対して暴言を吐き出した。
平静さを装うとしていた彼女も、この言葉だけは見過ごすことを良しとしない。
一気に沸騰した思考が勢いあまり、シャナは余計なことを口走ってしまう。

「侮辱は許さない!! フレイムヘイズは存在の力を繰ればそんな傷なんていくらだって修復できる!」
「!? だったら治したれやっ!」

77 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:47:08 ID:cCW//TK0

シャナの言葉が小太郎の心を刺したように、彼女もまた小太郎の言葉によって胸の中を刺激されていた。
ここには彼女が最近になって知った日常と呼ばれるもの、そしてその象徴である御崎市の人間はいないのに。
ここなら日常を一切排除して、自分の心の中を非日常で満たせるというのに。
目の前の少年が無理矢理心の中に日常を入れようとしてくる。
それがシャナにとってはむず痒くて。

「何度も言わせないで……! 私はジェダを討滅するの。こんなところで無駄な力を使いたくなんてない!」

その叫びを聞いた小太郎は歯を食いしばりながら、尚も食い下がろうとする。
恐らく小太郎自身も鋏で刺されたあの少女が、普通の手当てだけでは手遅れになることが分かっていたのだろう。
それでも何とかしたくて。でも何もできなくて。
当り散らすようにシャナと喧嘩を始めたら、そのシャナ自身が希望の鍵を握っていることが分かってしまったのだ。
手を伸ばせば届く。
だから、あきらめたくない。
その強情さに、お互い様ではあるがシャナもまた辟易していた。
もともと彼女は抑える必要がない場面においては気長なほうではない。
いい加減、決着を付けたいのである。
求めるのは一撃必殺。
小太郎を黙らせ、あきらめさせる言葉を彼女は模索する。
意外なことに、その思案時間は長くはなかった。
瞬きする間もなく小太郎に対する殺し文句が浮かび上がった……いや、記憶から呼び起こされたのである。
閃いたのは、


「――――それじゃあ、おまえ自身でも使う?」


かつて、とある少年に冗談のつもりで投げ掛けた問いだった。
意味が分からなかったのだろう。小太郎が怪訝な顔で尋ねる。

「……どういうことや?」

予想通りの言葉が返り、シャナが相手を試すような勝気な顔をしながら答える。

「簡単な話。おまえの存在の力をいくらか削り取ってそいつの修復に充てるの。
 ……当然、おまえの力を消耗させることになるけど、命を繋ぎとめる程度の治癒はできる。
 どうするの?」



78 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:48:11 ID:cCW//TK0
シャナは心の奥底ではかつての再現を期待していたのかもしれない。
坂井悠二は親友やクラスメイトを救うため、自身を省みずにこの問いに即答した。
では、ここにいる犬上小太郎はどうなのか? 
胸を張り、真っ直ぐこちらを見ながら堂々と答えられるのか?
見知らぬ少女を救うために自分の力を差し出すことができるのだろうか?
シャナは決して認めようとしなかったが、ある種の思いが彼女の中に確かにあったはずだ。

その証拠に。

小太郎が答えを窮するように塞ぎこんだ瞬間、明らかにシャナの顔に落胆の色が見えたのだから。

目論見どおり、犬上小太郎は沈黙した。
だというのに、シャナの怒りは静かに、激しく炎上し始める。
思考にどす黒いものがゆっくりと混ざり始め、歯止めが効かなくなっていく。
あれだけの大口を叩いていたくせに、犬上小太郎は自分の身が可愛いのだ。
自分では何もしようとしないくせに、下らない正義感を押し付けて無責任におまえが助けてやれと言い放つ。
身を挺する覚悟もないくせに、口先だけの優しさを投げ掛けてくる。
シャナの大嫌いな人種だった。
こんな人間に、悠二と同じものを感じていた自分に対して嫌悪感まで湧いてくる。

(自己犠牲もできないような人間が、悠二みたいな綺麗事を並べ立てるなんて……絶対に許せないっ……!)

最早、一分一秒たりともこの場にいたくはなかった。
脚に力を溜め込み、一刻も早く立ち去ろうとしたときに、小太郎の言葉が届く。

「あのさ……」
「何?」
「……存在の力って何や?」
「はぁ? さっき説明したじゃない。この世に存在するための力、
生命や物質の持つ根源的エネルギーのこと」
「……あー、ようするに、気みたいなもんやな? なんや、それなら簡単や。存分に使えや」

小太郎の目が弓を模る。
迷いが全く見えないその笑顔にシャナの動揺が広がった。

「っ、そんな簡単に?」
「グズグズすんな。助けられるんやろ? 早くやってくれや」

そう言って、またも満面の笑みを浮かべる。
シャナは戸惑いを隠し切れなかったが、……それも悪くはないと思ったし、不思議と気持ちも落ち着いていった。
小太郎に感じた悠二と同じもの、その正体がすこしだけ分かったような気がしたからだ。
その事に達成感や満足感のようなものを得たシャナは、小太郎の願いを汲み取るべく力を集中させ。
次の瞬間。
この世に、唯一無二の紅蓮の炎が現れ、炎髪灼眼の討ち手が顕現する。

79 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:49:11 ID:cCW//TK0


  *  *  *


「けっこうしんどいわぁ……」

小太郎が床にへたり込む。
彼の気を存在の力として取り込んだシャナは、時間を掛けて少女の銃創と刺し傷を塞いだ。
こんな傷いくらでも治せると言い放っていたが、治療を終えた今、内心では焦りを秘めている。

(力が抑えられてる……人間一人の存在の力をかなり吸収したのにトーチの燃え滓程度の効果しか出ていないなんて)

実際、重傷の部分は修復できたが、注ぎ込んだ存在の力に対する成果が驚くほど少なかった。
あれだけ力を投入したのだから、全快になって何事もなかったかのように目を覚ましてもおかしくないというのに。
傷が塞がったというよりはむしろ、上から薄皮を掛けてやったという表現のほうが正しい。
乱暴に扱えば再び傷が開き、今度こそこの少女は死ぬ。
もし、小太郎の気が常人なみのものだったら、シャナ自身の存在の力も使わなければ間に合わなかっただろう。
ともあれ、区切りはついた。次にすべきことは――――、

「これで、さっきの銃声の出所まで行けるな」
「ええ」

二人が治療に集中している最中に、またも建物内の壁を銃声が反響したのだ。
まだ、院内に複数の人間が残っているらしい。
少女を助けるために逸る気持ちを抑えていた二人が、首輪を解かれた猛獣のように
銃声がした方向を睨みつける。
そして、似たもの同士が、

「俺が」「私が」「「様子を見てくる」」

……同じ言葉を口にする。

「……なんやて?」「……何よ」

誰かが、ゴングを鳴らしたような気がした。

「シャナはここで待ってろや!」
「小太郎こそここで待ってなさいよ! せっかく修復したそいつを置いていく気?」
「おまえに行かせたらまたケガ人放っておくやろ!」
「な……今度は助けてやるわよ!」
「何やその変化は?」
「うるさいうるさいうるさい!」

40回に届きそうな本日の口喧嘩。
今度はいつ終わるのか、それは誰にも分からない。

80 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:50:15 ID:cCW//TK0


  *  *  *


廃病院への新たな侵入者から逃げる道すがら、ブルーは再び4歳の姿へと変身していた。
双葉があの傷で生きているはずがない。武器を手に入れるという目的を果たせなかったのは失敗だったが
人を手に掛けたばかりの精神状態で正体不明の人間と接触し、かつ利用しようとする余裕など全くなかった。
ならば、とるべき道は一つ。今までに得たライフラインを失わないこと、すなわちイヴとビュティに合流し、
戦力を確保することだ。幸か不幸か、彼女は動揺した状態でありながら、その判断を下すことができた。
双葉を先回りしたときと同じ道を辿ってイヴとビュティがいると思しき廊下を目指す――――その道中であった。

両膝をついて座るイヴ、そして傍らにあるビュティだったものを見つけたのは。


想定外。
あまりにも予想の範疇を逸脱した光景にブルーは動きを止め、呼吸、そして瞬きを忘れる。
盛大な足音を立てて走っていたのだ、向こうがこちらの存在に気が付いていないはずがない。
不測の事態の積み重ねに眩暈まで覚えてきた。
そのような状態でも生存本能が自然に働いているのか、現状打開のための情報をブルーはその眼で求める。
目を引くのはこの世の終わりのような赤い血の池と、その中に横たわる両断された少女。
人間をあんなに簡単に両断できる支給品を隠し持っていたのか、それともあれがイヴの持つ力なのか?

(何があったのよ!? ここまでするつもりなんてアタシには全然――!)

パニックを起こした彼女の思考を強制的に止めたもの。
そして、咄嗟に逃げようとしたその足を地面に縫いつけたもの。
それは、――――血まみれの少女の視線。

イヴは感情のない瞳でブルーの姿を見つめる。涙は未だ枯れることを知らず、
それが当たり前であるかのように後から後から機械的に流れ続けた。



81 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:50:52 ID:cCW//TK0
感情を失った何もない瞳……、――――否。
それは違った。少なくともブルーには違うと断言することができた。
ポケモントレーナーとしての彼女の洞察力、観察力。
それはブルー自身が奇妙に思うほどにこの状況下でも存分に発揮され、
手に取るようにイヴの内面を把握した。



――――イヴは救いを乞うている。



初めて会ったときから常に気を払い続けてきたブルーに対してでさえ、助けを求めている。
そのくらい、どうしようもなかった。
イヴにとっての仲間でありライバルでもある青年も、憧れの存在である紳士もいないこの島で。
怖がりながら、疑いながらも彼女は人との繋がりを求めた。
その果てで、皮肉にも最初の友人を殺めてしまったのだ。
少女を取り巻く繋がりが木っ端微塵に吹き飛び、ありとあらゆるしがらみから解き放たれた今。
血染めの金髪少女が新たな繋がり、生きる意味を求めて青い少女をすがる様な目で見つめている。


ブルーがそのことに気が付いた瞬間。
彼女の揺さぶられ続けていた思考が一気に収束し、自然に言葉が溢れ出す。


「……何も言わないで」


ブルーはイヴに歩み寄っていく。
一歩、二歩、……一定のリズムが刻まれ続ける。

「……大丈夫。全部、分かっているから」

泣き止むことを知らない瞳が、眼前のブルーを捉えて逃がさない。
その双眸に、全てを包み込む聖母のような微笑が映し出される。

82 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:51:29 ID:cCW//TK0

「アタシはあなたの味方よ」

瞬間。イヴの時が動き出す。
定量で流れ続けていた涙は耐え切れなくなったように勢いを増し、今まで弱っていた呼吸がその遅れを取り戻そうと貪

欲に空気を求める。
そんなイヴの手を取りながら、しかし返り血がつかないように留意しつつブルーはイヴの話を聞く。

「……わ、たし、っ、おに、なの………」
「違うわ。……あなたは鬼なんかじゃない。たまたま運が悪かったのよ」

ブルーは心の中でほくそ笑む。

「イヴさん。アタシ、あなたのことを信じているわ。あなただけが頼りなの、本当よ。」

邪魔な双葉はこの手で始末した。

「この病院には、誰もいなかったし何も起こらなかった。……それで、いいじゃない。全部、忘れましょうよ」

錯乱を起こしていたビュティの息は既にない。

「一緒に逃げましょう。……ここは怖いことばかりだから」

思いがけず手元に残ったもの。

「アタシがあなたを守るから、あなたもアタシのことを守って……」

それは一番強力な手駒になりうる金髪の少女。


ブルーの言葉は猛毒だった。
たとえ、毒だと理解できたとしても拒絶は許されない魔性の蜜だった。
自責の念に狂いそうになった少女は容易くそれを受け入れ、恭順させられてしまう。
心の中で荒れ狂う波が鎮まることを願って、イヴはブルーの手を強く握り返した。

83 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:52:00 ID:cCW//TK0


  *  *  *


アタシが、あなたを慰めてあげる。
アタシが、あなたの罪を許してあげる。
アタシが、あなたを愛してあげる。


だから。


アタシのための剣になって。
アタシのための盾となって。


そして。


最期のときは、アタシのために死んでね、イヴちゃん。

【B-3/廃病院・2F廊下/1日目/真昼】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:健康。小太郎を頼れる仲間と認識。炎髪灼眼と夜笠発現中
[装備]:マスターソード@ぜルダの伝説(重量感あり、使えない事は無い)
[道具]:支給品一式
[思考]:小太郎が残りなさいよ!
第一行動方針:双葉を小太郎に任せて銃声がしたほうの様子を見てくる
第二行動方針:コキュートスを見つけたい(アラストールと合流)
第三行動方針:小太郎の仲間(ネギとエヴァ)を探す
基本行動方針:ジェダを討滅する。

84 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:52:31 ID:cCW//TK0

【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
[状態]:気を大消費
[装備]:手裏剣セット×12枚@忍たま乱太郎
[道具]支給品一式、工具セット、未確認支給品0〜1
[思考]:シャナが残れや!
第一行動方針:双葉をシャナに任せて銃声がしたほうの様子を見てくる
第二行動方針:ネギやエヴァと合流
第三行動方針:シャナのコキュートスを探す
第四行動方針:グレーテルの存在がやや気になる

【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:気絶。腹部の銃創と胸部の刺傷は塞がったが、絶対安静
[服装]:血のついたオーバーオール、腹部にカラフルな包帯。
[装備]:メガネ@ぱにぽに
[道具]:基本支給品一式、コキリの剣@ゼルダの伝説、ショックガン@ドラえもん
[思考] 気絶中。
基本行動方針:このふざけた殺し合いを終わらせ、脱出する
[備考]:
双葉は、「仮面の看護婦」が幼女のブルー(4歳)と同一人物であることにまだ気付いていません。
「仮面の看護婦」の顔を見ましたが、ブルーだとは気づいていません。
双葉はまだ名簿をちゃんと確認していません。知り合い(梨々)が参加していることに気づいていません。
血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデンは双葉の近くに落ちています。

85 :救いの棟は紅く染まりて ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:55:20 ID:vFH69NcA


【B-3/廃病院・1F廊下/1日目/真昼】
【ナノマシンポケモンと仮面のトレーナー】
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康。微妙に精神的に動揺。4歳モード
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×4)、
   G・Iカード2枚(『聖水』、『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE、ナース服
[思考]:予定外だけどうまくいったわね。
第一行動方針:病院からの脱出を優先。または、今後のためにも返り血の付いたイヴの服を何とかしてから脱出。
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟。
第三行動方針:4歳児の外見を生かし、イヴを利用する。自分の身を守ってもらう。
        なお、使える戦闘要員なら増やしてもいいが、足手まといが増えるのは困る。
第四行動方針:イヴには、自分の正体がバレないようにする
        (=年齢詐称薬の秘匿、説明書の効果時間に基づいた12時間ごとの薬の摂取)
第六行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:
年齢詐称薬で4歳の姿になっていた時の彼女は、裸の上に白衣を身にまとっていました。
袖は何重にも捲り上げていますが、裾は地面に引き摺ってしまう長さで、胸元は大胆に開いています。
このまま何の問題もなく4歳の姿に戻った場合、彼女はその元の服装に着替える予定です。
[備考]
ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。
また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。
ブルーは、双葉を始末したと思っています。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:激しい精神的ストレス、混乱。精神中消費。
    ビュティの返り血が服や髪に大量に付着。    
    自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
[装備]:アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、G・Iカード1枚(『左遷』)@H×H
[思考] ブルーさん、ありがとう……。
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る
第二行動方針:一休を見つけたら、懲らしめる
基本行動方針:この殺し合いを止め、脱出する
[備考]:
アタッシュ・ウェポン・ケースの『捕獲用ネット』を使おうとして、間違えて『マシンガン』の引き金を引きました。
今後、『マシンガン』のスイッチを間違えることはまず無いと思われます。

【ビュティ@ボボボーボ・ボーボボ:死亡】
※ビュティのランドセルと拡声器、神楽の仕込み傘(残弾なし)@銀魂 は遺体の近くに放置されています。

86 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 00:58:06 ID:vFH69NcA
投下終了です。初めて連投規制に引っかかったorz
今は携帯から投稿しています。IDがまた変わるかも。
指摘などありましたらよろしくお願いします。

シャナや小太郎からブルーたちが逃げ切るかどうかは後の方にお任せします。

87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:00:44 ID:Ly9F/TRs
ああ恐ろしや拡声器、まさかこんな形で呪いを発動させるとは……無念orz
今回ははっきり明暗が分かれたな、双葉とツンデレペアは陽の方向へ、旧病院組は陰の方向へ。
ツンデレペアの原作再現っぷりが秀逸だっただけにラストのイヴ洗脳(?)が辛すぎる……
しかしまあ、とりあえず言えるのは。投下乙、そして良作GJでした!

|ビュティ葬儀会場| λ... 原作知らない人間でもお焼香あげるぐらいはしてあげていいよね……

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:01:01 ID:livYq/tE
僕らのビュッティさんが……
なんという腹黒……間違いなくこのブルーはステルスマーダー

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:07:39 ID:3AzR70KV
でも基本方針は脱出だぜ?
脱出派もマーダーも狂人だらけ。
それがロリショタ変態ロワクオリティ。

それはそうと、双葉生存おめ。
てっきりシャナのMPになるものと。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:11:44 ID:BY5F0AU/
そういえばラノロワにもいたな
マーダーでもないのに殺人数がぶっちぎりなのが

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:17:27 ID:2XWibVZy
>>89
まあマーダーも、最後の一人になってゲームを抜けるって意味で考えればある意味脱出派みたいなもんだ。

92 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 01:17:51 ID:cCW//TK0
年齢詐称薬青の残数減らすの忘れてた……。
採用されましたらwikiのほうで修正します。

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:33:41 ID:dPxYIlqn
投下GJ。
ビュティ南無。
そしてやっぱりブルーはひどいな。最後の一言ムゴス。
一方の双葉は一応は助かったと。よく生き残ったものだ。
乙でした。

気になる所が一点。
イブ、硬化させて止めた分はともかくとして脇腹に受けた分のダメージは残ってるんでないかと。
回復には向かうにしてもすぐ全治は無いでしょうし。

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:34:55 ID:Ly9F/TRs
>>90
僕らの外道王の事かーッ!
あの人の動向は毎回(・∀・)ニヤニヤさせられるw
……しかし、今回彼と似たようなスタンスであろう青いょぅι゛ょにそんな魅力を感じないのはなんでだろうか?

95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 01:35:33 ID:2XWibVZy
まだ始まったばかりで実績が少なめだから。

96 : ◆IEYD9V7.46 :2007/03/22(木) 02:01:06 ID:cCW//TK0
>>93
失念してました、ありがとうございます。
脇腹に銃創と全身に中程度の打撲ってしておくつもりだったのになぁ…。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 02:29:17 ID:dPxYIlqn
確かにあの外道王は異様な実績と性格の両方セットでこそ美味しいからな。
あそこまで育つかはゴルゴみたいな才能と努力と臆病さと運が重要なんだきっと。

というかあの手のは狙っても作れないと思うw

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 03:05:22 ID:n8wLS3DM
双葉生存おめでとう
ビュティさん残念
しかし、双葉も死亡フラグがギンギンである
次回には死ぬ予感

相変わらずブルーは黒いなwwwww

99 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/22(木) 10:29:21 ID:icOc+gQw
梨花、一休さん、灰原、ネギ、コナン、ヘンゼル、リンク、小狼、メロ、金糸雀、イエローを予約。
イエローの予約…掠め取っちゃいますが…いいでしょうか?
もし、無理ならばやめますが…。

100 : ◆ou3klRWvAg :2007/03/22(木) 10:45:18 ID:wWzQXHiy
私に二言はないッ!
学校組のほう、楽しみにしております。頑張ってくださいませ。

101 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/22(木) 10:48:57 ID:icOc+gQw
了解しました。仕上げて見せます!

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 12:00:41 ID:usuofPzU
ブルー黒ッ!!
しかし、こういう決着になったか……。色々と、凄ェ。

細かいことですが、ブルーの備考欄、4歳モードなら不要な3行が残ってますよ。

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 12:39:39 ID:usuofPzU
【予約まとめ】

3/22(木)の予約(〜3/25(日)まで)

◆aCfYpcY.NE :梨花、一休さん、灰原、ネギ、コナン、ヘンゼル、リンク、小狼、メロ、金糸雀、イエロー


〜3/21までの予約だった、
 ◆ou3klRWvAg :リルル、ククリ、ネス、イエロー は正式に予約破棄。
 ◆uOOKVmx.oM :エヴァ、ニケ、リリス も予約破棄。無予約執筆中?

予約ラッシュは破棄されましたが、期待の大量予約入りました。

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 13:35:03 ID:YCcIzEkM
僕らのビュッティさんOTL
死に際にウンk……ソフトンさんのことを浮かべたのにはホロリときた

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 14:28:47 ID:t/n+23fZ
ビュティが逝ったか……
しかしブルー、本当に恐ろしい女……!

106 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/22(木) 17:11:56 ID:+c4lodug
>>60
勇気有る者の盾の効果はそういう意味だったのですか……
ではそこの部分をWIKIに載り次第削除という形で大丈夫ですかね?
指摘感謝です〜

そして毒吐きスレで気づかされたのですが……
BRAZEじゃなくてBLAZEなんですよね……w
すみませんWIKIに載るさいは『ETERNAL BLAZE』でお願いしますorz

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 19:45:58 ID:EbnHVwbL
>>99
めっちゃ期待だな。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 20:21:40 ID:DJ9XMJ/e
投下乙
ただ状態欄の夜笠発現ってのが気になった
自分の記憶では夜笠と炎髪灼眼はセットじゃなくても良かった気がするんだけど…

演出上発現させてみたよ、とかだったらスマソ

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 20:31:06 ID:cCW//TK0
>>102
細かい指摘大歓迎です。状態表が複雑すぎて自分でも把握しきれないという
情けない状態なのでorz

>>108
そこのところはうろ覚えだったので、とりあえず記載してみました。
演出上の意味はありません。本文中では描写すらしなかったので……。
状態表から夜笠は消しておこうと思います。

好き勝手書かせていただいて楽しかったけど、いろいろと詰めが甘かったorz
やっぱり、自分が一度に扱えるのは6人程度が限界だなぁ。
なので、>>99の大人数予約には蝶期待しています。

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 20:54:12 ID:hMKu2SGA
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=dlnwhjgty9a38q9y
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=jvioi8fdqhu3u3fr
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=jhvzzr1l4damg290
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=bywz7ny7wprjx91z
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=wh1ph4uhf5x07wbw
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=c7st0aizzg0oaddl
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=uwmdi4qvfh0uhbuy
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=7m6xv5zxhv0m940t
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=41tuavjbrkuekc08
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=uv6y2979gv2tp6y8
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=ud8x3pc0fvs1pbqv
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=wg88hih22cbgoke3
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=uunucop3dzxjwnci
http://www.gendama.jp/special/verifyregist.php/1/?trid=zqc0555r51cfesq2


111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 20:59:51 ID:+c4lodug
◆ou3klRWvAg氏に質問です。
イリヤスフィール(以下略)は橋の下を飛んでいるのでしょうか?
それとも橋の上を飛んでいるのでしょうか?
自分の理解力が足りないのかちょっとわからないですorz

112 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 21:38:04 ID:ZepYCuo9
やあ(´・ω・`)
アイテムまとめおじさんだよ。
支給品とかのアイテムの画像を集められるだけ集めてみたよ。
ゲーム系とか肝心の分が穴だらけだけどどうか怒らないでほしい。

ttp://up.spawn.jp/file/up9730.jpg.html
ttp://up.spawn.jp/file/up9732.jpg.html

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 21:40:04 ID:YCcIzEkM
ちょwwwきんのたまwwwwwwwwwww

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 21:40:54 ID:YCcIzEkM
って首輪探知機がゲームギアかよwwwwwwwwww

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 21:45:42 ID:DJ9XMJ/e
激しく乙
仕込み箒がどう見てもただの刀な件wwwww
まぁ何も無いよりは…w

まとめおじさんの趣味がとてもよく分かりました(ぁ

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:02:24 ID:usuofPzU
そのハズレセットは何だw

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:15:26 ID:pPEKKmfE
>>112超GJ
禁止エリア指定装置に吹いた。装置ってレベルじゃねーぞwww

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:16:20 ID:/Ex8B6sG
イリヤのバリアジャケットから禁止エリア指定装置までフォローするとは
まとめおじさんGJすぎwww


119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:23:43 ID:livYq/tE
立て札wwwww

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:39:14 ID:Ly9F/TRs
いやっほー!まとめおじさん最高ー!

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 22:46:57 ID:cCW//TK0
ぬのハンカチって売ってるのかwwww

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/22(木) 23:15:27 ID:YCcIzEkM
ジャンプショップみたいなとこで売ってたお
天の助の抱き枕とか首領パッチの人形とかもあったな
あとゲームの特典でもあった。ぬの下敷きやぬのシャーペンとかもある

123 : ◆JZARTt62K2 :2007/03/23(金) 00:12:43 ID:4hZJ5ipT
葵、ベルカナ、アルルゥ、プレセア、レミリアを予約します。

124 : ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:13:50 ID:l6+jLl2b
一度予約を破棄した身ですが、まだ予約が入っていないようなので
エヴァンジェリン、ニケ、リリスを投下させていただきます。


125 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:15:07 ID:l6+jLl2b
「退屈だから遊びに来た、か。人に殺し合いを強要しておいて、退屈だとは良い身分だな」
「そーなの。ジェダ様のとこ居ても、お茶酌みと放送くらいしかないし。だから遊ぼ♪」

 エヴァの言葉をリリスは軽く流した。なんでも自分に都合良く聞こえる便利な耳だ。
殺気も無ければ他意も無さそうな無邪気な笑顔のオマケ付き。
これが初対面なら多少は相互理解の余地もあるのだが、生憎と二回目だった。

「確かに暇すぎると辛いよな。俺はニケ。んでこっちが吸血鬼のエヴァンジェ……むぎゅ」

 足元に転がっているニケを靴で踏みつけながら、エヴァは次の言葉を模索する。
ジェダに結界を探っていたことがバレたか。いや違うな。
バレてはいるだろうが刺客を差し向けるくらいなら、首輪を爆破するだろう。
警告だとしても同様に首輪を通すなり念話を使うなりするのが普通だ。
では何をしに来た。本気で暇潰しに来たとでもいうのか。
信用などは全く出来ないが、不意打ちをして来ないだけ会話する余地は残されている。
正々堂々を好む戦闘凶かもしれないが、その時はその時。

「遊んでやるのは構わんが、このことをジェダ様とやらは知っているのか?」

 口に出すのも忌々しいがジェダの名で牽制をしてみる。
契約だろうと力尽くの支配だろうと、大抵の悪魔にとって主は絶対的なものだ。
特に直属の配下ともなれば飼い犬同然、主の意向に逆らう行動はまず取らない。
リリスが自分勝手に暴走をしているのなら、大人しく引き下がる理由になるだろう。
問題はジェダの許可、または何らかの命令を受けている場合だが――

「もっちろん♪ ちゃんと首輪もランドセルも貰って来たし。どぉ似合うでしょ♪」
「ほほう。つまり追加の参加者というわけか。名簿に名前は載っていないぞ?」

 最悪より一歩手前の回答を受けたエヴァがコメカミをピク付かせて聞き返す。
本心では「名簿とか用意してるくせに、後から人数を増やすな!」と怒鳴りつけたいのだが、
それはニケを思い切り踏みつけることで我慢した。

「そりゃそうだよ。このランドセルもジェダ様に殺された子のだしね」
「ただの人数合わせに配下を入れたのか。ご苦労な事だな。それから――」
「もー、つまらない質問ばっかりして! リリスと遊んでくれるの、くれないの!?」

 シマリスのように頬を膨らませたリリスがエヴァを睨みつけた。
先程までと同じ能天気な声ではあるが僅かな殺気が混じっている。
なんて忍耐力の無さだ。幼稚園児かコイツは。

126 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:15:59 ID:l6+jLl2b
「……あと一つだけ質問に答えたら好きなだけ遊んでやろう」
「ホント? 約束だよ。ジェダ様みたいに『また今度』ってのはズルだからね」

 無駄に明るい声がエヴァの神経を逆撫でしてゆくが、ここは我慢。
次の質問の答え次第では、自分達には選択肢がなくなってしまう。
絶対に確認しておかねばならないこと。それは――

「小娘、お前はジェダの配下だが他の参加者と同列の扱いなのかな?」
「んー、それどーいう意味?」
「お前だけが優遇された『ズルっ子』だったら『つまらない』という意味だ。
遊びというのはルールが対等でなければ『楽しくない』からな。小僧もそう思うだろう?」
「俺は別に……グフォ! そ、そうだな。ズルをしたら楽しくないよな」

 エヴァの言葉にニケが相槌を打った。
刺激しないようリリスに合わせた回りくどい質問が続いたが、聞きたい事は一つ。
リリスは特別な立場なのか、それとも自分達と同じ立場なのか。これだけだった。

「一人だけ怪我を直して貰えたり、良い支給品を多く持って来たり、勝手に首輪を外したり、
他人の首輪を起爆したり。お前がそういうことをする『ズルっ子』ではないと思うのだが、
遊ぶ前に確認をしておきたくてな」

 エヴァは薄っぺらい親しみと微笑を込めて語りかける。
万が一リリスに『他人の首輪を起爆する権限』があったら最悪の事態だ。
遊ばないと答えた瞬間に『ドカン』では、手の打ちようがない。
仮にも冥王を名乗る者とその配下が、自分で決めたルールを安易に破りはしないとは思う。
だが相手は文字通り悪魔なのだから可能性がゼロとは言い切れない。
実はジェダの娘だとか愛人だとか、ベタな展開だけは心底勘弁して貰いたい。
黒幕と関係者に平然とインチキをされたら勝ち目はゼロ、こっちは確実だ。

127 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:16:58 ID:l6+jLl2b
「首輪の起爆……ってこーゆーの? ファーイブ♪」

 リリスがエヴァに向かって、手を突き出した。綺麗な細い五本の指が大きく開かれている。
悪戯を楽しむような――まさに小悪魔的な表情でリリスは、ゆっくりと指を折った。

「フォー♪」
「な!!!?」

 エヴァの背筋に冷たいものが流れた。飛び掛かろうと足に力を入れて、思い留まる。
飛び掛った瞬間に爆破されれば終わりだ。カウントには何の意味もないだろう。

「スリー♪」
「おいコラ!?」

 いきなりこれか。今までの考察は一体何だったんだ、というかせめて戦闘シーンをくれ。

「トゥー♪」
「遊ぶんじゃなかったのかお前!? ニケ、お前勇者だろ、なんとかし……」

 素早く立ち上がろうとした勇者は、さっきエヴァの足によって踏み付けらていた。

「ワーン♪」
「ちょっと待て――!」
 
 エヴァの脳裏に己を麻帆良学園に封じた魔術師の顔が浮かぶ。
初めて出会った時のこと。優しく接されたこと。憎まれ口を叩きあった事。
長い間、夢に見てきたこと。吸血鬼になって数百年間、その中の本当に僅かな時間。
本当に大事な時間。随分と美化されている面もあったが、全てが宝物だった。

「ゼロッ♪」
「やめ――」
「ドゥォッカァァァァッッン!!!!」 

  ・
  ・
  ・

 しかし何も起こらなかった。

128 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:17:43 ID:l6+jLl2b
「…………?」
「あはははははははは、見た見た? 今の面白い顔――♪」

 一瞬、何が起こったのかエヴァには理解できなかった。
何も起こらなかったのだから無理もない。
ただリリスが腹を抱えて大笑いし、足元のニケも爆笑していることは理解できた。
ほんの少し涙などが滲んだことも、心の中でナギの名を叫んだこともだ。


○   ○   ○


 エヴァンジェリンが猛禽類のような厳しい視線でリリスに問いただしている時、
地面に転がった勇者ニケも熱い視線をリリスの姿態に這わせていた。
別に話のシリアスさに付いていけなかったのではない。
美少女達が『履いていない疑惑』が立つほど堅牢な規制によって守られる現代。
そこにド真ん中直球で真っ向勝負してきたのだから、何度踏まれようとも
勇者として、いや男として挑戦を受けて勃たぬわけにはいかなかったのだ。

 説明の時のリリスはバニーガール姿だったが、今度は更に際どい格好をしていた。
肩が丸出しどころか上乳はポロリ寸前まで見せた挙句、胸の谷間を見せ付けるかのように
パックリと切れ込みまで入って下乳を晒している。
脚のラインを強調した30度よりも狭いデルタ地帯などと合わせて、激しく動いたら絶対に
ヤバイだろ、とニケでなくても男性陣の妄想を掻き立てるが、魔力で絶対脱げないという
非常に残念、いや安心な設定である。
こんな衣装が普段着とはデザイナーの頭の中を一度覗いてみたいものだ。

「あはははははははは、見た見た? 今の面白い顔♪」

 ニケはリリスの仕掛けた笑えない冗談――首輪が爆発しそうでドッキリ――の笑えなさに
ついつい釣られて爆笑してしまった。
高慢ちきなエヴァが可愛い悲鳴を上げたり、呆気に取られて涙ぐんだりしたからではない。
こういう時は笑いを堪えるよりも大笑いしてやる方がいいのだ。
そして照れ隠しのツッコミを受け止めてやるのが男の子の美学であり――
バキ! ボキベキ! デュクシ! 男の子の辛いところでもあった。

129 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:19:29 ID:l6+jLl2b
「貴様ぁ、人を馬鹿にしているのか?!」
「うん♪ だってぇ、リリスよりも背も胸も小さいくせに偉そうなんだもん」
「この私が何百年生きていると――!」
「そーなんだ。凄いね オ バ サ ン♪」

 何だかよく分からないが熾烈な女の戦いが始まろうとしていた。

「ジェダの後盾がなければ無いも出来ない小悪魔風情が調子に乗りおって!」
「ちゃんとルールを聞いてないのが悪いんだよ。リリスはズルっ子じゃないもん」

 ここで首輪の爆破条件について思い出してみよう。
1:『禁止エリア』内に入った場合。
2:首輪を無理やり取り外そうとした場合。
3:24時間で死者が出なかった場合。
4:『ジェダが』必要と判断した場合(面と向かって直接的な造反をした場合)。
 任意で首輪を起爆できるのは、どうやらジェダだけのようである。

「つまりここで貴様を参加者の一人として殺しても、問題は無いということだな」
「大正解♪ オバサンには無理ってことを除けばね」
「そんなに『闇の福音』といわれる私の実力が見たいか小娘」
「何それ♪ 自分で考えたの? カッコイイね――あはははは♪」

 勇者は考えていた。『空気を読んで黙っている』以外、今の自分に何が出来るかを。
頭上で交わされる一触即発の危機を回避する方法を。そして一つの結論が出た。
勇者は自分を踏みつけている吸血鬼と夢魔から視線を上げて、カッと目を見開いた。

「ふむ黒か。数百歳とはいえ黒はもうちっと乳が大きくなってからの方が良いと思うぞ。
それとさっきちゃんと出し切ったのか? さっきのドッキリで微妙な染みが……」

バキ! ボキベキ! デュクシ! メメタァ! ジャキガン! ティウンティウンティウン! グギュグバァ!!

バーバラパッパパー♪ 【ニケの称号『すけべ大魔神』のレベルがあがりました】

130 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:20:27 ID:l6+jLl2b
「緊迫した雰囲気を少しでも和まそうと、精一杯の努力を……」
「せんでいいっ!!」
「うふふ、あはははははははは……」

 少なくともリリスにはニケの努力が伝わったようだった。
花が咲くような、見ている方が気持ち良いくらいに笑うリリスを見て、ニケも笑い出した。
そんな二人に挟まれ、困惑していたエヴァも怒っているのが馬鹿馬鹿しくなって笑った。
ジェダの配下とは言え、多少は理解しあえる相手なのかもしれない。

「ニケ、ボッコボコー♪ そーだ、お医者さんゴッコで遊ぼ。リリスが手当てしてあげる♪」

 言うが早いかリリスの衣装は無数のコウモリに変化し、白衣の看護服へと姿を変えた。
そしてニケを優しく抱き起こすと、何処から出したのか包帯をクルクルと巻き始める。
あまりの超展開に、エヴァはどこからツッコミを入れれば良いのか分からず、
サッパリ妖精をサッパリサッパリと飛び回らせていた。
やっぱり理解し合えないかもしれない。

「おっ、白衣もいいが着替える時にチラリと見えた素肌がまた……」
「いやんエッチィ♪」

 ドガッ!!

 やっと分かりやすいツッコミ所を発見したエヴァがニケの頭を蹴り飛ばした。
どうもニヤケ面と展開が気に入らない。
前回から引き継いだあの緊迫した雰囲気は何処へ行ったというのだ。

「きゃ、ニケ。頭大丈夫? 頭悪くない?」
「うぅ、俺はもうダメかも知れない……」
「ああん♪ 患者さんがそんなとこ触っちゃダメだよぉ」

 ツッコミみも虚しく、ニケは苦しがる振りをして顔をリリスの胸元に擦り付けていた。
こんな腐れ勇者とママゴトをして何が楽しいのかエヴァにはサッパリ理解できない。
少年のように薄い胸のどこが良いのかも理解できない。もはや忍耐力の限界だった。

「勝手に好きなだけお医者さんゴッコでも、葬儀屋さんゴッコでもやっていろ! 
私はなのはを探してくる!」 

 見ているだけでイライラした。十分な魔力があるのなら二人まとめて殺したいほどに。
そんな事を思った時、谷の方から空を切り裂くような轟音が響き渡った。

131 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:22:16 ID:l6+jLl2b

「なのは!?」

 音はすれども姿は見えず。やはり谷で誰かに遭遇していたらしい。
好戦的な相手ならば『翔』のカードで簡単に逃げられるだろうと甘く見ていた。
もしも遭遇したのが話の通じる相手だったら? 一緒に笑えそうな相手だったら?
遠くに知り合いの姿を見つけたら、すぐに戻ってこれるか?
一体どこまで花を摘みにいったのかは、分からないがマズイ事になったの確かだ。
頂上からでも分かる轟音。他の場所から厄介な奴を呼び寄せないとも限らない。

「ニケ、私はなのはの所へ行く。そいつは任せ――!?」
「行っちゃダメだよ。遊んでくれるって約束したじゃない♪」

 振り向いたエヴァにかけられた言葉は、相変わらず能天気なのに冷たい。
ほんの少し背を向けただけなのに、背後のお医者さんゴッコは激変していた。
元の衣装に戻ったリリス、その腰から大きく伸びた羽根が無数の鞭のように細かく分かれ、
まるで軟体生物の触手のようにニケをグルグル巻きにしている。
あれがさっきの包帯の正体か、というそっけない感想と数秒でお医者さんゴッコから
緊縛&触手プレイにシフトするとはリリス恐るべし、といったワケの分からない感想が
頭の中に浮かんでは消えた。

「おーい、助けてくれー」

 背後でウネウネと動く羽根と対照的に、リリスは魔力で作り出した蝙蝠の上に腰掛けて
足を組み、テレビでも見るかのように静かにエヴァを見下ろしている。
足元にはニケ。縛られて転がされるのが似合う男だ。

「やっと本性を見せたか。ニケは自業自得だ」
「遊んでくれないなら首輪を頂戴♪ コナン達と競争してるんだから」

 分かりやすすぎる悪魔像を前にしてエヴァが呆れたような声を上げた。
単純そうな娘だとは思っていたが、ここまで古典的な女悪魔だと何も言うことはない。
適当にニケとイチャついていれば一番良いのだが、そう上手くはいかないらしい。
エヴァは足元に落ちていた地の剣を蹴り上げ、しなやかな手に収める。
切先が欠けている上に有線な剣だがリリスまで十分届く。無いよりはマシだ。

「ゲームに乗った者同士で仲良く競争とは笑わせてくれる」

132 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:24:28 ID:l6+jLl2b
 冷笑と共にエヴァは無造作に地の剣を投げた。
剣は小さな風切り音を引きながら、真っ直ぐリリスへと向かう。
リリスは銃弾よりも魔法よりも遅く飛ぶ剣をヒョイという軽い擬音を残して避ける。
すると剣は標的の横を通り過ぎてしまった事に気付いて、大慌てで方向を転換した。
地の剣は有線だ。繋がれた飼い犬のように主の言うことを素直に聞く。
蔦を握ったエヴァの手が捻られると、剣は獲物を見つけた猟犬のように襲い掛かった。

「痛っ!」

 空中に鮮血が散る。だが切り裂いたのは額の皮一枚。傷と呼ぶには程遠い。
剣の切先が折れていなければ、そのまま頭皮をカツラに変えていただろう。
惜しい、いや危なかったと複雑な心境でエヴァは胸を撫で下ろす。
咄嗟にリリスが羽根――ニケを縛ったままの――を盾にしたのだ。

「お、俺まで殺す気か!」
「ニケ、邪魔をするな!」
「ちょっと! ニケに酷いことしないで!」

 剣は右から左から猛獣のように獲物を付け狙うが、縛られた勇者を盾にされたのでは
傷を負わせることは出来ない。いや勇者の傷だけは増えていく。
ニケが傷付くたびにリリスが悲鳴と文句を上げていた。自分で盾にしているくせに。

「……貴様は競争していると言ったが、他にもジェダの配下が参加しているのか?」
「ううん。キュービー達はお留守番だよ。やっぱりオバサン、ルール聞いてなかったでしょ」

 エヴァの手に剣が引き戻された。話題に深い意味はない。ただの時間稼ぎだ。
誘拐犯からの電話を逆探知するように引き伸ばすだけだ。
その稼いだ時間で人質自身が脱出してくれることに期待するしかない。
一刻も早くなのはを探しに行きたいのに、時間を引き延ばしているのが滑稽に思える。
ゲームに乗った馬鹿者を聞き出せれば上々だと自分を誤魔化さなければやってられない。

「あの蟲女はご褒美の配達人だったな。では参加者と競争か。どこの馬鹿者だ?」
「コナンとネギだよ。リリスの可愛い部下なの♪」
「な!!??」
「……ネギって確かエヴァの!?」

 驚愕したエヴァが剣をポロリと取り落とし、懸命に縄抜け中のニケの手も止まった。
無理も無い。誰がゲームに乗ってもネギだけは殺し合いなどしないと信じていたのだから。
しかも二人が部下なのは「リリスにとっては決定している都合の良い未来」の話だ。
そこまで推測しろというのは少し酷だろう。

133 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:28:02 ID:l6+jLl2b
(ぼーやがそんな馬鹿なこと――)
「隙あり! ニケ、あんなオバサンやっつけちゃって!!」

 ニケを縛っていた羽根が変化していた。片方は大きな弓に、もう片方は巨人のような腕に。
リリスが背中に巨大な弓矢を作り出し、エヴァ目掛けてニケを撃ちだす。
人間大砲か人間パチンコくらいしか例えようのない技、ミスティックアローだ。

「いっけぇー!」
「うわぁわわわ!」

 ニケの発情した猫のような情けない悲鳴にエヴァは現実に引き戻された。
ぼーやのことを考えている場合ではない。まるで真横に落ちていくような速度でニケが迫る。
だが、どんなに速くとも真っ直ぐ飛んでくるだけなら、避けるも受け流すも造作もないことだ。
問題は周囲にある岩石。エヴァが避ければニケは岩石と熱烈なキッスを交わすことになる。
かといって今のエヴァに受け止めるられる力はない。

(どうする!?)

 このまま騒々しい腐れ勇者と岩石の仲を取り持ってやっても良いかな。
そんな考えも頭に浮かんだが、なのはの泣く顔が浮かんで思い直した。
ニケを引き付けて受け流し、岩のない方向に進路を変えてやるしかあるまい。
正面衝突しなければ死にはしないだろう。
そう思ってニケをギリギリまで引き付け、受け流そうと思った瞬間――

「こうなったら! 光魔法『カッコいいポーズ』!!!」

 勇者は『カッコいいポーズ』を使った。

 エヴァに激突寸前(に見えた)ニケが突然、空中で妙なポーズを決めて急停止した。
背後から無駄に眩しい光が溢れて、エヴァを呆然とさせる。リリスも呆然としている。

「ま、なんなんだこれは!」
「うわぁ、カッコいいー♪」

 説明せねばなるまい。『カッコいいポーズ』とは光魔法の代表的魔法であり、
少年マンガの表紙でもよく使われる、無駄にカッコいい固定ポーズのことである。
その特性は空中でもポーズを取ったまま静止が出来ることと、眩しくカッコいい光で
魔物の動きを封じるが可能だが、あまり長くはポーズを維持できない。
その欠点を克服し、数人で連続ポーズを決め続ける『カッコいい奴ら』を駆使することで
魔物の動きを長時間封じる勇者たちも存在するが、それはまた別のお話。

134 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:30:53 ID:l6+jLl2b

 夢魔リリスは動きを封じられている。

「エヴァ、今うちに反撃だ!」

 吸血鬼エヴァは動きを封じられている。

「……あれ?」

 魔法の切れた勇者は吸血鬼の上に落下した。

「何でどかないんだよ!」
「貴様の妙な魔法が動きを封じたから――待て、どんな魔物にも効果があるのか?」
「少ししか持たないけどな。何人かでやれば長い時間でも止められるぜ」
「分かった。耳を貸せ」

 エヴァの顔に笑みが浮かんだ。役に立たないと思っていたニケの光魔法。
だがリリスの動きを封じれるのなら、ジェダにも効果があるかもしれない。
地の剣といい、一見役立たずだが使い方によっては十分戦力になる。
ニケの耳を引っ張り作戦を伝えると、その手に支給品を捻じ込む。

「ところで今、何人かと言ったが、お前の仲間も今の魔法を使えるのか?」
「簡単なんだよコレ。きっとエヴァだって練習すれば光魔法『可愛いポーズ』が使えるぜ」
「きゅ、吸血鬼がそんな光魔法など使えるか!!」
「そういうツンツンしている子ほど威力が高いと思うぞ。多分」
「なにコソコソ内緒を話してるの? リリスを仲間外れにするなんて最低だよ!」

 言葉を交わす二人の間にリリスが飛び込んできた。
揃えた両足は巻きつけた羽根によって巨大な突撃槍へと姿を変え、荒れた大地に穴を穿つ。
二人は左右に飛んで避けた。右にニケ、左にエヴァ。巻き起こる土煙。
解けた突撃槍はそのまま特大のスプリング代わりになり、落下の勢いを糧に跳ねる。
生身の数倍の跳躍力を得たリリスが弾丸のように一瞬でエヴァに肉薄した。

「捕まえ――」

 どんなに速くとも真っ直ぐ飛んでくるだけなら、避けるも受け流すも造作のないことだ。
ましてや最大の難物である変幻自在の羽根はリリスの足に巻きついたまま。
突き出された両手に支えように手を添え、流に逆らわず円を描くように身を翻す。
そして擦れ違い様にほんの少し横から力を加えてやるだけでいい。
エヴァを捕まえるどころか、リリスは明後日の方向にある岩石へ進路を変更された。

135 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:33:36 ID:l6+jLl2b

「こんなズルしたって、ぜーんぜんダメね!」

 本来の姿に戻した羽根を大きく開いてリリスが空中ブレーキを掛けた。
パラシュートでも開いたかのように、岩石の手前でリリスの急停止し始める。
それを予測していたエヴァは何かを口に含み、ニケに合図を送っていた。

「光魔法――」
「スゥ……『こ』『む』『す』『め』『が』調子に乗るな――ッ!!」
「――『カッコいいポーズ』!!!」

 手にした『光』のクロウカードをカッコよく構えた勇者の背後から眩い光が溢れて
魔物――リリスとエヴァ――の動きを封じた。
ニケもエヴァもリリスも空中で静止し、その場に動く者は誰一人としていなくなる。
ただ声だけが流れていた。コエカタマリンによって100p四方の固形物と化したエヴァの声。
それが凶器となって、武器であり鎧である羽根を広げ無防備を晒したリリスに襲い掛かる。

『こ』ガンッ! 『む』ギンッ! 『す』グンッ! 『め』ゲンッ! 『が』ゴンッ! 

 光魔法の効果が切れると同時に、その場に落ちたリリスは仰向け倒れて動かなくなった。


リリスが動かなくなった事を確認したエヴァとニケがパンッとハイタッチを交わす。

「やっぱりオレって勇者だよな! 大ピンチから大逆転なんてカッコいいぜ!」
「調子に乗るな。だが特別に今回は許可してやろう」
「でも……あ、あのさ。あの子、全然動かないんだけど……死んじゃってたりしないよな?」

 動かなくなってしまった少女の姿にニケは恐怖を覚えた。
魔物は何匹も退治してきたが明確に殺した事は殆どなく、ましてや少女の死など初めてだ。

「死んでいた方が手間が省けて良いのだが、あの程度では良くて気絶だろう」

 エヴァの見立てでは、リリスは膨大な魔力を持っている。
だが遊び気分だったのか、攻撃は羽根ばかりで大した殺気も無ければ動きも緩慢だった。
真面目に魔法や格闘を織り交ぜられていたら勝ち目はなかっただろう。
喋りだすと攻撃の手を休めていた辺り、こちらが弱いと感じて手を抜いていたのだろうか。

「トドメはこれから刺す。さっさと片付けてなのはを捜しに行くぞ」
「ちょっと待てよ。殺すってなんだよ。死んじゃうんだぞ」
「貴様の軽い頭は今さっき何をされたかも覚えていないのか」
「そりゃ、お医し……いやいや。でもさ……封印とかなんか穏便なのはないのか?」
「ない。少なくとも今はない。諦めろ」

136 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:35:03 ID:l6+jLl2b
 そっけなく返事をしたエヴァは地の剣を手にリリスの元へと向かう。
封印用の魔術具がない以上、悪魔退治は首を跳ねか心臓を潰すしかないだろう。
先折れした剣では心許ないが大丈夫。首輪を破壊すればいい。
起爆条件その2『首輪を無理やり取り外そうとした場合』でドカンだ。
後はリリスの死体から血を吸えば、相当な量の魔力を補充できるだろう。
とんだ疫病神に出会ったと思ったが、ニケの魔法も合わせて大きな臨時収入だ。
ぼーやの情報と首輪のサンプルを諦めるのは少し悔しいが、まあ必要経費といったものか。
この不愉快なゲームにぼーやが本気で乗っているとは思えない。
生きていればすぐに会えるだろう。そうしたら隅から隅まで余す所なく語らせれば良い。
それよりも轟音がしてから既に数分が経過している。
さっさと魔力を補充して、なのはを探しに飛んで行かねばならない。
細かく思案しつつ、エヴァは手にした地の剣を振り上げる。

「おいエヴァちょっと!!」
「しつこ――!?」

 絶句。振り向いたエヴァを地中から生えた無数の触手が出迎えた。
良く見れば仰向けに倒れたリリスから羽根が消えている。
細切れにした羽根を地中に潜行させ、獲物が罠の中に入る時を待っていたのだ。
咄嗟に飛び退くが僅かに遅く、エヴァは足を絡め取られ地面と熱いキスを交わした。



「今度こそ捕まえた♪ さぁ遊ぼ♪ 約束したでしょ」

 グルグル巻きにされたエヴァを足蹴に、満面の笑みを浮かべたリリスが勝ち誇った。
よっぽど嬉しかったのか呆気に取られているニケにブイサインまでしている。
コエカタマリンではビクともしないのか、気絶からレバガチャで回復したのかは分からない。
しかしリリスがエヴァを捕らえて見下していることだけは事実だった。

「離せ小娘!」
「ダーメ。また逃げる気でしょ。逃げてばかりじゃダメだよ。もっと積極的に責めなきゃ」
「オレも一緒に遊ぶからエヴァを離してくんない? 」
「ニケの頼みでも嫌だよ。リリスのこと庇ってくれてたのに、オバサンの味方するの?」
(オレ……庇ったっけ?)

 どうやら最初から一緒に遊んだ事や笑いを取ったこと、盾になった(された)こと、
トドメを躊躇したりしたことが高ポイントだったようだ。都合の悪いことは考えないらしい。
エヴァへの攻撃も『約束したのに遊でくれずに逃げたから捕まえた』だけかも知れない。
馬鹿げたことだが、頭のネジが緩い悪魔の考えることは勇者には理解できない。

137 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:36:17 ID:l6+jLl2b
「そんなこと言ってもグルグル巻きじゃ遊べないだろ?」
「大丈夫♪ このままでも出来る遊び、リリス知ってるもん♪」
「どんな遊びだよ、それ……」
「SMゴッコ♪」
「ふざけ――ゲビャッ!」

 その言葉と同時に赤いハイヒールが、まだ鼻血の止まらぬエヴァの顔を踏み躙った。
ヒールが喉を強打し、エヴァの意思とは無関係に蛙を踏み潰したような悲鳴が上がる。
常人の何倍なのか分からない脚力で、容赦なく踏みつけられた顔は奇妙に変形している。
リリスは力加減とかノリとか空気とか一切考えていない。
自分の気持ち良いことや楽しいことは、相手も同様だと考えているのだ。
あまりの恐怖と超展開にニケは足が竦んで動けなかった。
冗談じゃない、この子はシャレにならない。

「アァン、イイ声。ゾクゾクしちゃう♪」
「ソレはSMじゃないって!」
「そーなの? でも痛いのは最初だけ、すぐ気持ち良くなるから。ニケもされてたでしょ♪」
「え、オレがされてた……って違う、それ違うから!」
「うふふふふふ、ニケも一緒に責めてみる? そーれ♪」

バキ! ボキベキ! デュクシ! メメタァ! ジャキガン! ティウンティウンティウン! グギュグバァ!!

デロロローン♪ 【吸血鬼エヴァは大ダメージを受けて気絶してしまった】



【B-5/山頂付近/一日目/午前】
【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.4、魔力小消費。
[装備]:スペクタルズ×9@TOS
[道具]:基本支給品、うにゅー×3@ローゼンメイデン、クロウカード『光』
   「ぬのハンカチ×20@ボボボーボ・ボーボボ」を結んで作った即席ロープ
[思考]:……遊ぶ? 勘弁してくれ!
第一行動方針:リリスの言う「遊び」に恐怖を刻まれてガクガクブルブル
第ニ行動方針:エヴァをなんとかして助けたいけど、リリスは怖いけど少し気になるし
第三行動方針:なのはの捜索、音の原因も気になる
第四行動方針:火の剣と水の剣が使えるか試しておきたい
自分の仲間となのは&エヴァの友人を探す。
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ
[備考]:『地の剣』がすぐ傍に出しっぱなしになっています。ただし有線コード付き。

138 :遊ぼ♪ ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:40:10 ID:l6+jLl2b
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:気絶、魔力中消費、重度の顔面裂傷および打撲、全身打撲(骨折の可能性もあり)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
   コエカタマリン(残4回分)@ドラえもん、
   なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第ニ行動方針:なのはを捜索に行く。轟音の原因も調査したい
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました

[備考]:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。
・『結界』は空中だけでなく、地中にまで及んでこの島を球形に包み込んでいると考えられる。
・この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
・OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
 おそらくは島の地下。
・その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。

【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:胸部打撲(激しく痛むがMっ気あるなため遊ぶのには支障はない)、ハイテンション
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(食料は無し)
[思考]:ニケとエヴァと遊ぶのは楽しいな♪
第一行動方針:エヴァと楽しく「遊ぶ」。飽きたら狩る。もう飽きてきたかも
第ニ行動方針:積極的に遊んでくれたニケは気に入った。でも飽きたら狩る
第三行動方針:獲物を探して狩る
第三行動方針:18時にはB-7のタワーへ行く
基本行動方針:楽しく遊びつつ、優勝して本当の身体を手に入れる
[備考]
コナン&ネギと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです

139 : ◆uOOKVmx.oM :2007/03/23(金) 03:44:15 ID:l6+jLl2b
エヴァンジェリン、ニケ、リリスを投下完了しました。
当初の期限を守れなくて申し訳ありませんでした。

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 03:44:59 ID:0M/h1LQ3
な、なんというリリス……こえーよ!!!

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 04:03:53 ID:SRUAHI9m
リリス、頭が緩いからなんとかでき……そうでできねえええええ!?
しかしなんだ、リリスの行動はヤバいくらいエロいのは変わりないのにエロくないな。
ていうかエヴァでも効果音それになるのかよw

投下GJ。

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 10:48:38 ID:05fjtCsf
投下乙
なんつーか…、怖いなリリス

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 11:19:25 ID:Bw5mK3yU
威力やノリは違うけどエヴァがニケにした「楽しそうな遊び」を真似てるだけなんだよな。

それよりも最終決戦で『格好いいポーズ』と『可愛いポーズ』を繰り出すロリショタに囲まれて、
身動き出来なくなって負けるロリコン主催者を想像した

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 11:21:44 ID:YUvZj0op
リリス洒落ならん
強え

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 11:48:38 ID:aKHUEgIC
え、エヴァ様がいいように遊ばれてる……!

元々、受ける側に回ると弱いお方ではあったが。
作戦とかじゃ上回れないのか、リリスの「遊び」は。
……グリーン、今からでもいい、引き返すんだ。ここはヤバい。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 12:09:02 ID:Bw5mK3yU
格闘ゲームのくせにヴァンパイア系キャラはモンスターだから連続攻撃じゃ気絶しないって
設定を思い出した(ピヨリ属性付きの特殊攻撃でないと気絶しない)けど、
さすがに制限対象だよな?

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 12:34:34 ID:akvUHZZ7
投下乙。エ、エヴァ様ー…!
リリス強いっす…!
ニケのギャグっぷりも面白かった。

148 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:35:40 ID:akvUHZZ7
予約していた梨花、一休さん、灰原、ネギ、コナン、ヘンゼル、リンク、小狼、メロ、金糸雀、イエローを投下します。

149 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:37:28 ID:akvUHZZ7
ヤク女の次は変態男。
つくづく今日はろくなことが起きないと古手梨花は思った。

「なるほど、それはこうやるのですか」
と、目の前の少年は頭から赤ブルマを外した。
…その姿は、珍妙でこそあるものの、寺の小坊主といったところだろうか。

「いやはや、驚かせてしまったようで、すみません」

敵意は感じられない言葉。
…だが、いかんせん格好の珍妙さの方が目立つ。
二の句が告げないというか、告ぐ気も起きなかった。

「…えっと…もしや、これ以外にも変なところがあるのでしょうか?」

全体的にです。
梨花は突っ込みかけたが、背後の存在に気づき、突っ込みはそっちに入れることにした。

150 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:38:12 ID:akvUHZZ7
※     ※    ※


ここはどこなのだろう?
確か、自分がいた場所は森のような場所だったはずなのに…。
ここは…学校?
不思議だった。
現実ではないはずなのに、感覚が妙にリアルで。

(…まだ覚めないのかしら…この夢は…)

いい加減うんざりする。
自分の傍にはちょうどランドセルがあった。
おそらく、薬もある…。
知らぬ間に手錠がされていたが、薬を飲むことくらいはできるだろう。

「やめるです!このヤク女!!」

どこか見覚えのある少女の一喝に、灰原の動きが止まった。
見覚えがある…?
夢なのに見覚えがある…?
ああ、そうか、自分を汚すことを手伝ってくれた人だ。

「今度も貴方が手伝ってくれるの…?」
「何でそういう風にしかもっていけないですか!」

梨花は思わず頭を抱えたくなった。
目の前の訳の分からない変態男だけでも大概なのに、今度はヤク女復活。
こんな状態なら頭痛のひとつやふたつもしたくなるというものだ。

「あの時もボクがいたから良かったものの…と、いうより…何でそんなに自分を汚そうとするですか?」
「償い、だから…」
「え?」
灰原の声はやや小さくて聞き取りづらかった。
だが、次に吐く言葉はしっかりと聞き取れた。

「どのみち、夢の中の出来事だもの」
「……」

その言葉に梨花は何を思ったのか、灰原の頭を撫でた。

「みぃ、夢の中じゃないのです…これは、現実なのです…」

だが、いくら梨花が言っても、その言葉は届かない。
わかっているのだ。
梨花に撫でられる感触、今までの記憶。
このリアルさ。
全ての感覚がこれは現実だと告げている。
だが、科学者として、これを現実と受け止められないのだ。

151 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:39:11 ID:akvUHZZ7
「これは、夢…」

「貴方に何があったのか、それは知らないです。
でも、現実を見ずに逃げようとするのは、卑怯ではありませんか?」

卑怯…?
そう、自分は卑怯者だ。
匿ってもらって、守ってもらって。

逃げる…。
何から、組織から…?
いや、違う…。
この現実からだ。
この世界は…真実だ…。
例えどんなに馬鹿げていようと、非科学的であろうと…。
真実だ…。

「今は仲間が欲しいです。だから、貴方を自由にするです。
…またヤク女になるなら、今度は捨てていくですよ」

梨花はそう言いながら、灰原の手錠を外した。

「あら、優しいのね?」
「共同戦線というやつです」
だが、次の瞬間、失念していたことを彼女は思い出させてくれた。

「…ところで、その個性的な人も貴方の友達?」
灰原が指を差したのは、梨花の背後。
手にはモップ、着物の間にリコーダーを差し、もう片方の手には赤ブルマ。

「しまったです…!この変態男の存在を忘れていたのです〜!」
「あわてない、あわてない…」

(…何なのかしら、この人達…)

目覚めた早々、灰原は訳のわからない状況の中にいた。
だが、まだ戦いの中でないだけ、マシだっただろう…。



152 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:40:00 ID:akvUHZZ7
※     ※     ※



イエローはただ城から離れることを思った。
ベルカナとの再会を願って。
シルフェのフードの使い方もだいぶ分かってきた。
先の戦闘の時、巻き起こった風。
おそらく、この風は今、ダイレクに乗って滑空できるだけじゃなく、放出することもできる。
…そんな中、雑音混じりの声が聞こえた。



『わだくじ、乱だ『ガガッ、ピー』殺じてじまいまじだ…! ごめんなざ『ピー、ガガガ』めんなしゃい…!』



「…これは…拡声器…!?」

イエローの脳裏に、死に逝く丈の顔が蘇る。

「…ダメだ…そんなことしちゃ…!」

彼は助けを求めている。
それだけはわかる。
その拡声器は、もともとは丈に支給されたものなのか、それとも違う物なのかは分からない。
…もし、丈に支給されたものだったならば、あの少年が絡んでいるだろう。
あの、処刑鎌の少年が。

以前はベルカナの助けもあり、やっとの思いで逃げ延びた。
だが、もし会えば今度は…。

「…行かなきゃ」

ダイレクを滑空する方向を多少修正しながら、声の聞こえた方向へと行った。

すなわち、魔の巣窟、学校へ。



153 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:40:47 ID:akvUHZZ7
※     ※     ※



「痛っ…」
「…やっぱり、無理していたんですね…」

コナンの治療をするのは、当然ネギだった。
治療といっても、学校の保健室。
ほぼ応急手当のようなものだ。
添え木をして、包帯で巻いて、腕を吊る。

「コナン君は、どう思ってるんですか?リリスさんとのこと…」
「…競争のことか…?」
「はい」
「乗らねぇよ、絶対。もちろん、ゲームにもな」

だが、ネギにはわかっていた。
記憶はいまひとつはっきりしないが、自分を襲ってきた少女。
果たして本当にあのまま放置していた良かったのか、と。

『マギステル・マギ』を目指すネギは、人助けになるようなことをしたかった。
それは、一瞬、リリスにのみ込まれてしまった罪悪感から来るものなのかもしれない。

だから、思うのだ。
あのまま放置していても、また他の犠牲者が出るだけなのではないかと。
それこそ、ゲームにも何も乗っていない、全く罪のない人間が。

自分の手はもう汚れている。
人を殺しかけたのだから。
だから、殺していいというわけではないが、生真面目なネギの性分がそれを許さなかった。

「僕は…リリスさんとの競争、乗るつもりでいます」
「!?お前っ!」

コナンはネギに掴み掛かる。
その言葉は、たとえ冗談だとしても聞き捨てることはできない内容だった。

「…僕は…『このゲームに乗った人』全てを殺すつもりです」

コナンの手が硬直する。
ネギはこう言っているのだ。
『汚れ役をすべて引き受ける』と。

(こいつ…)

「よく考えてみてください。リリスさんとの殺害数を競って勝てば、リリスさんと戦う必要はないということです」
「そりゃ…そうだけどよ…」


154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 12:41:00 ID:QkXqh7At
このネタはそれを使ってるんじゃないの?
のけぞるなら、気絶しないくらいはあってもいいと思うけど。

155 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:42:39 ID:akvUHZZ7
コナンはリリスを止めるつもりだった。
…戦ってでも。
だが、他に戦う者を集めるということは、その人物を見殺しにするのではないか?
一瞬、コナンの脳裏を掠めたその問題。
その問題を、ネギは最も合理的かつ非道な手で解決しようとしているのだ。
自らの手で。

「お前が…そこまでするのは何でだ?」
「…僕には力がある。魔法を使える。だからです」
「…それだけか?」

探偵として鋭い洞察力を誇るコナンは、ネギのその言葉全てが真実ではないと見抜いていた。
その言葉にネギは苦笑する。

「鋭いですね…確かに、理由はそれだけじゃありません。
僕は一瞬といえど、ゲームに乗りました。
いずれにしても、もう皆に合わせる顔がありません」

明日菜、のどか、木乃香、刹那、夕映、ハルナ、千雨…3−Aの生徒達。
エヴァンジェリン、古菲、小太郎…父親―ナギ―…。

そして、超。

(超さん…あんな強引な手を使ってでも歴史を変えようとした貴方の気持ち、今なら分かるような気がします…)

156 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:44:55 ID:akvUHZZ7
「おい」
「はい?」

仏頂面のコナンは不意にネギに近づき…。

ぱちんっ。

「った…あうう?」

でこぴんをかました。


「バーロ。自分で全部を背負ったようなツラしてんじゃねぇよ。
…大体、俺のせいだろーが。リリスとの競争は」
「…コナン君?」

「…ガキの癖に、そんなに全部背負い込むなよ。…見てられねぇぜ、ったく」

コナンは、ここで何となく行動方針が固まった。
最初は、自己嫌悪でいっぱいだった。
だが、ネギと話しているうちに決心がついた。

このまま、進もうと。



「お前の抱えているもの、俺も半分背負ってやる…。
殺す殺さないも、決めつけて行動するんじゃねぇ。先入観は、人の感覚を狂わせるぜ?」

不意に、千雨の言葉が蘇った。



『吹っ切れた、悟ったなんてのは大抵勘違いだから気をつけろよ、ガキ』
『デカイ悩みなら吹っ切るな。胸に抱えて進め』

(…わかりました、千雨さん…)



「じゃあ、行こうぜ!小狼の助太刀に!」
「はい!」



決意を新たに、二人の少年は結束する。


157 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:45:35 ID:akvUHZZ7
※    ※    ※


同時刻、保健室前―

「ちっ、人がいたか…」

メロは舌打ちをした。
これでは物資の調達ができない上に、自分の顔がばれる。

『シカモ片方ハ、ガキ…アイツダナ』
「…あいつ?」

保健室にいるのは二人。
声から、チャチャゼロはそのうちの一人がネギだと分かった。

「御主人ノ弟子ダ。俺ノコトモ知ッテルシ、魔法モ使エル」
「…ここは様子見か…この俺が後手に回るとは…!」

メロは忌々しげに毒づく。
確かに、色々な方法は存在する。
例えば、奇襲を掛ける、怪我人のフリをする、など。

だが、魔法使い相手に奇襲は通じないだろう。
怪我人のフリをするにしても、包帯はない。
とすれば、本当に怪我を作ればいいかもしれないが、それならばもしもの時に動き辛くなる。

「…奴等が保健室から出るのを待つか…」
「暇ツブシニ話デモシテヤローカ?」
「注意力散漫になるのは危険だ…いらん」
「ソリャ、ソーダナ」

そう、今は待ち時間…。
メロはそう自分に言い聞かし、保健室から二人が去るのを待った…。



158 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:46:10 ID:akvUHZZ7
※     ※     ※


そんな彼らの様子を見ている人物がいた。
金糸雀だ。
人形を頭に乗せた少年―メロ―は、何の行動も起こさなかったようだ。今のところは。
それにほっとしたような、それとも…何ともいえない感情が金糸雀にあった。

「と、とりあえずは安心かしら〜…」

ここから逃げた方が安全だ。
そう思った。
そして、そこを立ち去ろうとした瞬間…。
不意に視線を違う場所へと向ける。
…人影だろうか…?
凄まじいスピードで滑空している『それ』は、今まさに激しさを増す戦闘の最中の場所へと突っ込んでいった。

「!!」

金糸雀は息を呑む。

「じ、自殺行為…かしら〜…?」

金糸雀はそこを立ち去ることも忘れ、ただただ戦闘に見入っていた。



159 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:46:55 ID:akvUHZZ7
※     ※     ※



目の前を処刑鎌が裂く。
間隙を縫い、左下段から突き上げるような斬撃を放つヘンゼル。
それを、小狼は剣で受け流し、そのまま断ち割ろうとする…が、その瞬間ヘンゼルは距離を取る。

「せっかく全力で戦えるようになったんだからね…そう簡単に壊されないよ?」
(…読まれているか……かなり戦い慣れているな…)

こちらの第一の目的が武装解除であることがばれている。

「…さあ、僕を楽しませてよ!」
下段のアームがアスファルトに突き刺さり、今度はリンクとの間合いを一気に詰める。

「くっ!」
これを食らうまいとリンクは跳び退り、退きながらも釣竿で一撃を放つ。
だが、釣糸は空しく宙を薙いだだけだった。

「ふっ!」
気合の声と共に今度はヘンゼルが守勢に回る。
そして、アームをアスファルトから抜き、跳躍する。
自由になった下段のアームで、リンクに一撃を放つが…。

「…やらせはしない…!」

リンクへの一撃は小狼の剣に阻まれていた。

「やるね!お兄さん達っ!!」

だがまだ上段が残っている!
それを小狼へと向け小狼の眼前に処刑鎌が迫った…。

(…しまった…!)



その瞬間。

ガキイイィインッ!!



次に聞こえたのは、鋼が肉を抉る音ではなく、鋼が鋼を砕く音だった。



小柄な身体をフードで覆い、傍らには身の丈以上ある剣。
金髪の少女。
イエロー・デ・トキワグローブ。


160 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:47:35 ID:akvUHZZ7
イエローは、ダイレクで滑空してきた勢いを利用し、上段2本のバルキリースカートを断ち割ったのだ。



カランカラン…と、断ち割られたバルキリースカートが転げた。
イエローの顔を見て、ヘンゼルはおかしそうに言う。


「あれ?ひとりなの?…あのお兄さんはどうしたのかな?」
「…言わないで」

丈は死んだ。
自分の目の前で。
…自分は何もできなかった…。

イエローは感情を押し殺した声で言う。

「それに、あのお姉さんも…」
「…言わないでってば!」

ベルカナは重傷を負った。
…自分の目の前で。
…自分はまた何もできなかったのだ…。



「もしかして、死んじゃった?」



瞬間。
イエローの目の前が真っ暗になった。
次に溢れてきたのはドス黒い気持ち。

「はああぁあっ!!」

ダイレクを振りかぶり、右下から斬撃を放つ。
それを、ヘンゼルは残った左下段のアームで止め…右下段のアームで突く。
だが、その突きは風によって遮られる。

(…何だろ、この風…でも、楽しめそうだね…!)

ヘンゼルは隠し持っていた包丁で攻撃を試みるが、それは叶わなかった。
「させないっ!!」
「釣糸か…!?」
リンクが釣竿で叩き落としたのだ。


161 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:48:23 ID:akvUHZZ7
「…うん、いい顔だね…あの時とは大違いだ」

ヘンゼルはイエローの顔を見て嬉しそうに言った。

「ほら、ねえ、楽しいでしょ?僕と遊ぶの」

ヘンゼルは懐から何かを取り出し、それを地面へと投げつけた。
…スタングレネード。
大音響と閃光によって対象者をショック状態にして数秒間意識を失わせるもの。

「!!」

イエローは瞬時にダイレクに乗って上空へと退避し、リンクは小狼を包むようにバリアを展開した。

「…あ、無駄弾かー。本当に強いね、お兄さん達」

ヘンゼルはスタングレネードとバルキリースカートの連携を狙っていたのだが、どちらも防がれたようだ。
心の底から彼は『楽しい』と思っていた。



イエローは無言で辺りを見回す。
そこには、忍者装束の少年が一人、心臓を抉られて死んでいた。
…おそらく、拡声器で呼び掛けていたのも彼だろう。

「…この子を殺したのも、君なの…?」
そう言うイエローの心は悲しみと怒りで満ちていた。

「そうだよ?…邪魔だったからね」
「……そう」


その瞬間。
イエローから迷いが消えた。


ずっと迷っていた。
丈の死に様、ヘンゼルのやり口。
城での襲撃。
自分は戦わないことが戦いだと思っていた。
…だが、この結果はどうだ?
目の前で死んでいる少年は?
全てが自分のせいではないかと思えてくる。


「…たたかう…」


戦うことが吉なのか、凶なのか。
…もう、そんなことはどうでもいい。

162 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:49:33 ID:akvUHZZ7
「君を、止める…!」

イエローの決意に呼応するかのように、辺りに風が吹き荒ぶ。
ヘンゼルはその風に一瞬圧され…。
今のイエローには、その一瞬で十分だった。

自らも風に乗る。
その勢いを利用し…ヘンゼルへと跳躍した。

「っ!!」

初めてヘンゼルの顔色が変わる。



辺りに弾ける血。
イエローの頬と…ヘンゼルの背中から盛大に血が迸った。



バルキリースカートはイエローの頬を浅く捕らえ…。
ダイレクはヘンゼルの心臓を深々と貫いていた。



163 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:50:55 ID:akvUHZZ7

「……………―」



今際の際、ヘンゼルは呟く。
その言葉にイエローの表情が微かに揺らいだ。

カシャン、とバルキリースカートが核鉄に戻った。


その音が、戦いの終焉を告げた。



「ボクは…君のようにはならないよ…」



イエローは戦場には不釣合いな、優しげな笑顔を浮かべる。
それはつい先程まで激しい戦いをした少女のそれとは思えないほどだった。

ヘンゼルが死に際に言った言葉。



―『これで君も僕と同じだよ』―



「ごめんね」



その言葉は一体誰に宛てられたものだったのだろうか
イエローの涙は、風に吹かれて流されていった。



164 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:51:31 ID:akvUHZZ7
【D-4/学校4階、4-2教室内/1日目/昼】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:色々と疲労困憊、困惑
[装備]:T字箒
[道具]:基本支給品、不明支給品×1(確認済み)、5MeO-DIPT(24mg)、エスパー錠@絶対可憐チルドレン、エスパー錠の鍵@絶対可憐チルドレン 、平常時の服
[服装]:体操服。体操着に赤ブルマ着用です
[思考]:これからどうしよう…
第一行動方針:目の前にいる変態男(一休さん)をどうするか
第二行動方針:リンクを待つ
第二行動方針:同行者を増やす
基本行動方針:生き延びて元の世界に帰る
参戦時期:祭囃し編後、賽殺し編前

【一休さん@一休さん】
[状態]:胸部に痛み(通常行動にはあまり問題なし)
[装備]:シャインセイバー(サモナイト石)@サモンナイト3
体操着(着物の下)、教科書(服の下に仕込んである)
リコーダー、モップ、赤ブルマ
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末、カプマゥの煎薬、ネコンの香煙、紅皇バチの蜜蝋) @うたわれるもの
体操着袋、チョーク数本、雑巾、ブリキのバケツ、ホース数m、教科書数冊
[思考]:あわてない、あわてない
第一行動方針:あわてない、あわてない
第二行動方針:目の前の女性(梨花)の誤解を解き、コンタクトを取りたい
第三行動方針:驚く事ばかりだけれど、周囲への理解と食料の確保をしたい
第四行動方針:余裕があれば、森にでも骨格標本を埋葬し供養したい
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する
[備考]:懐と体操着袋とバケツに細かい荷物を分けて入れています。
水道の使い方、窓や扉のカギの開け方を理解しました。
ブルーを不思議な力(スタンガン)を持った神仙または学術者の類と思っています。

【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:健康、状況の理解
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)
[服装]:子供服。着方が乱暴でなんか汚れてる。
[思考]:随分と個性的な人ね…
第一行動方針:目の前の状況に対処
第二行動方針:梨花と共に行動する(仲間集め?)
第三行動方針:罪を償うため、自分を汚す。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:半信半疑ながらもこの世界が現実であることを理解しました。

165 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:52:01 ID:akvUHZZ7
【D-4/学校1階、保健室/1日目/昼】
【ネギ・スプリングフィールド@魔法先生ネギま!】
[状態]:胸に斜めに大きく浅い傷痕(ただしダメージはほとんどない)。魔力を相当使ってだいぶ疲労
[装備]:指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
[道具]:なし(共通支給品もランドセルもなし!)
[思考]:あれ?コナン君…僕の方が年上だよね…?
第一行動方針:小狼の元へと急行する
第二行動方針:出来る事なら魔力回復の為休みたい
第三行動方針:二人(エヴァ&小太郎)と、コナンのお友達(灰原)、小狼の仲間(桜)を探す
第四行動方針:18時のリリスとの約束に遅れずに行く
最終行動方針:ロワから脱出する
[備考]:
リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
催淫作用は解けましたが、襲ってくる存在には容赦するつもりはないようです。
今のところどうするかは保留。

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:右腕骨折(応急処置済み)
[装備]:はやぶさの剣@ドラクエ
[道具]:支給品一式、バカルディ@ブラックラグーン、銀の銃弾14発、
    シルフスコープ@ポケットモンスターSPECIAL
    蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン
    殺虫剤、リリスの食料と飲み掛けの飲料水
[思考]:ガキの癖に無理すんじゃねぇぞ、ネギ
第一行動方針:小狼の元へと行く(拡声器の音の方向から大体の場所を判断しています)
第二行動方針:灰原とネギ、小狼の仲間を早めに見つけたい
第三行動方針:リリスを倒す為に協力してくれそうな人物を探す
最終行動方針:ロワから脱出する
[備考]:
リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
バカルディと飲み掛けの飲料水は、リリスが口をつけたため弱い催淫効果を持っています。

166 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:52:34 ID:akvUHZZ7
【D-4/学校、裏の校庭/1日目/昼】
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、右頬に傷、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ、懺悔
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:スケッチブック、基本支給品、首輪@城戸丈、
[思考]:ごめんね…
第一行動方針:目の前の少年達と情報交換がしたい
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない。だけど、ゲームに乗っている人は…?
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は魔力を必要とするため使用不可

【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:健康、助けられなかった事に対しての罪悪感、やや呆然
[装備]:釣竿@ポケットモンスターSPECIAL、あるるかん@からくりサーカス
[道具]:基本支給品
[服装]:中世ファンタジーな布の服など
[思考]:この子は一体……助かったのかな…?
第一行動方針:目の前の子(イエロー)と話をする。
第二行動方針:梨花の下へと行く
第三行動方針:目の前で死んでいる子(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後

【小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:健康、助けられなかった事に対しての罪悪感、やや呆然
[装備]:クロウカード「剣」@CCさくら(剣状態)
[道具]:きせかえカメラ@ドラえもん(使用不能)、基本支給品
[思考]:こいつは何者なんだ…?
第一行動方針:目の前の子(イエロー)と話をする。
第二行動方針:桜を探し、守る
第三行動方針:仲間を集める
第四行動方針:生きて出会えたらコナンとネギに謝りたい
第五行動方針:目の前で死んでいる子(乱太郎)に何かしてやりたい
第六行動方針:きせかえカメラの充電
最終行動方針:桜とともに島を脱出する

167 :善を知りて悪を行う者 ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:53:38 ID:akvUHZZ7
【D-4/学校1階、保健室より少し離れた場所/1日目/昼】
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:スケボーで転倒した際、軽い打ち身。かるい掠り傷。
[装備]:天罰の杖@ドラゴンクエストX、賢者のローブ@ドラゴンクエストX
[道具]:基本支給品(ランドセルは青)、チャチャゼロ@魔法先生ネギま!
    ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン(ちょっと不調)
[思考]:今は待ち時間だ…
第一行動方針:保健室へと行き、物資を調達する
第二行動方針:厄種(ヘンゼル)と2人の少年(リンクと小狼)の戦いの勝者を殺す
第三行動方針:『3人抜き』を達成し、『ご褒美』を貰い、その過程で主催側の情報を手に入れる
第四行動方針:どうでもいいが、ドラ焼きでなく板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く
[備考]:ターボエンジン付きスケボーは、どこか壊れたのか、たまに調子が悪くなることがあります。

【D-4/学校、裏の校庭の木/1日目/昼】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:低程度の疲労、全身打撲(行動にやや支障あり)、服が少し濡れたまま、困惑
[装備]:コチョコチョ手袋@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]:支給品一式、イエローの衣類一式(少し湿っている)
[思考]:目の前の戦いについていけなかったかしら…
第一行動方針:とりあえず、立ち去った方がいいと思っている。
第二行動方針:ズルして楽して頂くために、とりあえずは状況の推移を見守るかなんらかの行動を取ろうと思う。
基本行動方針:姉妹を探す?



【ヘンゼル@BLACKLAGOON:死亡】
※ヘンゼルのランドセル・核鉄は遺体の近くにあります。
スタングレネードは1発使ったので、残り8個です。


168 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 12:55:01 ID:akvUHZZ7
投下終了です!
…ヘンゼルが倒されたのは、ほとんど不意打ちのようなものだと思ってください…。
何か御指摘あればよろしくお願いします。

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 12:59:14 ID:AgfRu94D
投下乙

……アレだ、あえて聞こう。
書き手氏は、ロワに参加するのははじめてか?

170 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 13:04:32 ID:akvUHZZ7
>>169
ロリショタロワはこれで3度目ですが、ロワは初めてです…。
やっぱり、経験不足でしょうか(汗)。

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 13:07:30 ID:05fjtCsf
ヘンゼエウ戦がなんかご都合主義な感じ
せめて三人のうち誰かが重傷を負うくらいは

172 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 13:50:30 ID:+TJVCjqr
(汗)

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 14:09:55 ID:AgfRu94D
この内容だと、学校組全員の動向を書く必要はなかったんじゃないか…?
そもそも、前の学校組開幕戦では
「各パートごとに複数の書き手が分担して書く」ことを前提に書かれていたような。
実際、この内容だと金糸雀とか予約に入れてまで書く必要が感じられない。

最後に、ヘンゼルの死が単なるイエローの引き立てにしか見えない。
ぶっちゃけイエローマンセーにしか見えない。
また、イエローの性格と行動方針両面からみても「殺人」という手段に至るのは変。
なにがあっても相手を傷つけないよう気にするキャラじゃなかったっけ?

174 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 14:21:36 ID:akvUHZZ7
>>173
そうですね。
ごめんなさい、自分の力を過大評価していました。
学校組の予約&投下は正式に破棄します。
お騒がせして、申し訳ありませんでした。

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 14:28:55 ID:AgfRu94D
いや、なにもすぐ破棄しなくても……。
きつい事を言ってしまったが、他の人も指摘した部分、
例えばVSヘンゼルの描写をもうちょっと書き込む、などすれば修正ですむかもしれない。

176 : ◆aCfYpcY.NE :2007/03/23(金) 14:36:48 ID:akvUHZZ7
えーと、ではコナン&ネギ…あとメロだけ採用してもらえますか?
メロは…これだけのパートでは無理でしょうか?
タイトル等、細かいところはまた修正スレの方で行うという形で…。

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 14:43:55 ID:4hZJ5ipT
>>176
個人的にはそれでいいと思う。
台詞回しは魅力的だし、文章が悪いというわけではないので、微修正してタイトル変えたら問題ないかと。

178 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 15:31:30 ID:05fjtCsf
ところで、ロワ内のポケモンってレベルアップしたりするんかな?
↓これ見る限りじゃ、危ない目にあっただけでも経験値もらえるっぽいけど
ttp://streaming.yahoo.co.jp/p/y/pok/10001/

179 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 15:46:33 ID:LaP7p2ri
レンタルポケモンってレベルアップしないよね

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 15:48:47 ID:05fjtCsf
>>179
ここのポケモンはフロンティア仕様ってことか

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 16:44:45 ID:RfPYapt2
レベルアップっていうのはなんかゲーム的だな
戦ってれば経験積んで強くなると思うけど、
ポケモンは意思がないからどうだろう
前の経験活かしたりできなさそう

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 16:52:31 ID:NvDZirTW
>>139
ニケがスケベ魔神レベルを上げつつも勇者らしくなりつつあるのは気のせいだろうか?w

>>168
修正頑張れ。

山頂が投下されたから、これで日曜予約組は全部投下か。
何人死ぬかと思ったら二人だけだったのはちと予想外。
死んだ二人も予想外のやつと、ある程度予想着いてたやつだったな。
……あ、イエローが外れるということは◆ou3klRWvAg氏がSS削除して
いなければ投下できるじゃないか?



183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 16:52:41 ID:/FF2+LNO
ボウガンが「攻撃力が低すぎるよ」で済まされるロワなら有りでも良い気はする

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 19:24:53 ID:AgfRu94D
ウィキの作者紹介のところに大量にコメントを入れてくれた人乙。
ああいうのってとても励みになると思う。

>>168も、修正お疲れ様でした。

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 19:32:56 ID:YUvZj0op
メロが3人倒して何を聞くのかも興味あり
コナンとネギの活躍も期待

186 : ◆NaLUIfYx.g :2007/03/23(金) 20:34:59 ID:IYRYAmeq
>>168
修正お疲れ様でしたぁ
とりあえず大丈夫だろう……と思いながら
イリヤ、はやて、レンを予約します

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 20:46:21 ID:8DOyMVyp
>>184
目指せ、書き手さん全員コメント!…ですね。
僕なんかには無理そうですがー。。。

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 20:53:37 ID:LaP7p2ri
もしピノッキモン主催だったら
連絡役のレッドベジーモンがアニロワのツチダマみたいに根っこネットワークで
連絡とりあってそうだなあ。しかも監視役も兼ねられて、ギガゾンビ並に身勝手な主催に
コキつかわれてて……

いかん、こっちの方が面白そうだったかも

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 20:54:56 ID:8DOyMVyp
>>188
でもピノッキモンだったら、何だか頑張れば倒せそうだなw
それに実質仕切るのはジュレイモンになりそうだw

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 21:32:02 ID:Bw5mK3yU
ふと思ったんだが、今後エヴァがリリスの血を吸って魔力補充する展開になったら
チャチャゼロも単独で動けるようになるのかな?

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 21:36:05 ID:YueYbiOu
>>176
たまには都合が良い位に『良い方向』に転がる話が有っても良いけどね。
全体的には暗い物でも、話には波ってものがあるわけだし。
落として上げてまた落としてまた上げて……という物だ。
別に、NGになる程の理由は何も無かったと思う。
指摘した人もご都合主義に見えなくなるように修正希望が有っただけだし。

部分自主撤回ならそれはそれで良いけど、
その場合は残す部分だけを新しい作品として投下した方が良いと思う。
出るキャラが変わったりして別作品になるわけだから。

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 21:59:05 ID:9uPhnfUp
>>190
それはないでしょう。それ可能なら支給品の基準が揺らぐ。
エヴァの魔力がいくら増えてもジェダの制限でチャチャゼロには届かない、ってことで。

むしろ、対主催ルートを進めて各キャラにかけられてる制限を外せれば、それだけで動けるんじゃないか?
首輪を外せば制限も解けるのか、
何か島の仕掛けを壊せば解けるのか(工場あたりが怪しいないまのところ)、まだ分からないけど。

193 :191:2007/03/23(金) 22:22:32 ID:YueYbiOu
って、修正スレにだけどもう投下されてたんだな。
これで解決か。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 22:42:32 ID:k/3tYykt
唐突に報告です。
まとめwikiのSSのページに、次の話などへのリンクを追加しました。
現時点で実装されているのはオープニングおよび001〜010話のみですが、今後ぼちぼち増やす予定です。
ミスなどありましたら、報告あるいは修正してくれると助かります。

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 22:45:38 ID:YueYbiOu
>>194
GJ!!
これは便利。

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/23(金) 22:47:58 ID:NvDZirTW
>>194
GJ! アニロワ形式か、あれ便利なんだよね。時間があるときには手伝うぜ!
これ完成したら追跡表いらなくなるのかな。

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 00:01:51 ID:/kG8bs0Y
コレはGJ
追跡表は一応あったほうがいいんじゃないかと
初出のキャラの居場所とかで使うんじゃ?

198 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/24(土) 00:40:18 ID:hzVD6CTQ
レベッカ宮本、ジーニアス、薫 以上3名予約してみます。

語りや思考にちょっと不安なキャラ(ジーニアス)もいるので、
先にテスト投下スレに投下してから、という形にしようかと思っています。
その際には、TOSをよく知る方、ご協力下さい。

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 00:42:28 ID:hEaXkonc
予約きたー。及ばずながら協力しますぜ。

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 02:31:43 ID:hEaXkonc
【予約まとめ】
3/23(金)〜26(月)まで
◆JZARTt62K2:葵、ベルカナ、アルルゥ、プレセア、レミリア
◆NaLUIfYx.g :イリヤ、はやて、レン

3/24(土)〜27(火)まで
◆3k3x1UI5IA:レベッカ宮本、ジーニアス、薫

危険人物が二人組と接触する予約が二つ。手を組むのか組まないのか微妙な
ところが果たしてどうなるやら。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 04:14:42 ID:4BasKj/K
お茶会の所も、喩え一時的に手を組めたとしてもほぼ確実に大爆発しそうな凄い事になってるw
ベルカナが偽薫状態の事も有って、色々とwktk。

202 : ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:31:18 ID:DvMPR52/
葵、ベルカナ、アルルゥ、プレセア、レミリアを投下します。

203 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:32:28 ID:DvMPR52/
城の二階、書庫。
大理石造りの床に、煉瓦の壁。埃が積もった本棚と、何千冊もの蔵書。
ひんやりとした雰囲気に覆われた知の宝庫は、石を主体としたロマネスク様式を思わせる。
明かり取りの窓から差し込む光が闇を切り裂き、かろうじて書庫を『薄暗い』状態に保っていた。
黙然とした部屋の雰囲気は、やや陰鬱で重苦しい。悪魔をモチーフにしたであろう絵画も、不気味さに拍車をかけている。
だが、完全に無音というわけではない。
もしこの場に第三者がいて、耳をすましたならば、二人分の薄い呼吸音を聞くことができるだろう。
手負いの、二人の少女の吐息が。

「薫、いい加減起きぃや……。このままやとウチ、不安になってまうやないか……」

野上葵の疲れきった声が、目を閉じて横になっている赤髪の少女へと降りそそぐ。
二人がこの書庫に隠れ潜んでから数時間、葵はずっと親友の看護を続けていた。
自らの左足を喪失したことなど気にも留めずに、だ。
だが、赤髪の少女は一向に目を覚まさない。その現実は、葵に激しい疲労感を与え始めていた。
身体ではなく、精神にかかる蓄積疲労。思考は黒い螺旋を描き、ネガティブな方向へと沈んでいく。
もし、身体に重大な障害が残っていたら。もし、このまま目覚めなかったら。
もし、死んで――

「あかん!」

葵は悪夢を振り払うように頭を揺らすと、親友の身体をしっかりと抱き締めた。
いくつも重ねたシーツの皺が大きく歪み、隙間から素肌――全裸である――が覗く。

「そんなこと、絶対許さへん……なあ、そうやろ薫……殺しても死ななそうなあんたが、こんなつまらん死に方するはずないもんな……」

何度語りかけても、相手は返事を返さない。それにもかかわらず、葵を言葉を絶やさなかった。
まるで、そうしないと自分が壊れてしまう、とでも言うかのように。
野上葵は、繰り返し、繰り返し、孤独な人形劇を演じ続ける。
一体どれくらいの時が過ぎたのだろうか、二人の身体はいつしか汗まみれになっていた。
ぶつぶつと呟いていた葵は一旦言葉を区切ると、親友の汗を拭うため、予備のシーツに手を伸ばす。
指先がシーツに触れようとしたそのとき、伸ばした手がビクリと震えた。
廊下に通じる扉の向こうから、たっ、たっ、たっ、と響く足音を、葵の耳が感知したのだ。
石畳が交互に叩かれ、軽いリズムが刻まれている。
足音はしだいに大きくなり、誰かが書庫に近づいてきていることは明らかだった。

「そろそろ、引き際やな」

この城が危険だということはわかっていた。なにしろ、レミリア・スカーレットという危険人物の居城なのだ。
極めて危険な場所だということはわかっていて――だからこそ、葵は城に留まった。
気絶していた葵にトドメを刺さなかったことから考えて、レミリアは積極的に殺し回る性格ではない。
ただ、妹の性格と本人の雰囲気から想像するに、安心や信頼とは真逆の存在だ。
敵対する者や目障りな者に対しては、攻撃することを厭わないだろう。
だからこそ、である。

204 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:33:25 ID:DvMPR52/
この城にいれば、少なくともレミリア以外の危険人物から身を守れる確率は高くなる。
気絶した薫を背負って消耗した身体で外に出るよりも、この城に隠れていたほうが安全だと判断したのだ。
注目を集めるであろう戦闘跡を避け、人気のない書庫に篭ってからから三時間強が経過したが、幸運なことに誰も書庫には近づいてこなかった。
葵の判断は間違っていなかったと言える。
だが、それもここまで。
盾として利用するとはいえ、レミリアが『絶対に会いたくない危険人物』であることに変わりはないし、
書庫に近づいてくる足音がレミリアのものでなかったとしても、そいつが殺人者でないとは限らない。
気絶した薫を抱えたまま戦うわけにはいかないし、交渉という危ない橋を渡ることも避けたい。
ならば、どうする?

「ベタやけど、三十六計逃げるに如かず、やな」

僅かな記憶を引き摺り出し、足音の間隔が紫穂のものでないと確認した後、葵は『親友』の身体を抱きかかえた。

「ホンマはあんたが起きてから紫穂探そ思てたんやけど……しゃあない、ウチ一人でも探し出したるわ!
 だから薫、少しだけ我慢してな。寝てるとこ悪いけど、飛びまくるで!」

   ※  ※  ※  ※  ※

瞬間移動能力が空間を歪め、二人の姿が瞬時に掻き消える。
託卵に気付かぬ哀れなモズが、カッコウの子供をおぶって空を飛んだ。
二羽の鳥が飛び去った巣に、動くものは残っていない。だが、それも一瞬のこと。
書庫から二つの気配が消えると同時、ギィ、と音を立てて扉が開いた。
入れ替わるように入ってきた獣耳の少女が、書庫の中をキョロキョロと見回す。
そのまま部屋の中に入り、尻尾をピコピコさせながら壁沿いをぐるっと一周。
机の下を覗き込み、椅子をどかし、絵画の裏を確かめ、書庫の中を走り回った。

「ん〜〜〜」

それだけでは物足りないと思ったのか、少女は本棚の本を抜き出し始めた。
『闇の開闢』というタイトルの本を一冊抜いて奥を覗き込み、誰もいないことを確認する。勿論、誰もいない。いたら怖い。
続けてもう一冊『私と魔界』、また一冊『魔界魔蟲大全』、更に一冊『ザベル=ザロック全アルバム紹介』……
抜き出された本は山のように積み上げられ、いつ崩れてもおかしくないような状態になっていた。
そして、その山の登頂に、恐る恐る本を乗せようとする少女が一人。
新たな重量を加算された山はしなるように揺れ――

「……お〜〜〜」

しかし崩れず、その標高を一段階伸ばすことに成功した。
……おそらくこの少女、本来の目的を完全に忘れている。

「アルルゥ、ここにいるんですか? 東側の部屋は全て調べ終わり……って、何をやっているんですか一体……」

開けっ放しになっていた扉から、髪を片側だけ結んだ少女の顔が覗いた。
新たに書庫に入ってきた少女は、本で遊ぶ少女を咎めた後、積み上げられた本の山を本棚に戻していく。

「本は積み上げるものではなく、読むものです。まあ、私もあまり読んだことはありませんが」
「ん、わかった」

アルルゥと呼ばれた少女はその言葉に頷き、髪を片側だけ結んだ少女を手伝い始める。
床に散らばった全ての本を二人がかりで片付けた後、ようやく本題が切り出された。

205 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:34:33 ID:DvMPR52/
「それで、西側の部屋に人はいませんでしたか?」
「う〜〜〜、いなかった」
「そうですか……では、食堂に戻りましょう。レミリアさんに報告です」
「ん!」

二人の少女は互いに視線を交わすと、並んで書庫を出て行った。
ギィ、と音を立てて扉が閉まり、二人分の足音が遠ざかる。
後に残されたのは静寂と、怪しく目を輝かせる絵画の悪魔のみ。

   ※  ※  ※  ※  ※

「じゃああなたたち、外に出て行って探してきて頂戴」

食堂に戻ったプレセアを待っていたのは、倣岸不遜なレミリアの命令だった。
『城の中にまだ瞬間移動娘がいるかどうか探してきなさい』という命令に続く、二つ目の命令。
別に文句があるわけではない。どうせ、ジーニアスを探すために島中を回る予定だったのだ。
ただ、疑問が一つだけ。

「貴女は、一緒に行かないのですか?」

妹を探すことが目的のレミリアは、率先して動くものだと思っていた。
しかし、当の本人はゆったりとした動作で紅茶を啜っており、動く気はさらさらないように見える。

「とりあえず、放送まで動く気はないわ。それに、城を空にするわけにはいかないだろ」

微妙に焦げ付いた指先を隠しながらレミリアが答える。
余裕綽々といったレミリアの態度に、プレセアは小さな溜息を吐いた。
実の妹がどんな目に合っているのかわからないのに、不安にはならないのだろうか?
自分だったら、間違いなく恐慌状態に陥っているだろう。

「探し出す対象は瞬間移動娘とフランで、特徴はさっき教えた通り。さあ、行け」
「おー」
「……わかりました」

一緒にいる時間は短いものだったが、レミリアの性格は大体把握した。
彼女に悪気はない。ただ、レミリアにとって当たり前の言い方をしているだけだ。
助けてもらったのは事実だし、素直に従っておくのが一番だと判断する。
どの道、アルルゥを一人で行かせるわけにはいかないからだ。
島には危険人物が何人もうろついている。四本のブレードを持った少年や、念動力を使う少女や――私や、アルルゥといった危険人物が。
一人でうろつくことなど、自殺志願以外の何物でもない。
それにもかかわらず城の探索を二手に分かれて行ったのは、
数時間気絶していたレミリアとアルルゥが殺されていなかったことから、他の参加者が城にいないと考えたからだ。
だが、城の外は違う。いつ、どこで、誰が、どんな手段で襲ってくるか全くわからない。
いくら魔獣を使役できるとはいえ、奇襲攻撃を受けたらすぐに殺されてしまうだろう。
だからこそ、私が傍にいる必要がある。術士を守るのは戦士の役目だ。

206 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:35:25 ID:DvMPR52/
「放送前には必ず帰ってきなさい。良い茶葉や菓子を見つけたら持ち帰るのも忘れずに」

暢気ぶりが天を貫きそうなレミリアの台詞を背中に受けながら、プレセアは食堂を後にする。
生乾きの服が肌に張り付いて気持ち悪いが、そこは我慢だ。
先走って駆け出そうとするアルルゥを手で制しながら、もう片方の手で鉄槌を引っ張り出す。
この先、絶対に油断はできない。安全な城から外に出れば、悪意蠢く広大なフィールド。
戦士が一人、術士が一人。パーティーの人数は少ないが、今までの冒険と何も変わらない。
束の間の憩いはもう終わり。ここからは、戦争だ。

   ※  ※  ※  ※  ※

「どうやら、行ったようね」

城を出て行く二人を食堂の窓から見送ったレミリアは、誰にともなく呟いた。
食堂で最も大きい椅子に座った姿は、一言で言うと――不審者。
プレセアから返却されたシルバースキンを着込んだ姿は、お世辞にも高貴とは言い難い。
テーブルクロスを纏ったままで長時間いるのは流石にどうかと思うし、元々着ていた服は生乾きだ。
となれば選択肢は一つに限られ、レミリアは『それ』を着込んでいた。
日光すら防ぐ鉄壁の防具は、あらゆる意味で便利な代物だ。便利な代物なのだが――

「動きにくい……」

そう、だぶだぶで動きにくいのだ。その上、見た目が異様に恥ずかしい。元々の持ち主のセンスは最悪だと思う。
これが、レミリアが外に出たくない理由である。
プレセアとアルルゥを追い払ったのも、この姿を見られたくなかったからだ。
こんな、威厳とは540°違う姿を民衆に見られてしまったら、恥ずかしさのあまり命を絶って死後の世界に赴き、、
妖夢をぶち倒した後で復活して、目撃者を全員葬り去ってしまうことだろう。中盤の行為に意味はない。
服が乾いて夜になれば自由に動けるのだが、今はどうしようもない。
プレセアからの貢物である思い切り鋏を片手で弄びながら、レミリアは足をぶらぶらさせた。
暇だ。

「お茶でも飲むか……ん?」

足の爪先が何かに触れ、カサリと紙が滑る音。
興味を引かれて拾い上げると、その紙は支給品の説明書だった。

「これは、アルルゥが持っていた魔石の説明書か……どれ」

暇潰しに広げた説明書。そこには――

   ※  ※  ※  ※  ※

「アルルゥ、あまり私から離れてはいけません」
「プレセアおねーちゃん、はやくいく!」
「聞いていませんね……」

城の跳ね橋を歩きながら、困ったような顔で先行するアルルゥを見つめる。
元気があるのはいいことだが、術士が先走っていいことなど何一つない。
何と言って注意すればいいかと迷っているうちに、跳ね橋を渡り切ってしまった。

207 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:36:29 ID:DvMPR52/
目の前には赤茶けた道が真っ直ぐに伸びていて、その向こうでは川が流れている。
人影は見えず、いきなり敵と接触する可能性は低そうだ。
とはいえ、困った。どこから探していいのか見当がつかない。

「アルルゥ、どこから捜索を始めたいですか?」
「もり!」

試しにアルルゥに聞いてみると、速攻で答えが返ってきた。

「何か、思い当たる場所でも?」
「アルルゥ、もりのなかはしるのとくい」

理由はそれだけらしい。
アルルゥに聞いたのがそもそも間違いだったと思いかけて、ふと考える。
自分達に有利なフィールドで戦うのは、あながち間違っていないのではないかと。
お茶会の最中にアルルゥ自身から聞いたことだが、アルルゥは『森の母』と言われる存在だという。
森の気配を読み、森の中に隠れている異物を探知できる――そんな能力を持っているという話だ。
自分も森で木こりの仕事をしていたから、森には人一倍詳しい。
ならば、二人の力を最大限発揮できる森の中を探索したほうがいいのではないだろうか。

「……アルルゥ、あの辺りの木に鳥がいるかどうかわかりますか?」
「ん〜〜〜、あっちのきににわ、こっちのきにいちわ、そっちのきにいちわ、いる」
「そうですか」

アルルゥの答えを頭に収めた後、おもむろにハンマーを振り上げる。
狙うは、地面。

「爆砕斬ッ!」

鉄の顎が土を喰らい、食い散らかされた茶色の欠片が前方に飛び散る。
それと同時に、地面を伝わった破壊の衝撃が森を打ち揺らした。
前方の木々からバタバタと飛び立つ鳥は、一羽、二羽……合計四羽。
どうやら、アルルゥの言は本当のようである。
これで方針は決まった。

「わかりました、それでは森に向かいま……どうしました?」
「プレセアおねーちゃん、いじわる」

見ると、アルルゥがジト目で見上げている。
無闇に森に衝撃を与え、鳥達を驚かせたことに怒っているらしい。

「すみません、アルルゥの力を一度見てみたくて……」
「う〜〜〜」

言い訳抜きで謝ってみても、アルルゥは唸り声を上げるばかり。
どうやら、完全に機嫌を損ねてしまったようだ。
そっぽを向いたアルルゥは、さっさと森の中に入っていってしまった。
慌ててその後を追いながら、自然と笑みが零れてくるのを感じる。

(懐かしいですね)

オゼットの村でホレスとジャネットの世話をしているときも、こんなことが何度かあったような気がする。

208 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:37:39 ID:DvMPR52/
不意に、まだ幸せに暮らしていたころのオゼットでの生活を思い出しかけ、すぐに頭を振って幻想を追い払った。
時は戻らない。それが、自然の摂理。
それでも、いや、それだからこそ、アリシアの蘇生を願ってしまった。
ジェダの能力に一縷の望みを託し、自然の摂理を打ち砕くことができるのではないかと夢を見た。
今となっては、その思考が間違ったものだとはっきりわかる。
大切な仲間であるジーニアスや『お姉ちゃん』と呼んでくれるアルルゥを殺すことなど、今の自分にはできない。
二人を殺してしまうくらいなら、あの世でアリシアと再会したほうがマシだ。

――ならば、もし二人が死んでしまったら、私はどんな選択肢を選び取るのだろうか。

(馬鹿馬鹿しい)

最悪の妄想から脱却し、遠のき始めたアルルゥの背中を追う。
余計なことを考えている暇はない。今は、一刻も早くジーニアスと合流することが先決だ。
フランドール・スカーレットと瞬間移動を操る少女の捜索も忘れずに。

「待ってくださいアルルゥ、探索の前にフォーメーションの確認だけしておきましょう」
「…………」
「私の食料をあげます」
「する」

   ※  ※  ※  ※  ※

城の食堂で、海賊風の衣装を纏った変質者――レミリア・スカーレットが、鋏を回転させていた。
持ち手の部分に人差し指を入れられ、大きく開ききった鋏は、風車のように円を描いている。
玩具のようにぞんざいに扱われているその鋏の名は『思い切りハサミ』。
二つの刃で迷いを切り取り、プレセアとアルルゥを凶行に走らせた危険な道具。
開ききった鋏が閉じられてレミリアの『迷い』が断ち切られたとき、どれほどの惨事が起こることか……。
当のレミリアはそんなことなど気にも留めず、拾い上げた説明書に目を通している。

「ふーん、『幻獣界メイトルパの召喚獣を呼び出し、敵を攻撃する道具です』ね。特殊なスペルカードみたいなものか。
 ん、追記があるな……」

但し書きにはこう書かれていた。
『なお、召喚獣は攻撃にしか使えず、呼び出すとすぐに攻撃動作をして、その後帰ってしまいます』
『召喚獣を乗り物にしたり、召喚獣を策敵目的で使うことはできないのでご注意ください』
『この支給品は実際のゲーム中の効果を再現しています。支給品に不具合があった場合、ごめんなさい。賠償請求は受け付けません』
ふざけた注意書きだった。三行目が特に。

「攻撃にしか使えない、ねぇ」

どうでもよさそうに呟きながら、レミリアは説明書から指を離す。
手から離れた紙片が、空中でくるりと一回転した。

「……あの子達は、ちゃんとこのことを理解しているのかしら?」

   ※  ※  ※  ※  ※

209 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:39:09 ID:DvMPR52/
「前衛は私が務めますから、アルルゥは召喚術で援護してください」
「ん」
「先に不審な人間をを見つけてしまった場合は、とりあえず私のところまで逃げること。
 ただし、危ないと思ったときは即座に召喚術を発動させてください」
「……おう」
「できれば攻撃は控えるようお願いします。あの魔物が目の前に現れるだけで大抵の人間は怯むでしょうし、こちらの勘違いということも有り得ます。
 フードの少女達を襲ったことで、私達は何人かに危険人物と見なされているはずです。これ以上敵を増やしたくありません」
「……ん〜〜〜」
「召霊術を使い始めたばかりのしいなさんも、旅の中で自在に精霊を使役できるようになりました。
 精霊と魔物という違いはありますが、召喚術が使える以上、アルルゥが召喚獣を自在に扱うことは可能なはずです」
「わかった!」


――理解してなかった。



【F-4/森/1日目/午後】
【プレセア・コンパティール@テイルズオブシンフォニア】
[状態]:体力消耗(小)、軽度の貧血、右肩に重度の裂傷(処置済+核鉄で、なんとか戦闘可能なまでに回復)。
    ツインテール右側喪失。思いきりハサミにトラウマ的恐怖。
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはA’s、エクスフィア@テイルズオブシンフォニア
[道具]:カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA’s、支給品一式(生乾き、食料−1)
[服装]:冒険時の戦闘衣装(ピンク色のワンピース、生乾き)
[思考]:ブレードの少年には特に気をつけましょう……
第一行動方針:森を散策して、ジーニアス、フランドール、瞬間移動娘(葵)を探す。
第二行動方針:放送前には城に帰還して、レミリアと合流。
基本行動方針:ジーニアスを探す。ジーニアスとアルルゥが生きている間はゲームに乗らない。
※プレセアはアリシアの死を知った以降から参戦。
※グラーフアイゼンはこの状況を警戒しています。


【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:軽い疲労、頭にたんこぶ。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品(食料−1)、クロウカード二枚(バブル「泡」、ダッシュ「駆」)
[服装]:民族衣装風の着物(普段着)
[思考]:ん〜〜〜……(フォーメーションについてあまり理解していない)
第一行動方針:プレセアと一緒に森を探索する。怪しいやつが出たらタマヒポを召喚して動きを止める。
第二行動方針:イエローや丈を捜したい。放送前には城に戻る。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
   ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
   サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。このことをアルルゥは理解していません。

210 :使用上の注意をよく読んでください ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:40:06 ID:DvMPR52/
【F-3/城の外/1日目/午後】
【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[状態]:左足損失、超能力の連続使用による微疲労、精神的疲労、強い決意
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心
ベルカナのランドセル(基本支給品、黙陣の戦弓@サモンナイト3、返響器@ヴァンパイアセイヴァー)
[思考]:待っとれよ紫穂!
第一行動方針:薫を守りながら紫穂を探す
第ニ行動方針:できれば薫は安全な場所に避難させたい
第三行動方針:レミリアかフランドールに出くわしたら、逃げる
第四行動方針:逃げた変質者(ベルカナとイエロー)は必ずぎったんぎったんにしたる
基本行動方針:三人揃って皆本のところに帰りたい
[備考]:ベルカナが変身した明石薫を本物だと思い込んでいます。
イエローをサイコキノ、ベルカナも何らかのエスパーと認識しました。
なお二人が城戸丈を猟奇的に殺害し、薫に暴行をしたと思っています。

テレポートについて
葵のテレポートは有効活用すると「装備取り上げ」や「石の中にいる」が強力過ぎと判断し
「意識のある参加者(&身に着けている所持品)は当事者の同意無しでは転移不可」として描写しています。


【偽明石薫(ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT)】
[状態]:気絶、明石薫に変身中。左腕に深い切り傷、全身に打撲と裂傷(応急手当済み)、
あばら骨数本骨折(他も骨折している可能性あり)、出血による体力消耗
[装備]:全裸(シーツを何重にも羽織っている)、
[道具]:なし
[思考]:…………
第一行動方針:明石薫のふりをして、この場を切り抜ける
第二行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
変身魔法を解除した場合、本来の状態(骨折数箇所、裂傷多数、他)に戻ります。

「シェイプ・チェンジ」について
明石薫に変身しています。持続時間は永続(本人の任意で解除)で精神以外は完全に薫です。
超能力もコピーされていますが、経験不足なので消耗は激しい上、使い分けは出来ません。



【F-3/城内の食堂/1日目/午後】
【レミリア・スカーレット@東方Project】
[状態]:魔力消費(中)
[装備]:飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心、シルバースキンAT(ブラボーサイズ)@武装錬金
[道具]:支給品一式(食料−1)、思いきりハサミ@ドラえもん、クロウカード1枚(スイート「甘」)
[服装]:シルバースキンAT(シルバースキンの下は全裸、服は洗って干している)
[思考]:ひとまず放送を待つか。
第一行動方針:お茶を飲みながら放送と夜の訪れ、及びプレセアとアルルゥを待つ。
第二行動方針:フランを知っている瞬間移動娘、及びフランをプレセア達に探させる。
第三行動方針:服が乾き、なおかつ時間があり、更に気が乗っていたら爆薬で加速の実験をする。
基本行動方針:フランを捜す。ジェダは気にくわない。少しは慎重に、しかし大胆に。
[備考]:思い切りハサミを片手で弄んでいます。うっかりすると音が出るかもしれません。

211 : ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 09:41:24 ID:DvMPR52/
投下終了しました。

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 13:34:01 ID:u0m212G1
オツ!
シルバースキンの下は全裸か…全裸コートエロスwww
っていうか思い切りハサミをもてあそぶなw危ないww

召喚獣が攻撃にしか使えないってのを理解してない二人は、誰かを攻撃してしまう可能性があるわけですね。
こっちにも期待。

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 14:26:27 ID:IEdUanBI
乙。
なんか、誤解とかが広がりそう。
てっきりアルルゥはヒポタマに乗って駆け回るもんだと思っていた。

ふと思った。丈を追撃するさいにヒポタマを二回使っているけど、
それに関してはアルルゥはどう思っているんだろうか?
出たり入ったりするもんだと思っているのだろうか?

214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 14:37:23 ID:hEaXkonc
乙!
今のレミリアが思い切りハサミで断ち切る悩みが何なのかとか城の図書館とか
想像力をかきたてられました。
自分も丈のときに2回使ったというのが気になった。
1回の召還で攻撃1回だと矛盾があるかと。


215 : ◆JZARTt62K2 :2007/03/24(土) 14:46:18 ID:DvMPR52/
ゲームだとタマヒポは毒ガスを何回かに分けて吐くので、「1回以上」吐いたら帰るという感じでどうでしょうか?

……タマヒポ出したの私なんですけど、詳しい効果書いてなかったことを深くお詫びします……
「ワイヴァーンに乗って空を飛ぶ」とかになったら揉めそうなので、使用方法を明確にしました。
他に問題があったらお願いします。

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 15:38:30 ID:P0njbxCp
投下乙。GJ。
葵は偽薫付きで逃げたか。密着して一緒になら他人のテレポートも有りって所かな。
そして城の3人……依然良い方向だけど他チームとの不和の種は増え続けてるのなw
安定するか暴走するかどっちになるか楽しみなところだ。

丈の時のタマヒポは、こっそり2回連続で使ってた(事にする)とか。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/24(土) 17:48:14 ID:u0m212G1
>>216
「意識のある参加者(&身に着けている所持品)は当事者の同意無しでは転移不可」
だから、意志のない気絶した参加者は転移可能ってことかと。

218 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/25(日) 01:59:12 ID:HVgPRnEX
各地のキャラが結構動いてきてるな
南のほうと中央は爆弾だらけw
北にももっと爆弾が欲しいなあ……

219 : ◆o.lVkW7N.A :2007/03/25(日) 14:38:53 ID:f1DOlk+N
ミミとグレーテルを予約します。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/25(日) 15:12:46 ID:inLwBsuc
予約きたっ
ようやくあの二人も動くのか……wktk


……さて、自分も推敲頑張るか。
投下先が一時投下スレになるか没スレになるか、無予約狙いは地獄だぜ

221 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 00:00:48 ID:QUu4R6Ta
……先日予約取ったものを、予告通り避難所のテスト投下スレに投下、してたのですが……

したらば、調子悪いんでしょうか? あと残り1レス分なのにアクセスデキナイヨ

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 00:11:41 ID:dWELpR76
したらば全部調子悪いみたい。

223 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 00:19:39 ID:QUu4R6Ta
復帰したようです。無事、テスト投下スレに投下し終わりました。

前にも言った通り、ジーニアスの言動がこれでいいのか、という不安があります。
TOSに詳しい方、よろしければチェックお願いします。
コメントはテスト投下スレの方で頂いた方がいいでしょうか?
細かい指摘でも印象論的なことでも構わないので。

大体1日ほどテスト投下スレに置いておいて、修正が必要なら修正して、
明日の夜、予約から3日の期限が来る頃に本スレ投下、という予定で行こうと思っています。

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 00:46:48 ID:dWELpR76
>>223
したらばがまた重いのでこちらで。
個人的には印象とかは問題なし、というかよく調べ上げたなぁと思いました。
誤字かどうかは分かりませんが「そ、翠星石」という文があったのが少し気になったくらいです。
細かい感想は正式投下時に言います。


225 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/26(月) 07:14:05 ID:/cB21xrT
一休さん、古手梨花、灰原哀、ネギ、コナン、メロ、金糸雀に予約を入れます。

あと出さないのですがヘンゼルVSリンク&小狼戦にも影響を与える可能性があります。
(前話の時点でそっちに向かおうとしているキャラクターが居るわけですから)
こちらはどうしましょう。

226 : ◆tF8w7KK0cU :2007/03/26(月) 07:33:35 ID:BHNAjtTp
三宮紫穂を予約したいのですが、内容的に他の書き手さんのパロをやろうと思っています。
◆CFbj666Xrwさん、SSの内容をパロってもいいでしょうか?

もしよければ、三宮紫穂予約です。
駄目だったら、予約を破棄します。

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 10:36:52 ID:yxd4Vjk6
>>223
ダイク「ワシのドワーフの誓いは108まであるぞ」

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 10:39:56 ID:yxd4Vjk6
一つ気に成ったのだがジーニアスも割と聡明だから
リフィルやリーガルがいない場合はこういうときに率先して口出ししたりしそうな。
まあこのままでもおkだと思う

229 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/26(月) 10:45:15 ID:a+TkYgHr
>>226
そういうのは好きなので喜んでどうぞ。
どんな内容になるか楽しみにしますw

230 : ◆0e1.qJAPw2 :2007/03/26(月) 13:27:51 ID:bSNowVpw
きり丸・のび太・キルア・太一、予約しますね

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 13:35:28 ID:dWELpR76
月曜から予約ラッシュw
序盤に書いた人たちがまた書いてくれるなんてうれしいなー。
さて、こんな時間だけど学校行くか……。

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 16:22:27 ID:nVMQhPrY
>>231
頑張れ
知性とは授かり物だ


233 : ◆tF8w7KK0cU :2007/03/26(月) 20:42:55 ID:FwtQGyYO
>>229
承諾していただいて、ありがとうございます。
では、正式に三宮紫穂予約です。

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/26(月) 21:43:24 ID:dWELpR76
wiki更新しようと思ったのにプレビューと投稿ができねー!
重いわけじゃないのに何でだよ……。

235 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:09:52 ID:QUu4R6Ta
>>234
ちょっと気になって弄ってみましたが、
wikiの既にある項目の微修正なら、何の問題もなくできましたが……?


>>224>>227>>228
確認、感謝です。

では、予約していた3名の話、本スレへの投下を始めたいと思います。

236 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:10:59 ID:QUu4R6Ta

――穏やかな風が、湖の上を吹き渡ってキラキラと小さな波を立てる。
音も無く、白い雲が流れる。
澄んだ青い空。穏やかな日差し。
柔かな、沈黙。

「…………」

静かな湖畔で、少年は膝を抱え、ぼんやりと湖を眺める。
立ちつくす少女も、ぼんやりと湖を眺める。
言葉もなく、待つ。帰ってこない仲間を、待つ。

…………仲間。
そう、『彼女』は、仲間だった。少年と少女の、仲間だった。
会ってから何時間も経ってない。会話だって、ろくに交わしていない。
出会いは最悪。初対面の印象も最悪。
問答無用で攻撃してきた『彼女』を、これも問答無用でKOして取り押さえた間柄。
いい思い出なんて、1つもなくって。
けれど間違いなく、『彼女』は仲間だった。待ち続ける2人にとっては、仲間だった。

「おい、ジーニアス。いつまでこんなトコで待ってるつもりだよ?」
「……もう少し……もう、少しだけ、頼むよ……」

沈黙を破ったのは、少女の苛立たしげな呟き。対する少年は、懇願するように、小さく囁き返して。
ジーニアスにも、本当は分かっている。
これだけ待っても戻ってこないということは、どう考えても、きっと……。
考えれば考えるほど絶望的になって、でも、そんなこと認めたくなくて。
そんな少年に、少女は溜息1つつくと、ドサッと荷物を投げ出す。

「……こんなトコでボーッとしてても、しゃーねーよ」
「でも、ベッキー」

だからって、翠星石を置いてはいけない。
そう反論しかけたジーニアスは、そして見上げた彼女の表情に、言葉を飲み込む。
泣きそうな……けれど、強い意志で、絶望の中に微かな希望を見出さんとする、レベッカの表情。
彼女は明らかに強がりと分かる笑みを浮かべて、それでも言った。言い切った。

「アイツはお前に言ったんだろ? 『臆病だから勝てる戦いしかしない』って。
 なら、きっとアイツは勝った。そう信じてやるしかないだろ」
「え……?」
「――迎えに行くぞ」

レベッカは断言する。ふてくされたような口調で、でも力強く断言する。
並べた3つのランドセルから次々と必要なモノを引っ張り出しながら、彼女は力強く断言する。

「勝ったのに戻ってこれないってことは、きっと何か水の中でトラブってんだ。
 どっか引っ掛かっちゃってるのか、身体の中に水入って沈んでるのかは知らないけどよ。
 奴が帰って来れないなら、こっちから迎えに行ってやるしかないだろ。
 ……ったく、あのバカ人形は手間取らせやがって……。ほらジーニアス、さっさと着替えろ。
 コレとコレと……コレを使えば、なんとかなるか。
 アイツの支給品、勝手に使っちまうことになるけど、構わないよな? 元はと言えばアイツの不始末だしよ」

237 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:12:04 ID:QUu4R6Ta

         *         *         *

――同時刻。

森の中。
真っ黒な球体を恐る恐る観察していた少女が、首を振りながらその場を立ち去る。
義体の少女・トリエラにも理解できなかった黒い塊、それは大きなイビキ、にしか思えぬ音を立てていて。

明石薫。
後に重要な役割を果たす、ことになるのかもしれない少女は。
この時点では、未だ大爆睡の真っ最中であった。

         *         *         *

「……本当にコレで大丈夫なのかな。こんな道具で……」
「心配するな。私もあんまし泳げねーから。ま、なるようになるさ」
「それ、余計に心配だよッ!」

縞模様の半袖半ズボンに着替え、説明書に従いクリームを塗るジーニアスが、不安そうに叫ぶ。
えっちらおっちらと、服の上からさらに白い服を着込んでいたレベッカが、ヘルメットを手にニヤリと笑う。

「フフン。その元気があれば、大丈夫そうだな」
「……ッ!!」
「とにかく、ジェダの奴がいくら性格悪くたって、説明書とかにつまんねー嘘書いたりしねーだろ。
 万が一もしヤバいようだったら、途中で引き返せばいいだけのことさ」
「ま、まあ、こっちはそれでいいけどさ……ベッキーの方は、本当にそれで大丈夫なの?」

『木村先生』とかいう人物が着ていたという『水着』に、未来のひみつ道具・『海底探検セット』。
全身に塗る『深海クリーム』に、鼻に詰める『エラ・チューブ』、足元の『快速シューズ』、頭には『ヘッドランプ』。
自分のランドセルはナマコ型の水中用『寝袋』に詰め込んで、肩にかけて、手には杖を持って――
お世辞にも、カッコいいとは言えない服装だ。
ただ、ジーニアスの方は、見かけはともかく、とりあえずは「そのため」に作られた装備。
しかし、レベッカの方は……。
心配するジーニアスに、レベッカはヘルメットを被ると、木刀を片手に胸を張る。

「なに、宇宙飛行士の訓練だって、深いプールの中で行われるんだ。潜水服の代わりにくらいはなる」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「それ行くぞ〜。あんまりアイツを待たせても可哀想……ぶッ!!」

ダボダボの、サイズの合ってない『宇宙服』を着込んだレベッカは、そして湖に向かって歩き出そうとして……
……転んだ。
いやまあ、それだけ裾が余っていれば、無理も無いかもしれないが。
宇宙服というのは、見かけによらずかなりの重量がある。船外活動も可能な装備となれば、尚更だ。
おまけに、お腹の辺りにはランドセルや脱いだ白衣を入れていたものだから、妊婦のように膨らんでいる。
荷物で突き出た腹部に乗っかる形で倒れて、自力で立ち上がることもできず、彼女はジタバタともがく。
ひとしきり無駄な抵抗をしたところで、ふと視線を感じて顔を上げる。ジーニアスと目が合う。

238 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:13:24 ID:QUu4R6Ta

「……なんだよ? 何か言いたいのか?! 何か文句でもあるのか!?」
「べ……別に……ププッ!」
「わ、笑ったな! 今、笑ったな! 私は先生だぞ、笑うんじゃない! 笑うなってば! はぅはぅ……!」

涙目で叫ぶレベッカ、でもそんな体勢で怒ったところで、全く怖くない――むしろ、微笑ましいばかりだ。
それでも彼女を助け起こしたジーニアスは、ふと、自分が笑っていたという事実に気が付く。
……どうしても暗くなりがちな状況にあって、この天性の明るさは、ある種の強さと言っていいかもしれない。
心の内で密かに感謝しながら、彼は提案する。

「今さらだけど、ベッキーがこっちの道具使う?」
「いい。女物の水着もねーし、そんなの着たくもねーし。まさか裸で泳げって言うのか?
 ジーニアスはそんなに私の裸が見たいのか? ちょっと危険な犯罪の匂いのする絵になるぞ?」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
「それに、背中の傷のこともあるしな。水とか『深海クリーム』とか、ちと直接触れさせたくねーんだ」

レベッカの言葉に、ジーニアスはそれもそうか、と思い直す。
彼女の背中の傷は、一応手当てはしてはあるが、そう軽いものではない。
それに、『深海クリーム』にはたっぷり余裕があるが、『エラ・チューブ』や『快速シューズ』は1人分しかない。
もしも道具や水着を交換するとしたら、ジーニアスが宇宙服を着なければならなくなる。
いざという時のことを考えると、ジーニアスはできるだけ動き易い格好で居た方がいい。
元から戦闘能力のないレベッカはともかく、魔法で戦える彼まで動きづらくなるのは、ちとマズい。

「ベッキーは……ベッキーだけでも、僕が守るから」
「? 何か言ったか?」
「ううん、何でもない。急ごう。翠星石をあまり待たせちゃいけない」

今分かった。レベッカが無意識に周囲にもたらす「明るい空気」は、その「強さ」は、この先大切なものだ。
なんとしても、守り抜かなきゃいけない。
ジーニアスは胸の奥で強く誓うと、ランドセルの入った寝袋を担ぎ、杖を握り、よろけるレベッカを支えて。
翠星石が待っているはずの、湖に踏み込んだ。

         *         *         *

――同時刻。森の中。

「目が、目がぁ――!!」

明石薫。
後に重要な役割を果たす……のかどうか、ちょっとばかり怪しくもなってきた、この少女は。
直射日光に目をやられて、のたうちまわっていた。
彼女が物語に関わってくるのは、もう少し先のお話になりそうで……。

239 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:13:58 ID:QUu4R6Ta

         *         *         *

水の下に広がっていたのは、静寂に包まれたもう1つの世界。
一歩足を踏み出すごとに、透明度の高い水の中、僅かに砂と土が舞い上がる。
揺らめく水面が、湖底に微妙なグラデーションを作る。
幻想的な光景の中、2人は……

「……ねぇ、ベッキー」
「なんだ、ジーニアス」
「これって……街、だよね?」
「ああ。どっからどう見ても街、だな」

湖底に眠る街の入り口で、立ち尽くしていた。
そう――それはどう見ても街だった。
湖岸からすぐに湖底は深く落ち込んで、急な崖のような地形を作り。
そしてその先、地面が平坦になったあたりから広がっていたのは――文字通り、湖底に沈んだ街。
大小様々な住居風の建物に、いくつものビル、それに教会のような建物。
もちろん、住人の姿は無い。
湖の底に眠る、無人の街――その美しくも意味不明な光景に、ジーニアスがぽつりと漏らす。

「何のために、こんな所にこんな街があるんだろう」
「――『何のため』、か。
 深い意味なんて無いのかもしれんぞ。何かの間違いで出来ちまったのかもしれん。ただ……」
「ただ?」
「『何のためにこんな道具が配られたのだろう』、なら、考えてみてもいい問いだな」

レベッカはヘルメットの上から頭を掻く仕草をして、溜息をつく。
ちらりと、ジーニアスの装備に目を向ける。ヘッドランプ、エラチューブ、快速シューズ……。

「ちょうど必要としてたあたしらにこのアイテムが当たった、って所までは、偶然なんだろうけどよ。
 おまえが今使ってる『海底探検セット』は、『ココを調べるための道具』だとしか思えん。
 こっちの『宇宙服』は違うかもしれねーけど、ジェダは確実に、ココに人が来る可能性を考えてる」
「ぼ、僕たちがここに来るのも、ジェダの計画のうち、ってこと!?」
「計画、って呼べるほどはっきりした考えなのかどうかは、分かんねーけどな」

レベッカは考える。
支給品はランダムに渡した、という点については、とりあえず疑う理由が無い。
だから、そこはとりあえず信じるとして……けれど支給品候補の取捨選択は、ジェダの側で行ったはず。
もし、この「湖の底の街」を「調べられたら困る」事情があるなら、そもそもこんな品が出てくるわけが無い。
……しかし、もし逆に「是非とも調べて欲しい」のだとしたら、今度は別の疑問が浮かんでくる。

240 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:14:42 ID:QUu4R6Ta

「ただ、この街を『調べて欲しい』んだとしたら、どうにも迂遠なんだよなァ……。
 たまたま湖近くに居たあたしらがこのアイテムGETしたから、こうして使われてるけどよ……。
 山の中に飛ばされた奴にでも当たってたら、ずーっとランドセルに放り込まれたままだったんじゃねーの?
 下手すりゃ、貰った奴がさっさと殺されて、使う間もなく忘れられてた展開もありえたわけだしな」
「じゃあ、でも、それってどういう……?」
「『ただの気紛れ』、『余裕の現われ』、『混乱させるのが目的』、嫌な可能性を挙げてけばキリねーけど……
 多少なりともコッチにとって希望の持てる理由を挙げるとすると――『迷い』、だな」
「迷い?」
「運命を天に委ねる、とか、偶然に賭ける、とか、そういう心理さ。
 元より、自分でもコントロールしきれない、偶然性の高い『ゲーム』って形で結果を出そうとしてる奴だしな。
 もしかしたらどっかに『迷い』があって、『ゲームが失敗する可能性』を、自ら残しているかもしれない。
 本人にその自覚があるかどうかは、分かんねーけど」

それは、一種の破滅願望。
ジェダが無意識のうちにこの『ゲーム』の是非を迷い、その迷いが『ゲーム破綻の鍵』を用意した可能性。
レベッカが指摘したのは、そういうことだ。
確かに、そういった意味が隠れているなら、このような手の込んだ湖底都市にも存在意義が出てくる。

「つまり――この街のどこかに、『ゲーム』を壊す鍵があるかもしれない、ってこと?」
「あんま期待すんなよ〜〜。何も見つからない可能性の方が、きっと大きいんだから。
 それに、今のあたしらにはロクに情報が無い。今のあたしらが見ても、ソレと分からないかもしれない。
 でも、後で時間に余裕あったら、『ダメもと』くらいの気分で、じっくり調べ直してみてもいいかもな」

2人の前には、沈黙を守る静かな湖底都市。
一体そこに、どんな秘密が隠れているのか?
けれどもまずは、この湖底のどこかに居るはずの翠星石を探すべく、1歩踏み出した2人は――
ふと、揃って頭上を見上げた。

轟音。そして振動。
澄み切った水の中に、もうもうと粉塵が舞い上がる。
それは、何の脈絡も無く、狙いすぎなタイミングで、静かな湖底の街に飛び込んできて――!

         *         *         *

――同時刻。森の中。

「……あっち、だったよな?」

明石薫。
ようやく視力の回復した彼女は、大きな音を立てて飛んでいった影を追うべく、大地を蹴る。
それがもし、先ほど一戦交えた空飛ぶ女なら、追いかけてブッ飛ばさなければならない。
それがもし、葵の連続テレポートによる残像だったなら、追いかけて合流しなければならない。
根本から大きな勘違いを抱えたまま、彼女は宙を飛び始めた。

241 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:15:32 ID:QUu4R6Ta

         *         *         *

「……ねぇ、ベッキー」
「なんだ?」
「これ、何だと思う?」
「……槍、だな」
「やっぱり、槍か」
「誰かがどっかから投げた、のか?」
「だとしたら、その人はきっと、凄い力持ちなんだね」
「『力持ち・オブ・ジ・イヤーです』、ってか?
 ……んなわけあるかよ。姫子じゃあるまいし、そんな説明で納得する奴があるか。アホらし」
「ヒメコ、って?」
「元の世界に残してきた、ウチの生徒。オメガ馬鹿な奴」
「……オメガ馬鹿、か。確かにこれは、それくらいの言葉じゃないと、表現できないかも」

なんと言うか……それは、真面目に考えるのも馬鹿らしくなる光景だった。
湖底都市に並ぶ三角屋根の家の1つ。
そこに、真っ赤な槍が、突き立っていた。
つい先ほどまでは、無かったもの。
ついさっき、遥か遠くから飛んできて、湖面を突き破り、屋根に刺さってようやく止まったもの。
一体どれだけのエネルギーで射出すればそんな真似が出来るというのか?
どう対処したものか困り果てるレベッカの隣で、ジーニアスが小さく呟く。

「――ドワーフの誓い、第108番」
「??」
「『触らぬ神に、祟りなし』」
「……7番や16番に比べると、随分と弱腰な誓いだなァ。てか、本当に108個もあるのかよ?」

普通に考えて、単純な力持ちが腕力に任せて投げても、こうはならない。
きっとこれも、何か普通でない力を持った槍なのだろう。
そして、その「普通でない力」の発動方法も分からず、また槍で戦う心得も持たない2人にとっては……。

「だが――同感だ。薮蛇はごめんだからな。見なかったことにしよう」
「うん。僕もそれがいいと思う」

使えもしない強力なアイテムを持っていたって、せいぜい誰かに狙われるだけ。寿命を縮めるだけだ。
「それ」を使いこなせる参加者がどこかに居るらしい、という事実は、それなりに気にはなったが。
肩を竦めた2人は、それっきり赤い槍から視線を外すと、湖底都市の石畳の道を歩き始めた。
今見つけなければならないのは、敵を倒すための強い武器ではない。
2人の大切な仲間、翠星石の姿なのだ。

         *         *         *

242 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:16:05 ID:QUu4R6Ta

――同時刻。湖の上。

「あっちゃー、こっちに飛んでったと思ったんだけどな」

明石薫は、湖の近くにまで到達していた。
飛んでいった影を見失った彼女は、キョロキョロと周囲を見回してみる。
でも、湖畔に人影は無い。対岸にも誰も居ない。
湖底に沈んだ街が気になったのか、彼女は頭を水の中に突っ込んで見るが、すぐに顔を上げる。

「……水の中に人がいるわけないよなー」

――残念。
もう少し長く、もう少し注意深く探せば、湖底を歩くレベッカとジーニアスの2人を見つけられたはずなのだが。
元々飽きっぽい性格の薫は、すぐに別のものに気を惹かれる。

「向こう岸に降りたのかな? ……ん?」

         *         *         *

揺らめく水面から、キラキラと光が降り注ぐ。
屈折の加減によるものか、湖底の街の十字路は、まるでスポットライトを当てられたかのように輝いて。
見守る観客も居ない光の舞台の中、『彼女』は静かに眠っていた。
目を閉じ、ピクリとも動かぬまま――否、二度と動けぬ姿のまま、訪れる者を待っていた。

「……翠星石」

呆然と名を呼んだのは、2人のうちのどちらだったのか。
駆け寄りたい気持ちを抑えて、レベッカとジーニアスは、ゆっくりと歩み寄る。

それは、美しくも無惨な姿だった。
打ち砕かれた四肢はどれも半ばから失われ、腹部には大きな穴を開けられて。
それがヒトならざる「生きた人形」だとしても、命永らえることなどできぬ損傷。
水中での戦いの結末がどんなものだったのか、それは誰の目にも明らかだった。
それは出会いの時と同じ――否、出会いの時以上に最悪な再会。

「……うそつき。翠星石の、うそつき。『絶対勝てる』って、言ってたじゃないか……」

ジーニアスが、がっくりと膝をつく。
握り締めた拳が震える。水の中に、涙が舞う。
ここで斃れるのは、自分の役割だったはずだ。一度はその覚悟も決めたのだ。
なのに、なんで、こんな……!

元より、翠星石が生きている可能性を本気で信じていたわけではない。
この結果を予想してなかったわけではない。
けれど、改めて厳然たる事実を突きつけられると、涙が止まらない。
何故あの時、自分は彼女を止めなかったのだろう。何故あの時、呪文を唱え切れなかったのだろう。
ジーニアスは、自分を責め続ける。自分の判断と行動を、悔やみ続ける。
――そんな彼の姿に、レベッカは。

243 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:16:54 ID:QUu4R6Ta

「……よく見ろよ、ジーニアス。早とちりすんなって。ちゃんと、コイツの顔を見てやれ」
「……?」

不意にかけられた、レベッカの優しい、落ち着いた声。
顔を上げた彼は、彼女に促されるままに、翠星石の遺体の方を向く。そしてようやく気付く。

翠星石は――笑っていた。
実に満足そうな、安らかな微笑みを浮かべて、眠っていた。
最期に浮かべた表情は、苦痛でも無念でも無く。心の底から満ち足りたような、そんな穏やかな笑顔。

「コイツは、勝ったんだよ。戻ってくることはできなかったけど、でもきっと、ここで勝負に勝ったんだよ。
 あの女がどこに流されたのか、生きてるのか死んでるのかは知らねーけど。
 でも、間違いなくコイツは――翠星石は、勝ったんだよ。
 でなきゃ、性格の悪いコイツが、こんな顔、できやしないって」

自分に言い聞かせるように紡がれるレベッカの声が、途中から震えだす。
宇宙服のヘルメットの中、目の端に溢れる涙を拭うこともできず、それでも彼女は必死に笑顔を浮かべる。

「こ、コイツが笑って逝ったんだから、の、残されたあたしたちが、泣いてちゃダメだ。
 す、翠星石の想いを、む、無駄にしないためにも、あ、あた、あたしたちは……」
「……ベッキー」
「あ、あたしは、な、泣いてなんかないからな! あたしが、泣く理由なんて……泣く必要なんて……!!」

強がりでしかない少女の叫びは、次第に尻すぼみになり、やがてしゃくり上げるような息遣いに取って代わり。
僅かな躊躇いの後、ジーニアスはゆっくりと彼女を抱きしめる。
僅かな躊躇いの後、レベッカも無言で彼に縋り付く。
キラキラと輝く水底の光の舞台の中、宇宙服と縞水着の2人は、しばしその沈黙を、噛み締める。

無駄には、しない。
言葉にせずとも、触れ合った所から、互いの想いが伝わる。互いの誓いが伝わる。
翠星石に救われたこの命、決して無駄にはしない。
哀しみはやがて強い決意となり、2人の心に強く刻まれる。

こんな戦いは、間違っている。
ジェダ自身にも、迷いがあるかもしれないのなら――絶対に、止めてみせる。

         *         *         *

――同時刻。湖の上。

「……なんだありゃ?」

明石薫。
彼女は、湖の上に浮かぶ赤い宝石を見つけて、首を傾げる。
何なのだろう、これは? なんでこんなものがこんな所にあるんだろう?
首を傾げる彼女は、そしてふと、湖底で動く小さな影を見つける。

「……なんだ、ありゃ?」

動かない湖上の宝石、ちょっとだけど動いている湖底の影。
いや、なんだかその湖底の影は、少しずつ、ゆっくりと大きくなってきているような……?

244 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:18:10 ID:QUu4R6Ta

         *         *         *

「……なあ、ジーニアス。あの、上で光ってるの、何だと思う?」
「何だろう? ここからじゃ、よく分からないな……湖面に浮かんでいるのかな?」

悲しみの嵐が通り過ぎて、ようやく平静に戻った2人は、やがてどちらからともなく気付く。
頭上はるか遠くに輝く、赤い光。
それはちょうど翠星石の身体が倒れた場所の、真上に当たる位置。

「……見に行くか」
「それはいいけど……どうやって?」

レベッカの言葉に、ジーニアスは首を傾げる。
水中行動を可能にする2人の装備、しかしそれは湖底や海底を歩くためのもの。
湖面まで浮かび上がるのは、簡単ではないはずだったが……。

「まあ、こーゆーこともあるかと思ってな。取り出しやすいよう、用意しといたんだ。
 元々これも、翠星石の支給品の1つだけどな」

レベッカはジーニアスに微笑みかけると、荷物で膨らんだ腹部を、宇宙服越しに弄り始める。
やがて宇宙服の中でランドセルの蓋が開かれ、支給品のうちの1つが自然に滑り出る。
ただでさえ荷物で膨らんでいたレベッカの腹部に、ヘソのような突起を持つ円盤の形が浮かび上がる。

『魔導ボード』。
それは魔技師トマが作った魔法の道具。魔力によって空中に浮かぶ乗り物。
もっとも、それが取れる高度は極めて低く、「飛ぶ」というより地上スレスレを「滑る」感覚で使うものだが……。
レベッカは、その「浮力」を「浮き輪」代わりに使おうと考えたのだ。
魔力を発現したソレが、湖面目指して浮かび始める。
ランドセルから出てもそこは宇宙服の中で、だからソレは宇宙服ごとレベッカを引っ張って。
そのレベッカはジーニアスの手をしっかり握っているから、ジーニアスの身体も一緒に引き上げられる。

「あたしは天才だからなー。魔法は使えねーけど、こんな風に道具を使いこなすくらい、簡単なのさ」
「どうでもいいけど……ちょっと他人には見られたくない構図だね、これ」
「……いいじゃんかよ、どうせ誰も居ないんだし。てか、あんま見るな! あたしだって恥ずかしいんだぞ!」

片手に木刀を持った少女が、大きく膨らんだお腹を上に向けて、湖面目指してゆっくりと昇っていく。
そんな彼女に縋り付くようにぶら下がった少年は、縞模様の水着に、頭にはヘッドライト、手には杖。
見るからに不審な姿の2人は、やがて煌く水面に近づき、そして――

245 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:19:00 ID:QUu4R6Ta

         *         *         *

「…………」
「…………」
「…………」

明石薫。
誰も居ないはずの湖面に、ふわふわと空中に「座って」いた少女は、そして黙り込む。
間に赤い宝石を挟んで、気まずい沈黙の中、浮かび上がってきた2人と向かい合う。

まるで妊婦か水死体か、というほど膨らんだお腹を上にして、湖面に浮かぶチビッ子宇宙飛行士。
そんな白い塊にしがみ付いているのは、囚人のような縞模様の服を着た銀髪の少年。
対する薫は、パンツ丸見えの格好で、水面近くに胡坐をかいて――

「……誰だ、お前ら」
「……お前こそ、誰だよ」

ジト目な薫の言葉に、宇宙服に入っていた金髪の少女が不機嫌そうに問い返す。
おろおろと困った様子の銀髪の少年も含めて、しばし沈黙。

(こいつら……あの城のあたりから飛んでいった連中か? どっちもヘンテコな格好しやがって!)
(み、見られた……! この格好を見られた……! は、早く口を封じないと……てか殺すッ……!)
(ひょっとして……この子があの槍を?! 最悪でも、ベッキーだけは守らなきゃ……!)

出会いはいつだって最悪。
初対面の印象は、いつだってロクなものじゃない。
誤解と気まずさが、賢明な頭脳を狂わせてしまうこともある。
焦りと苛立ちが、力の使い方を誤らせてしまうこともある。
湖の上で対面した1人と2人は、そして……。

246 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:19:32 ID:QUu4R6Ta
【E−6/湖面/1日目/昼】
【ジーニアス・セイジ@テイルズオブシンフォニア】
[状態]:中程度の疲労。中程度の魔力消費。
[服装]:縞模様の水着。頭にはヘッドランプ、鼻にはエア・チューブ、足には快速シューズ。
[装備]:ネギの杖@魔法先生ネギま!、木村先生の水着@あずまんが大王、
   海底探検セット(深海クリーム、エア・チューブ、快速シューズ、ヘッドランプ)@ドラえもん
[道具]:ナマコ型寝袋、支給品一式、普段着、モンスターボール(ウツドン)@ポケットモンスター
    海底探検セットの残り(ま水ストロー、深海クリームの残り) @ドラえもん
[思考]:…………君、誰?
第一行動方針:薫に対する強い警戒。何が起きてもベッキーは守る。必要なら戦ってでも守る。
第二行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、倒す。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する。
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、翠星石の仇を取りたい。
基本行動方針:主催者の打倒
参加時期:ヘイムダール壊滅後。ちなみにあえてクラトスルート。
[備考]:
 ジーニアスの「道具」欄の持ち物(ランドセル含む)は、
 深海探検セットのうちの1つ・ナマコ型寝袋に入れられ、肩に担がれています。
 中に入っている道具類を取り出すには、一旦寝袋を開く必要があります。
 (今の状態でそれをすれば、確実に荷物の中に浸水しますが)

【レベッカ宮本@ぱにぽに】
[状態]:背中に裂傷(応急処置済)、疲労中程度
[服装]:ダボダボの宇宙服。宇宙服の下には普段通りの服を着たまま(白衣だけ脱いでいる)。
     腹部に抱えるように荷物やら白衣やらを詰め込んでいて、妊婦のように膨らんでいる。
[装備]:木刀@銀魂、宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス
[道具]:支給品一式、15歳のシャツ@よつばと!を裂いた布、魔導ボード@魔法陣グルグル!
     翠星石の荷物(未確認支給品はもうなし)
[思考]:…………誰だお前。
第一行動方針:薫に対する強い警戒。てか、無様な格好を見られてすんごく恥ずかしい。口を封じたい。
第ニ行動方針:殺し合いのゲームに乗っている奴がいたら、ぶっ飛ばす。
第三行動方針:後で改めて湖底都市を探索する
第四行動方針:もしもイリヤに再会することがあったら、一発キツいお仕置きをしてやりたい。
基本行動方針:主催者の打倒。
参加時期:小学校事件が終わった後
[備考]:
 レベッカは、ランドセル2つと魔導ボードと白衣を腹に抱えた上に、宇宙服を着た状態です。
 持ち物を取り出すには、一旦宇宙服を脱ぐ必要があります。木刀だけは片手に持っています。

[備考]:
 現在の2人の姿勢は、
 「レベッカが仰向けに浮いていて、そこにジーニアスが捕まって水面に顔を出している」状態です。
 ジーニアスがレベッカから手を離せば、恐らく彼は『快速シューズ』の重みでゆっくりと沈みます。
 レベッカが宇宙服の中で魔導ボードをランドセルに仕舞えば、恐らく2人はゆっくりと沈みます。


247 :出会いはいつも最悪で  ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:20:15 ID:QUu4R6Ta

【E−6/湖上(飛行中)/1日目/昼】
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:ぐっすり眠って疲労は回復。右足打撲。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:…………誰だ、おまえら?
第一行動方針:目の前の2人に警戒。戦うつもりなら容赦しない。
第ニ行動方針:葵や紫穂を探す。二人に危害を加える奴は容赦しない。
第三行動方針:あの女(ベルカナ)に会えたら、仕返しをする。
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばして三人で帰る。

[備考]:
 薫は、ベッキー&ジーニアスの2人が、城から飛び出した影の正体かと疑っています。
 ジーニアスは、薫がゲイボルグを投げた人物なのでは、と疑っています。

[備考]:
 城から飛び出したゲイボルグは、E−6の湖底の建物の屋根に突き刺さったままです。
 現時点では、レベッカとジーニアスの2人だけがその場所を把握しています。


【アイテム紹介】

(ジーニアスの支給品)
【宇宙服(最小サイズ)@からくりサーカス】
「からくりサーカス」の最終章において勝が着用した宇宙服。
一番小さなサイズのものではあるが、それでも大人用の既製品なので、ロリショタの体格にはかなり大きい。
でも、一応ちゃんと機能する。気密性や耐圧性、防温性は十分。

(レベッカ宮本の支給品)
【木村先生の水着@あずまんが大王】
「女子高生とか好きだからー!」な木村先生の横縞水着。
身体にぴったりと密着する、半袖半ズボンのワンピース型。ちょっとレトロというか、カッコ悪いというか。
ジェダの計らいの一環として、参加者の標準的な体格に合わせてある。

(翠星石の支給品×2)
【魔導ボード@魔法陣グルグル!】
トマが作った魔法の道具。魔法の呪文が書かれた丸い板の真ん中に、丸い水晶玉が嵌っている。
水晶玉に込められた魔法の力で、ヒト1人くらいなら乗せたまま地面から浮かぶことができる。
飛ぶというより、地上スレスレを滑って移動するスケボーのような感覚。乗りこなすには多少のコツが要る。
浮遊のための魔力は充電式で、魔法使いなら誰でも再チャージすることができる。
劇中では「ナベの蓋」などと酷評されていたが、使い所を間違えなければ結構使える道具。

【海底探検セット@ドラえもん】
のび太が太平洋を歩いて横断しようと試みた際、ドラミちゃんが用意した品々。
初出はてんとう虫コミック4巻だが、個々の道具はその後もしばしば登場している。
ただし、ジェダが一部のアイテムを削っている。具体的には以下の品々からなる。

・深海クリーム;全身に塗ることで、1万メートルの深海の圧力や低温にも耐えられるようになる。
・エラ・チューブ;鼻に詰めることで水中呼吸が可能に。何故か水中での会話も普通にできるようになる。
・快速シューズ;海底を歩く速度を速めると同時に、海底を歩く際、重りの代わりになる。
・ま水ストロー;海水を真水に変換できるストロー。海底歩行時の水分補給に使う。
・ヘッドランプ;水中でも長時間使用可能な品。外見は普通のヘッドランプ。
・寝袋;ナマコに似た外見の水中用寝袋。サメ等から身を守るトゲ、流されないための碇などがついている。

もちろん、海底でなく真水の中でも普通に使用できる。(ま水ストローは無用の存在になるが)
本来の『深海探検セット』は、ここに『通信機』、『コンパスと海図』、『水中用圧縮食料』、『水圧銃』
が加わるが、これらのアイテムは(水中探検には直接関係ない、などの理由で)ジェダが削っている。

248 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/26(月) 22:21:05 ID:QUu4R6Ta

以上。どうでもいいような細かいところを、細々と直しました。

ベッキーの格好は、D型装備でも種の歌姫でも、どちらでもお好きな方をご想像下さい。
胸の辺りには元々機械類がついているので、丁度お腹のあたりが膨らむわけです。

……しかし、湖底都市に眠る秘密って何なんでしょう。
自分で振っておきながら、謎です。工場の秘密並みに謎です。
何かあるとしたら、湖底の右上に見える教会っぽい建物が怪しいとは思いますが……。

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 00:19:24 ID:mQ1EnOSX
結局光回線のほうはwiki編集ができなかったぜ……。もう一つの回線はすごく遅いから死ねるわ。
寝るまでゆっくり弄ってよう……。

それはそうと>>248乙!
これは微笑ましいカップルとか思いながらジーンと来たりニヤリとしたり……って最後の薫登場で台無しw
水の中探索できる支給品は脱出フラグとか後の展開で活きてきそうですな。

【予約まとめ】
3/25(日)の予約(28(水)まで)
◆o.lVkW7N.A:ミミ、グレーテル

3/26(月)の予約(29(木)まで)
◆CFbj666Xrw:一休さん、古手梨花、灰原哀、ネギ、コナン、メロ、金糸雀
◆0e1.qJAPw2:きり丸・のび太・キルア・太一
◆tF8w7KK0cU:三宮紫穂

動きが少なかったところも徐々に大きくなろうとしているようです。
空気になってるキャラたちに手を差し伸べてくださる方募集中。


250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 03:04:37 ID:DPIpyWSs
>>248
乙、翠無惨
そしてまた脱出派通しの戦闘か! こういうのが散発するのがたまらん。
……薫が脱出派かどうかは微妙だが。

>>249
>空気になってるキャラたちに手を差し伸べてくださる方募集中。
工場組とインデックスのことかーーー!!
フェイト、あっちでは大人気なのになあ。やっぱり積み重ねたフラグの差かな。

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 08:33:59 ID:y+LpgWB4
>>248
投下乙。
意外とマップに水辺は多いから水中都市と合わせて今後のキーパーソンになりそう。
些細な誤解から大惨事に発展しそうで、まだ和解も可能な微妙な状況がたまりません。

ベッキーじゃ脱いでも薫の気を引けそうにないなw

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 08:43:27 ID:uj4vqCan
>>248
危機はすぎさったと思いきや、また危機におちいりそうな予感。

>>249
アリサ、インデックス、フェイト、光子郎、みか先生辺りが放置組ですかい?
周りに誰もいないわけじゃないんだけどなー。

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 09:00:34 ID:OwyON2l2
>>249
続きにくいフラグ立てちゃってごめんよ……(´・ω・`)

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 09:02:57 ID:+VfBwjHS
>>248
投下GJ。
水中の探索は面白そう。
一体何が出るやら。
あとゲイボルグは沈んだのなw

>>252
アリサはぶっ倒れてるから無理に動かす必要も無さそう。
フェイト&光子郎も放送まで工場に居ても変じゃないし。
インデックスとみか先生は問題かな。
インデックスは山頂の火種に関わる可能性も有るし、みか先生は……どこに飛んだのやら。

255 : ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:10:11 ID:kPqyAQ0c
グレーテル&ミミ投下します。

えーっと、先に謝っておく。とにかくごめん。

256 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:14:49 ID:kPqyAQ0c
迷いと恐怖でがたがたと震える肩口を、広げた腕で包み込んだ。
大丈夫。私にだってできる。そうよ、やらなくてどうするのよ!
言っている自分が誰よりも嘘臭いと感じる叱咤で鼓舞して、ミミは覚悟を決めようとする。
目の前の少女は、死体弄りに夢中になっているのか、まだ自分のことには気が付いていないようだ。
がら空きの背中は、何の注意も配らず無用心にこちらへ向けられている。
今なら、できる。狙いを定めてこの剣で背後から一突きするだけで、確実にあの子は死ぬ。
そう頭では分かりきっているのだけれど、一歩目を踏み出す足がなかなか動かない。

「うぅ、やっぱり怖いよぉ……」

口中で小さく呟いた言葉は、彼女の心にゆるゆると染み込み、その胸に広がっていく。
いくら相手が殺人者でも、殺すなんてコト、本当にしていいの?
話して説得すれば、もしかしたら分かってくれるかもしれないじゃない。
『黒い歯車』がとり付いていたデジモン達みたいに、何かに操られてるっていうことだってあるのかも。
それなのに私は、本当にあの子を殺すつもりなの?

……怖かった。誰かが死ぬことも、自分が死ぬことも、自分が殺すことも、みんなみんな怖かった。

けれどミミは、自分が一番恐れているのがなんだったかを思い出し、心を決める。
誰かが死ぬことも、自分が死ぬことも、自分が殺すことも、みんなみんなとっても怖い。
でも友達が――あの三人が殺されることに比べたら、そんなのどうってことない……はず。
いまだぬぐい切れない戸惑いを無理やりに振り切って、ミミは手の中の剣に力を込めた。
柄を握り締めた指先が、痛いほど硬直している。
持ち上げた鉄塊の重量と触れた先の冷たさが、ミミの心に重く圧し掛かった。
真昼の高い位置にある太陽の光を浴びて、剣先がぎらりと不穏に輝いて見える。
魔剣が代償に吸い取るのは、彼女の覚悟か、はたまたその魂そのものなのか。
それはどちらにせよ、十歳の少女が殺意と引き換えに手渡すには大きすぎる代価。
だが今のミミにとって、自分の覚悟は無論、魂ですら惜しくはなかった。
いつも自分を守ってくれたみんなを、今度は私が守るんだ。
そのためなら、惜しいものなんて、何も。

緊張で乾いた唇を舌先で舐め、ミミは大きく肩を上下させて深く呼吸した。
張り裂けそうな心臓の鼓動がうるさくて、相手に聞こえているんじゃないかと心配になる。
尤も、実際のところ少女にそんな素振りは僅かばかりもなかった。
ミミの存在など、まったく感知していないのだろう。
掌を胸に当て、割れ鐘のようにがなりたてる心音を平常へと抑える。

――――――よし、やってやろうじゃないの!

257 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:15:31 ID:kPqyAQ0c

乾坤一擲、ミミは両手で魔剣を携え少女の元へ飛び出した。
ここから彼女までの距離はほんの10メートル程度。
こちらががむしゃらに走れば、まともな防御など間に合わないうちに、背中から剣を突き立てられる。
懸命に両足を動かして疾走し、ミミは残り2メートルの間合いにまで少女へ迫る。
迫り来るミミの刃にも一向に構わずに、彼女はいまだ地に臥せった亡骸を捏ね回していた。
遊びに集中してミミの接近に気づかないのか、或いは気づいていてなお余裕の風を吹かせているのか。
どちらでもいい。どちらにせよ、ミミにできるのはこの剣を突き刺すことだけだ。
彼女の無防備な背中にぐさりと音を立て、深々と心臓を貫き殺すことだけが、今の目的であり目標だ。

「死んじゃえぇっっっ!!!!」

高い声で叫びながら、剣を握る両腕の肘をスピードに任せて最大限まで突き伸ばす。
――だがその瞬間、ミミは『それ』を見てしまった。
少女が遊び相手にしていた死体の、異常なほどの凄惨さ。それは筆舌に尽くし難かった。
酸であちこち焼け爛れ、四肢に大きな傷口が開いたその死体を間近で目が拾い、反射的に目を閉じる。
決して死体そのものが恐ろしかったわけではない。
今からこの少女を自分が『こうしてしまう』という事実が怖かったのだ。
ミミは瞳を瞑り、――――しかし突き出した腕の勢いは止まらなかった。
確かな手応えと同時に、プチトマトを握り潰したような音がぐちゅっと手元から響き渡る。
肉を深く抉り神経を切断する確固たる感触が、貫いた刃の先から指先へと伝染した。
その柔らかい触感に嫌悪感を催し、ミミは恐怖からぎゅっと目を瞑る。
硬く閉じた目蓋は鉛でも乗せられたかのように重く、容易には開き直せない。
ごくんと固唾を飲み一瞬薄目を開けるものの、そこに広がる一面の赤色に怯え竦んで再度瞳を閉じる。
まともに現実を直視することなんて、到底できない。
指に伝わる感覚は、視界に広がった血の赤は、どうしようもないほどにリアル過ぎた。
掌の震えは一向に止まらず、噛み締めていた奥歯がカチカチと鳴り響く。
汗が一筋、暑くもないのに首筋を伝い落ち、不恰好な楕円型の染みをぽたぽたとシャツに形作った。

「死ん、だ……?」

顔を下へと向けたまま、虚ろな双眸でそう呟く。
それは特に意識してのものではなく、唇の間から自然と零れ落ちた類の言葉だった。
緊張からか水分が完全に失われ、からからに枯れた咽喉から発されたその声は、酷く掠れて聞き取り難い。
相手から答えが返ってくることなど、端から期待してはいない問いかけだ。
棺桶相手にノックしてみせるような、あまりに無意味にして無作法な真似。
どこまでいっても自問自答の範囲を超えるものではなく、むしろ返答などあっては困る。
なにせこの場での応えとは、即ち少女の生存と自身の危機とを意味する。
だから返事など、決してあってはならない。ある筈がない。――――それなのに。

258 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:16:50 ID:kPqyAQ0c

「いいえ、死んでなんかないわ」

平然とした声でそう返されて、ミミははっと瞳を開け、前方へと視線をやった。
そうして、気付く。自分が刺したものの正体を。その肉の感触が本当は何だったのかを。

「これ、さっきの子……」

思わず長い息が漏れる。ミミが剣で刺したのは、既に死体であった赤髪の少女だった。
よほど無理やりに抱き起こされたのだろう。
モニュメントの破片で四肢を大地に繋ぎ止められていた筈の彼女の身体は更に陵辱が進み、腕など半分も残っていなかった。
恐らく、金髪の少女が咄嗟のところで彼女を地面から剥ぎ取り、力任せに盾代わりに使ったのだ。
突撃する直前、恐怖と罪悪感から目を閉じてしまったことが、今となっては悔やまれる。
ちゃんと目を開いたままでいれば、こんな失敗はしなかったはずなのに。
ミミは自分が貫いた少女の身体に軽く目をやり、すぐにぷいとその視線を逸らした。
恐かったのだ。自分のしでかしてしまった事態が、恐くて仕方が無かったのだ。
たとえ彼女が元から遺体であったとしても、自分が彼女を刺したことに代わりは無い。
少女の腹部には長剣が深々と突き刺さり、腹腔に穿たれた穴の隙間から腸の一部を覗かせていた。
その姿は余りにグロテスクで、けれどどこか現実感が希薄だった。
自身の日常とかけ離れすぎたものは、どれだけ側で見てもすぐには理解ができない。
デジタルワールドに飛ばされたときだって、皆最初は「ドッキリだよ」とか「テーマパークかも」なんて言っていた。
そしてごく普通の小学四年生にとってみれば、損壊された死体など異世界以上に馴染みが無い。
むしろそれは、彼女の暮らす平穏な日常から180度離れた真裏の存在だ。
容易な理解や順応など出来ようも無い。むしろそれは、出来てはいけない。

――だが一方で、それこそが『日常』である者も時には居る。
血と硝煙、ドブの匂いがベッドルームに蔓延し、子守唄は誰かの断末魔。
切り落された腕を枕に、剥がれた皮膚をシーツ代わりに安眠する路地裏のアウトサイダー達。

『厄種』グレーテルは天使の微笑みをミミに向けて、ぞっとするようなソプラノ・ボイスで囁いた。

「嬉しいわ。今度は、貴女が遊んでくれるの?」

それを合図に、ミミはその場に縫い止められたかのように、身動きが取れなくなった。
縛り付けられているわけでも四肢を奪われているわけでもない。
しかし、訪れる激しい恐慌は彼女から理性を奪い、手足を動かすことさえ不可能にさせた。
足が木の棒のように固く、筋肉が緊張して脳の命じる通りに働いてくれない。
逃げなければ、或いは反撃しなければ。そう思うものの、身体が言うことを聞かないのだ。

259 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:17:28 ID:kPqyAQ0c

「や……、いや……」

怯えが、断片的な台詞となって口から溢れる。
一度悲鳴を上げればあとは簡単で、次から次へと恐怖を意味する言葉が咽喉から漏れた。
ミミは「いやいや」をするように首を左右に振って、生まれたての赤ん坊のように周囲の全てに恐怖していた。
鉄錆に似た血臭と、それに混じる火薬臭。視界を染める鮮烈な赤色。
無残な死体から飛び散った、齧りかけのジェリービーンズみたいなピンクの脳漿。
それら全てが恐怖の対象であったが、一方でそれら全ては所詮まやかし程度のものでもあった。
ミミが何より『日常』からの乖離を感じたのはそれらの数々ではなく、表面的には友好な金髪の少女だった。
この状況で平然としていられる彼女が、笑顔を作れる彼女が、ミミには最も恐ろしかった。
心臓の鼓動が速さを増し、痛いほど強く内側から胸を打ち叩く。
眼前の少女は吸い込まれそうな真丸の瞳で、なにやら品定めでもするようにミミを見つめている。
穏やかな中に暗い欲望を秘めたそのじっとりとした視線を感じるたびに、窒息しそうなほど息が詰まる。
殺されるんだろうか、と思った。このまま私はこの子に殺されてしまうんだろうか。
何も出来ずに、誰も守れずに、どこへも帰れずに、この子の手で風船に針を刺すように呆気なく。
それを思うと、恐くて恐くて、もはやこれ以上は無いと思っていた鼓動がさらにリズムを速める。
嫌だ。死ぬのは嫌だ。苦しいのは嫌い。痛いのは大嫌い。
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

「いや……、ころさ、ないで、わたっ、わたし……」
「……ああ、私ったら何て馬鹿なのかしら。メインディッシュを、オードブルより先にしてしまうなんて」

紡いだ言葉を無粋に遮って、実につまらなそうな声音がミミへと吐き捨てられた。
値定めする視線が地面の蟻を見下ろすかのような色気のないものへ変化し、言葉に嘲笑が混ざる。
ミミは、唐突な彼女の言葉に虚を突かれ、反射的に問い返した。

「オードブル?」
「ええ。さっきのお姉さんはそれなりに面白かったけれど、貴女はどう見たって普通の人だもの。
 もちろん、そういう子と遊ぶのだってつまらなくはないけれど、フルコースの順番が崩れるのは勿体無いわ。
 折角上等なボルシチを御馳走になれたのに、その後にわざわざボイルド・マカロニなんて!」
「な、何よそれ。どーいう意味?」

ミミには、グレーテルの言葉が少しも理解できなかった。
『メインディッシュ』だの『オードブル』だの『フルコース』だの言う隠喩など、ちっとも意味が分からない。
だが、目の前の少女の頭がやっぱりおかしいのだという事だけは、何より強く確信できた。
単に話が噛み合わないというだけではない。そんなものを超越した断絶の壁が、二人の間には聳えていた。
彼女はどこか自分とは違う星の言語で喋っているのでないか、とすら思ってしまう。

260 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:18:10 ID:kPqyAQ0c

――――――パン!

「こういう意味よ」
「なっ……」

破砕音と同時に頬を掠めた弾丸に、ミミは反論の言葉を失って怯む。
幸い、弾は皮膚の表面数ミリを軽くなぞった程度だったが、抉られた傷口は傷ましい。
焼けるような痛みがミミの頬を走り、流れ出た血液が顔面を濡らした。

「逃げることも反撃することもしないし、出来ないでしょう? それがマカロニ」

グレーテルは、一歩一歩ミミへ近付くと、未だ固まったままの彼女の腹部を銃口で殴りつけた。
鉄の塊で腹を強打されたミミは、その衝撃に呻き、よろめいて地面へと蹲る。
胎児のようにひざを折り、うつ伏せになった彼女を横目に、グレーテルはけたたましく笑う。
ミミの首根を掴んで強制的に頭を上向かせると、手にしていたウィンチェスターを口腔へと乱暴に突っ込んだ。

「ん、ひは、ひやぁぁぁっ!!」
「お姉さん、だめよ、動いちゃ。もちろん、歯を立てるのもナシ」

口を銃口から離そうと頭を激しく振って抵抗するミミの長い髪を掴んで、自由を奪う。
引き金に掛かったグレーテルの指先がゆっくりと動き、レバーを内へと押し込もうとする。
一秒が、何十時間にも感じられた。
ミミは失神しそうになるのを必死で堪え、恐怖で押し潰されそうな心を極限まで振り絞った。
出来ることなど何もなかった。身体に力は入らず、喋ることさえまともにはいかない。
ただ唯一の反抗は、それでも生気を失わなかった両の目でグレーテルを真直に睨み付けることだった。

どんな強敵相手でも諦めず立ち向かっていく太一君の『勇気』。
いつも冷静で、ここぞと言うときに一発逆転の方法を思い付いてくれる光四郎君の『知識』。
最初は頼りなくも見えたけど、真直ぐで努力屋で自分の決めたことは絶対にやりぬく丈君の『誠実』。
あの冒険の中で皆に教わったことは、助けられたことは数え切れない。

……だから今度は、私の番なんだ。
泣き虫で我侭で甘ったれだった私をいつも助けてくれた皆のために、今度は私が頑張らなきゃいけない。

261 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:18:43 ID:kPqyAQ0c

「マカロニはマカロニよ。おじさんがよく、茹でたのをディナーに出してくれたわ。
 尤もトッピングは、ミート・ソースじゃなくて、おじさん達のスパームだったけれど」
「マカロニくらい知ってるわよ! そうじゃなくて、私がマカロニっていうのがどういう意味かって……」

恐がったりなんかしない。どんなに足が震えたって、太一君みたいな『勇気』を持ってみせる。
絶望したりなんかしない。どんな状況だって、光四郎君みたいな『知識』で何か考え出してみせる。
あきらめたりなんかしない。どんなに不可能そうでも、丈君みたいに『誠実』に最後までやりきってみせる。

ミミは決心した。たとえ、後数秒で潰える命であったとしても、最後の最後まで諦めないでいようと。
命の灯が吹き消される最期の瞬間まで、戦っていようとそう決めた。
そしてその決意こそが、彼女の視線を強固なものにした。
けれどそれは皮肉にも、対するグレーテルの炎をも燃え上がらせる結果となった。
意志に支えられた瞳が自分を射抜いたのを感じた彼女は、嬉々として表情を変える。

「そんな顔も出来るのね。ふふ、さっきよりずっとイイ顔だわ」
「……っ、そうよ! わたひ、あんたなんかぜーんぜんこわふないんだから!!」
「へぇ、その強がりがどこまで持つのかしら」

口内に押し込まれた金属の感触にも怯えずに、ミミは強がって無理に声を張った。
その姿へ興味深げに眉を細めると、グレーテルは引き金に掛けていた指を滑らせるようにするりと離す。

銜えさせていた銃口を咥内から引き抜くと、唾液まみれのそれをスカートの裾で拭ってから左手に持ち替えた。
空いた右手の人差し指をぴんと伸ばして、彼女はミミの眼前すぐそこにまで指先を接近させた。
やすりで丁寧に研磨されたかのように研ぎ澄まされた鋭利な先端が、徐々に瞳の側へと近付いていく。
何をするつもりだろう……? そう疑問を抱く暇すらなかった。
少女は桜色の爪をミミ目掛けて狙いすますと、その眼窩を抉じ開けんとばかりに指先を真っ直ぐ突きたてた。
――――――ぱちゅんっ!! 濡れた音が弾けた。
角膜がぷちんと破れ、眼球と眼窩の間が無理に広げられる。
水に似た透明な液体がぴゅっと勢い立てて跳ね上がり、顔の周囲に飛び散った。

「ひ、あぁあっっ!!」

炎の爆ぜるような衝撃に身体をびくびくと反射させ、ミミはあまりの激痛に言葉さえも失う。
一方の少女は、ミミの咽喉から漏れ出るくぐもった空気に唇の端を跳ね上げ、愉悦に満ちた顔を作った。
その表情に名を付けるなら、『狂気』以外に言いようは無いだろう。
くい、とまだ中に入れたままの指先を鉤状に折り曲げる。
第一関節まで入り込んでいたグレーテルの指は、結膜に穴を開け更に深い部分まで潜り進んでいく。

「嫌、嫌ぁあっ……! ーーーっっ!!」

262 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:19:22 ID:kPqyAQ0c

脳みそを割り箸でぐちゃぐちゃに掻き回されている様な痛みが、怒涛の勢いでミミに押し寄せる。
刺激を与える度にびくんと肩を大きく揺らすミミを見て、対するグレーテルはこらえ切れない笑声にくつくつと咽喉を鳴らした。
ピンポン球大の球状を人差し指の腹でころころと転がせば、濡れた柔らかな感触が心地よい。
そのまま上へと捻り上げ、僅かな隙間が出来たのを見計らって、今度は親指を下目蓋との間に強引に捩じ込む。
ずぶずぶと奥へ入り込む二本の指でしっかりと眼球に爪を立て、こちらへ向かって軽く引っ張る。
ろくに抵抗もなく姿を現した眼球を眼窩からころりと抉り、コードのように延びていた神経の束をぷつぷつと爪で千切った。
だらんと垂れていたサーモン・ピンクの視神経は無残に引き切れ、落ち窪んだ空虚な眼窩からどろりと赤いものが溢れる。
ペンキをぶちまけたかのように、ミミの頬が粘っこい血で汚れた。

「う、やぁあっっ……」
「貴女の目、素敵ね。私、黒い目を見ることってなかなか無いのよ」

恐怖と激痛に困惑し絶叫するミミを塵ほども構わず、グレーテルは平時通りのトーンで呟いた。
その手の上には、今しがた刳り貫き奪ったばかりの目玉が、上等の宝石のように恭しく乗せられている。
血に塗れてぬらぬらした眼球を愛しそうに摘むと、空へ掲げ、太陽に透かして覗き見た。
そうすると、白目の中に通っている何本もの赤い筋がきらきらと光り、本物の宝石のようだ。

「さっきのお姉さんの目も、お空と同じ色でとっても綺麗」

歌うようにそう口にしながらグレーテルがポケットを探れば、そこにはさらに二つの眼球。
全体が深い青色をしたそれは、先刻、神楽を殺した後に刳り貫いておいたものだ。
ころんころんと三つの目玉でビー玉遊びの真似事をしながら、グレーテルは「そうだわ」と掌を叩いた。

「私、とってもいいこと思いついちゃった」

くすくす、と笑い混じりの声でそう言い放つと、グレーテルは三度ミミににじり寄り、服越しに肩口を掴んだ。
少女の腕力は見た目以上に強いらしく、ミミは抗うことも出来ずに引き寄せられる。
グレーテルは、ミミの顔面にぽっかりと空いた左目の名残をじぃと凝視した。
空洞は未だだらだらと鮮血を流し、無残に引き千切れたピンク色の筋肉を真紅に染上げている。
そこに何のためらいも無く指を突き入れると、彼女は手にしていた『それ』をぐりぐりと奥へ押し込んだ。
少々サイズが合わないのか、ぴったり嵌め込めず随分とぐらぐらしたが仕方ないだろう。
ひくひくと痙攣するミミから一歩離れ、出来上がりをまじまじと確認する。
その予想以上の出来栄えに満面の笑みを零すと、グレーテルは心底嬉しそうに声を弾ませた。

「まあ、何て素敵なのかしら。貴女のオッド・アイ。まるでエリザベス・バークレーだわ!」
「おっど……、な、に……?」

戸惑いがちに問い返すミミに、グレーテルはにっこりと笑いかけて答える。

263 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:20:23 ID:kPqyAQ0c

「右と左で目の色が違う人のことよ。貴女の目、片方は青で片方は黒でとっても綺麗」

その返答で、自分の眼窩に何が入れられたのか、ミミは漸く理解した。
――――あの子の、目だ。
さっき手の上で弄んでいた青い目。あれを私に入れたんだ。

突如、ミミの身体をそれまで以上の生理的な嫌悪感が駆け抜けた。
背中一面に鳥肌が立ち、全身の毛穴がぞわりと広がった。
片目を失ったことの恐怖と痛みは計り知れなかったが、それ以上に、眼前の少女への気色悪さが勝った。
胃の腑からせり上がった吐き気が抑えきれず、額がジンジンと熱を持ったように頭痛を訴えた。
眼窩の奥に居座る他人の目玉は異物感ばかりが大きく、じくじくと痛む。
怖くて恐くて悲しくて痛くて苦しくて気持ち悪くて――――。

自分でも気づかないうちに、ミミは泣いていた。
そもそも泣き虫の彼女がここまで我慢できたことが、奇跡のようなものだった。
最初は声も無くはらはらと、次はすんすんと鼻を鳴らし、そしてあーんあーんと叫ぶように。
彼女は泣いた。いつもと同じように。ずっと家やデジタルワールドでしてきたように、泣いた。
けれどその泣き顔は、唯一つだけいつもと違っている場所がある。

――彼女の涙が流れるのは、今や右の目だけだった。

「どうしたの? そんなに泣いて」
「だっ、だって、目が……目が……っっ!!」
「まあ、そんなに素敵なのに」

グレーテルはごく真面目にそう告げるが、当然そんな言葉でミミが泣き止む筈もない。
大きくなるばかりの叫声にうんざりとして眉を潜め、聞こえない程度に微かな舌打ちをした。
うるさく泣き喚く相手は嫌いだ。屠殺場の豚が死ぬ間際に上げる鳴声のような悲鳴なんて、一分だって聞いていたくない。
お菓子でも上げれば泣き止むかしら、と甘すぎる考えでランドセルを漁り、中身を探る。
さっき支給品を確認したときに見落としがあったかもしれないと思ったのだが、不運にもそれ以上何も入っていなかった。
カサカサした不味そうなパンならいくつか袋詰めされていたが、いくらなんでもこれでは泣き止まないだろう。
キャンディーバーくらい入れておいてくれてもいいのに、と気の利かないパーティーの主催者に苛立った。
その間にもミミの上げる泣声は声量を増していき、グレーテルの苛立ちを何倍にも膨れ上がらせる。
いっそ、これ以上喚かないようさっくりと殺してしまおうか。それが一番手っ取り早いし楽。
正直そう思わないでもないのだが、せっかく作った綺麗なオッド・アイをすぐに死体にしてしまうのは流石に勿体無い。
青い目と黒い目が左右に嵌め込まれた少女の顔面はどこか歪で、びっくりするほど可愛らしい。
頬に流れた血のペイントと相まったそれは、まるでサーカスで働く見習いのピエロだ。
自分たちが殺した何十何百の子供たちの中にも、こんなにキュートな瞳をした子はいなかっただろう。
どうせなら、生きたまま兄様に出来上がりを見せて感想を聞いてみたかった。

264 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:21:01 ID:kPqyAQ0c

自分に瓜二つな顔をした愛しい己の半身を思い浮かべ、グレーテルは胸を熱くした。
心臓がトクントクンと音を上げて高鳴り、紅潮した頬に薔薇色が差す。
兄様を想像するだけで年相応の純真な笑顔がこぼれ、左右の目が半月状に細められる。
脳裏に浮かぶ兄様に話しかければ、彼は当然のようにその言葉に応えてくれた。

「兄様、私、この子をどうすればいいかしら。兄様のところまで連れて行きましょうか?」

(いいよ姉様、そんな手間をかけなくても放っておけば)

「でも、そうしたら兄様に見せられないじゃない? それってとても勿体無いわ」

(何言ってるのさ、姉様。僕はここにいるじゃないか。僕はいつだって姉様と同じだよ。
 姉様と同じものを見て、同じものを聞いて、同じことをしている。……ねえ、そうでしょう?)

「……ああ、そうよ。そうだったわ兄様。兄様はいつもここにいるんだもの。
 わざわざ見せに行く必要なんて、少しもないんだわ」

(そうだよ姉様。わざわざ見せに来る必要なんて、少しもないんだ)


「(    いつだって、二人は一緒にいるんだから    )」

――――笑い声を伴って、二重の言葉が、静寂を裂いた。
双子の天使は二人一役で一人二役。私は貴方で貴方は私。兄様は姉様で姉様は兄様。

グレーテルは、自分の被っている長髪の鬘を指先でくるくると巻いて弄びながら、目を細める。
そうだ。兄様は何処かにいるわけではない。『ここに』いるのだ。
なにも、この子の首に縄をつけて兄様のところまで連れて行く必要なんてなかったんだわ。
それに気づいてふっと吐息すると、グレーテルは再びランドセルの中に手を入れて、目当ての瓶を取り出した。
瓶の中でたぷんたぷんと劇薬が揺れ、水面に丸い波紋を形作っている。
それを手の中で転がし、ちゃぷちゃぷと波立たせながら、グレーテルはミミの肩を叩いた。
びくんと肩を揺らした彼女に天上の笑みを投げかけると、

ミミは消耗しきった顔でそれを眺め、「ひっ」と小さな悲鳴を上げた。
泣き腫らしたせいでぼろぼろになった右の目が、兎のように赤く染まっている。
多分に含まれた恐慌を敢えて無視し、グレーテルはミミの手元へガラス瓶を差し出す。
透明な液体が入ったそれをミミの手に押し付けると、彼女はすまなそうに謝罪した。

265 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:22:12 ID:kPqyAQ0c

「ごめんなさい。貴女のこと、マカロニなんて言ってしまって」
「…………こんどは、なに?」
「そんなに怖がらないでほしいわ」

広げた瞳孔でびくびくとグレーテルの言動を見据えるミミに、彼女は飄々として告げる。
その表情には傷害に対する反省の色など全く見られなかったが、それは当然だった。
グレーテルからすれば、いつものように殺さなかったのを感謝してほしいくらいなのだ。
だから彼女が謝るのは、ミミの目を傷つけたことではない。
グレーテルの謝罪はあくまでも、自分の台詞に反し、ミミが意外と面白い遊び相手だったことに対してだ。

「あなたはとっても素敵だったわ。それなのにあんなことを言ってしまったの、本当に悪かったと思ってるの。
 だから、これをお礼にあげる。すごくすごく面白い玩具なんだけど、一つだけなら貴女に譲っても構わないわ」

グレーテルが手渡したのは、自分の支給品である塩酸入りの瓶だった。
ミミが実際に使うかどうかはどうでもいい。むしろ使わない可能性のほうが多いであろう品。
お礼などと殊勝なことを言っているが、実質、自己満足以外の何物でもない。
いくらキャンディーバーがなかったにしろ、それならまだ、パンか水でも上げたほうがよほど相手は喜ぶだろう。
しかしグレーテルにそんなことは関係ない。渡したいから渡す。殺したいから殺す。全てはただの気まぐれだ。
たとえばほんの僅かでも状況が違っていたら、ミミは同じく『気まぐれに』止めを刺されていただろう。
けれど彼女の行動方針はいつだって「そうしたいからそうする」だけ。それに合理的な思考なんて少しもないのだ。
ミミの掌へ強引に瓶を手渡すと、グレーテルはスカートの裾を持ち上げて、レディ然とした態度で別れを告げた。
慣れた手つきの挨拶は実に優雅で、服の端々に付いた血の染みさえなければ人食い虎には決して見えないだろう。

「それじゃあ、お姉さん、またいつか逢いましょう。――そのときは遊んで頂戴ね」

ぺこりと典雅な動作で頭を下げて、天使の皮を被った殺人鬼は森の中へと消えていく。
ミミはそれをぼんやりと眺め――、こてん、と電池が切れたように土の上へ倒れこんだ。


266 :CAN TAKE YOUR EYES OFF YOU ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:22:45 ID:kPqyAQ0c

【B-2/森林/一日目/昼】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:少し疲労、右腕損傷、全身に重度のダメージ。
[装備]:ウィンチェスターM1897(3/5)@Gunslinger Girl
[道具]:支給品一式、ウィンチェスターM1897の弾(残り5発)、塩酸の瓶(残り1本)、核鉄(サンライトハート/未発動状態)@武装錬金 神楽とミミの眼球
[思考] あはは、楽しいわ!
基本行動方針:兄さま(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」
第一行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。

【太刀川ミミ@デジモンアドベンチャー】
[状態]:左目損失(神楽の眼球入り)、頬に軽度の弾痕、腹部軽打、情緒不安定、軽い精神崩壊
[装備]:塩酸の瓶
[道具]:支給品一式、ポケモン図鑑@ポケットモンスター、ペンシルロケットx5@MOTHER2
[参戦時期]:無印終了後
[思考] 痛いよ怖いよ……!
基本行動方針:みんなでおうちにかえる
第一行動方針:とりあえずグレーテルから離れたい
第二行動方針:目と頬を治療したい
第三行動方針:太一、光子朗、丈を見つけて助ける
第四行動方針:彼らを殺してしまいそうな人は自分が倒す

[備考]:魔剣ソウルイーター@TOSは、神楽の死体に刺さったままです。

267 : ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 16:23:43 ID:kPqyAQ0c
投下終了です。


 ……うん、ごめん。

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 16:30:41 ID:V40FG/qf
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!(゜∀。)




……面目躍如、って所か……どこぞでも生存してたらこれぐらいのグロい世界を垣間見せてくれてたんだろうな……

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 16:42:40 ID:DPIpyWSs
投下GJ
グロイ、グロイぜ! これぞロワの真髄よぉ(個人的に)!
ボルシチとかボイルド・マカロニとか、こういう表現大好きだ。スパームとかもう最高だぜアヒャヒャ
呼んでて目玉が痛い痛い……

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 16:43:24 ID:FbvCRDrC
GUROOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!
何気に今までで最高に吐き気がした。今現在平穏なの光子朗ぐらいじゃねえかデジモン勢wwwww

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 16:45:26 ID:X1JMimUk
はははは、やるなあw

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 17:01:31 ID:y+LpgWB4
目が痛くなるほどにGJ
姉様本領発揮してますなぁ


273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 17:02:24 ID:5OsvBYFL
読んでて思わず目を押さえちまったぜ……
登場キャラの年齢は低いのにグロスやエロスは明らかに他ロワ以上にあるこのロワは本当に怖い子ですね。

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 17:02:48 ID:6ekWSLWb
ぐ、グロォォオオーーー!!
この双子はなんでこんなに残酷描写が似合うんだ!
もっとやれ!!

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 17:15:35 ID:+VfBwjHS
うわっ、えげつねえ(誉め言葉)
GJ。良い感じのイカレっぷりでした。

276 : ◆aAwQuafMA2 :2007/03/27(火) 17:16:28 ID:jUZ7P9nz
投下乙です。
これはよいグロテスク……オッドアイという発想が素敵。


前に予約していた方と被りぎみなのがやや心苦しいですが、
リルル、ククリ、ネス、リディア、イエローを予約します。
……ええと、大丈夫ですよね?

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 17:58:50 ID:MANGonPd
YABEEEEE!!!
痛々しくて恐ろしいなぁ、グレーテル。

どこかのロワに死体とかを投げつけたキャラがいた気がするけど、
グレーテルも持ってる目玉を投げつけそうで怖いな……

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 18:06:13 ID:uj4vqCan
>>267
こわいよう、こわいよう。もうヨーロッパの裏路地とかにいけないよう。

>>276
たぶん大丈夫。

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 18:19:18 ID:O7hAvu2K
グレーテルこわい

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 18:41:02 ID:WXqVxRc4
リアルに涙出た

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 19:43:51 ID:ilpWa5Dn
邪気眼が…俺の邪気眼が…

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 20:11:27 ID:kWOZchmo
目はイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 20:49:37 ID:1mSWRuGR
あ〜がぁ〜!!
あ〜あ〜目がぁ〜目がぁ〜!!
あ〜あ〜目がぁ〜あ〜あ〜!!

凄くGJだったんだが、気になる点が少し。
ミミは太一のことを「太一君」じゃなくて、「太一さん」って呼んでいた。
それに「丈君」も「丈さん」って、尚且つ光四郎は「光子郎」だぜ。

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 21:18:20 ID:mQ1EnOSX
こ、ここここんばんは! えー、ここのところ毎日のように予約が入り
今日もロリショタロワは円滑かつ健全に、しかも全年齢向けで進行中。
強烈な作品が投下され続け、そろそろ
・オッドアイはろくな目に合わない
・死体になってからイベントが起こる
あたりはLSロワの法則になってきているんじゃないかと思ってます。

ただ、避難所でソウルイーターはファフニールに修正という書き込みがあったんですよね。
wiki見たらまだ修正されていなくてソウルイーターのままでしたが、今回の作品とどっちを優先
するべきなんでしょう……。


【予約まとめ】
3/26(月)の予約(29(木)まで)
◆CFbj666Xrw:一休さん、古手梨花、灰原哀、ネギ、コナン、メロ、金糸雀
◆0e1.qJAPw2:きり丸・のび太・キルア・太一
◆tF8w7KK0cU:三宮紫穂

3/27(火)の予約(30(金)まで)
◆aAwQuafMA2:リルル、ククリ、ネス、リディア、イエロー

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 21:47:09 ID:jUZ7P9nz
>>284
まとめ乙です。
ちょうどその法則の一つを踏襲した展開を書いていたのでドッキリ。
オッドアイキャラというと、蒼碧双子と、ミミ(後天性?)の他にいたっけ……

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 22:36:29 ID:FbvCRDrC
>>283
「光子郎くん」じゃね?

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 22:52:03 ID:2vP9gLvR
>>286
うん、そうだね。
俺の言葉足らずだね。
俺が言いたかったのは、誤字のこと。
光子郎くんが正しい。

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 22:57:01 ID:y+LpgWB4
マーダー勢は他ロワより恐いな。みんな殺害実績あるし(ブルーも間接的に殺害してるとして)
リリスだけまだ殺害ゼロって意外かも。サラマンダー候補か?w

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 23:00:19 ID:5OsvBYFL
>>288
サラマンダーにしては怖すぎるがなw
確かに誰も死んではいないが負傷者二名……

290 : ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 23:17:10 ID:kPqyAQ0c
うわ、今までこんなに感想もらったことないよ……。
自分の気合い入れたシーンに反応もらえるのって嬉しいな(グロだけど)

>>283
指摘ありがとうございます。デジアド見たのなんて何年も前だから、結構記憶が飛んでました。
WIKI掲載時には、指摘のとおりに修正しておきますね。

>>284
したらば見てきたら、確かにファフニールに変更って書いてありました。
自分としても長剣のほうが展開上都合がいいので、ファフニールに直したいところです。
ただ、細部の修正用(魔剣が云々のくだりとか)に、ファフニールのアイテム説明をお願いしたいんで、
誰か分かる方いたら、お願いします。

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 23:24:59 ID:mQ1EnOSX
>>290
ややこしいことになってますが、
魔剣ソウルイーター:長剣
邪険ファフニール:短剣
なんですよね。ロリショタが扱うには短剣のほうがいいかと思ってましたが、
今回の展開的には確かに長剣であるソウルイーターのほうが映えますね。

↓以前避難所にあげたものですが
http://up.spawn.jp/file/up11265.jpg.html

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/27(火) 23:27:13 ID:mQ1EnOSX
今wiki編集中なんですけど、暫定的に今の文章のまま載せてもいいですかね?

293 : ◆o.lVkW7N.A :2007/03/27(火) 23:40:10 ID:kPqyAQ0c
>>291
ああ、ファフニールは短剣なんですねorz

ただ、今、ミミの登場する作品を読み返してみたんですが、
『剣』という表記はあっても、『短剣』とか『ダガー』とかいう表記は見当たらなかったんですよね。
このままソウルイーターに……っていうのは、やっぱり無理があるでしょうか。
勿論、◆gMrrx6WqIM氏とスレ全体のの了承があれば、の話ですが。

294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 00:33:14 ID:sugV/cu/
>>293
個人的にはどっちでもいいとオモ

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 01:16:25 ID:nDdIKOIY
金髪の少女って出てるんだが
グレーテルは銀髪じゃなかったっけ?

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 04:23:22 ID:L2+1Aei3
銀髪…そして かつら


297 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/28(水) 07:23:43 ID:53whoLky
現在一休さん、古手梨花、灰原哀、ネギ、コナン、メロ、金糸雀の予約を入れていますが、
どうも金糸雀の登場する場面は無い方が良い流れになってしまいました。
(ネタバレすると、校舎の方に来る事が確定するだけの場面だった為。
 入れても支障が有るわけでは無いが、出す必要も無い)
ですので、金糸雀の分だけ予約を撤廃したいと思います。
二日間に渡り余計にキャラを拘束してしまい申し訳有りませんでした。

残りキャラの予約はそのままで、執筆続行中です。

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 11:19:19 ID:ASwWcyi+
いいかげん迷惑かけるのやめろや、お前ら。

バトルロワイアルスレがうざすぎ
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1174605784/

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:53:51 ID:EEShm+GV
したらばでSS投下あり。

62 : ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:43:43 ID:BH8tyQyo0
ええと、予約破棄していた3名が完成しました。
が、2ちゃんねるに書き込めないので代理投下誰かお願いしますorz

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:54:23 ID:EEShm+GV
63 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:44:20 ID:BH8tyQyo0
「レンちゃん。あそこで泳いでいる2人助け出そうか?」

はやては結局北には行かずに、西の湖にいる子達を選んだ。
目の前で困っている子を助けないで誰を助ける?
どこかの偉人さんが言ったような台詞をはやては思い出す。
そしてこの場にいるもう1人――レンに確認をとる。
はやての意見に反対がなかったのか、レンは無表情のままこくりと小さく頷いた。
おっしゃと思い、どうやってあの人達を助けようかと再び視線を湖へと戻すと、

「あれ……誰もおらへん……?」

そこには先程の人影などなく、太陽の光を反射させてキラキラと輝く湖へと変わっていた。
穏やかな風が小さな波を立たせ、あまりの変化ぶりにひょっとしてさっきの幻覚? とはやては思わされる。
が、その小さな波に反乱するかのように、とある地点の水面は揺れていた。
そこははやてとレンが人を見つけた地点、これらの条件の下、はやては何が起きたのか瞬時に理解した。

(ひょっとして溺れてしもうたんやないか?)

どう考えても最悪な展開。
水面に浮いていたのなら、呼び込んで接触できたのかもしれない。しかし、水中にいる人に話しかけれる術はない。
飛び込んで助けようにも、下半身が動かない自分が2人を助けれるはずがなく、むしろ水死体がもう1人増えてしまう。
となると、

「レンちゃん泳げたりする?」
「?」

はやての質問にレンは首を傾げる。
わかっている事であったが、ほんの少し期待していた部分が裏切られ、若干落ち込んだ。

(いや仮に泳げても助けられるわけないやろ……)

溺れている2人を助けるなんてどこのレスキュー隊員なの? って心の内で突っ込むはやて。
そんな事をしている間にも刻々と時間は過ぎていく。
北の騒音は少しずつだが確実に小さくなっていった。
今更駆け込んだとしてももう遅いだろう。
――結局どっちも助けられない。
その言葉が、はやての頭をトンカチとかで叩くような衝撃を走らされた。
それは自分のせい、自分の下半身が不自由でなければ……
出したくもないため息が深く吐き出される。
そんなはやてにちょんちょんとレンが突っついた。
半分泣きそうな顔で「なんや?」と聞くとレンが湖の方を指差している。
言われるがままにそちらの方を向くとそこには――少女がいた。
なぜ1人? とかどうやって助かった? とか聞く前に自然と呼びかけの言葉が出ていた。

「お〜〜い! 大丈夫かぁ〜〜!?」



301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:56:02 ID:EEShm+GV
64 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:44:54 ID:BH8tyQyo0
 *  *  *


最初声が聞こえた時、イリヤは自分の事を指しているのだとは気がつかないし、耳にも入らなかった。
それだけ精神に余裕がない証拠でもあった。
これからも恐怖してしまうだろう、これからも生と死の狭間で生きていかなければならない。
再度自分が他人を殺さなければならないと決心するのに時間がかかってしまった。
パンパンとイリヤは自分の頬を叩く。
この状況下で迷いが生じるのは敗北の証――そう自分に言い聞かせた。

「お〜〜い! 大丈夫かぁ〜〜?」

と、声が聞こえた。
無意識のままに視線を声が聞こえる方に向かれる。
そこには車椅子に座ってる女の子と可愛らしいドレスを着た少女が立っていた。

(さて……どうしようかしらね)

イリヤは悩む。
ただし、それは『どうやって殺そうか』という悩み。
1人は足が不自由、1人は見た目そう強くない感じ、殺すには格好の敵だ。
先程のようなミスはしない。
向こうはイリヤに対して警戒心は薄い。
色々感ずかれる前に一気に殺すべきだとイリヤは思った。
先の戦闘での疲労感や消費した魔力は大きい。しかし、ここで一撃で葬れば問題ない。
2人殺せばそのままご褒美を貰える、そこまで考えてイリヤはようやく返事を返した。

「大丈夫だよー」

笑って手を振り、敵意がある事を悟られないようにする。
そして静かにS2Uに入ってる魔法を唱え始めた。

「えぇと……とりあえずどないしよ……」

湖とはやて達の高さは結構ある。
ここには救命道具となるロープや、浮輪などの物は一切ない。
ゆえにはやてはどうやって助けようか悩んだ。
ちんたらしていたらまた先程のようにおぼれてしまうに違いない。しかし、そんな不安など全く気にせずに、

「大丈夫、そっちに行くね」
(後は精製が終わるのを待つだけ……)

イリヤは魔法の詠唱を終えていた。
が、その性質と量、尚且つ敵にバレない位置に配置する為にはどうしても時間がかかる。
時間稼ぎの為にもまずは接触しなければ話にならない。
イリヤはS2Uを高々に掲げた。途端、彼女の体は羽根のように軽くなり、翼もなく宙に浮かんだ。
そしてそのままゆっくりと飛翔、はやてとレンのいる橋の上へと辿り着いた――体操服とブルマの格好で。
この際服装など気にしてはダメだ。これでも立派な防御手段なのだから、

「ね?」

と、呆然とイリヤの方を見ている2人に言う。いやレンはただ無表情のままなだけなのだが……
やや驚きながらもはやては答えた。

「じ、自分魔法を使えるん?」

その瞬間、イリヤは直感で感じる。
自分の放つ魔法の準備が出来た、と。
後はその魔法を口に出すだけ。自然と口元が柔らかくなり、笑みへと変わる。

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:57:22 ID:EEShm+GV
65 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:45:15 ID:BH8tyQyo0

「うん、この子のおかげなの……こうやって!!」
『Stinger Blade Execution Shift』


主の命に応えて、魔法を発動するS2U。
S2Uの先端から魔法陣が出現し、はやてとレンは自然に身構える。
が、その魔法陣からは要となる魔法が発動されない。不発と一瞬思ったはやては頭上の様子が変である事に気づく。
上から……音がする。
それも一つじゃない、複数だ。
はやてはカードを一枚取り出しながらも上を見上げる。
そこには無数の刃が、はやて達を突き刺そうと勢い付けて襲いかかってきた。
迷う暇はない。あれを回避するなど不可能、防御するしか選択肢はない。

「パンツァーヒンダネス!」

カードに予め入ってる魔力を媒介に魔法を組み立てる。
はやてとレンを無数の刃から守らんと盾が立ち塞がった。

この保持者――クロノが使った時は盾の守護獣ザフィーラによって守られた。
それは彼自身が盾の守護獣と名乗るように強固な盾を持っていたからだ。
では今回はどうだ? 今回使われたのは『パンツァーヒンダネス』。
これ自身も防御に徹すればそれなりの強固となる盾である。が、イリヤが唱えた数は魔力や時間の都合上でも100弱。
拮抗したのはほんの数秒であった。
はやてが展開した盾はひびが入るのと同時に分解され、防ぎきれなかった刃が2人を襲いかかる。
もはや主を守る手段などない。はやては死の恐怖から避けようと目を瞑った。

ほんの数秒、それだけでも何かは出来る。
例えば誰かを守る事も……
ドン、と胸辺りを押された。
その力は弱く、はやてと車椅子を数mだけ後退させた。
誰が押したかなんて見なくてもわかる。しかし、理由がわからない為思わず目を開ける。
一瞬であったが太陽の光が懐かしく思えた。
そして目の前にはレンが……その瞬間砂埃と刃がレンの姿をかき消した。

「レン……ちゃん……?」

はやての口が震える、いや全身が震え出してきた。
誰かに四肢が掴まれているかのように動けない。
それは誰にだってわかる……レンが身代わりとなったのだ。
何か言葉にしようと喉から必死に吐き出そうとするが、

「あ……あ……」

と単一な単語しか作れない。
助けたくても肝心の手が動かない。頭で何度も命令しても体はそれに背く。
刃は一瞬でレンを襲い掛かり、砂埃は時間が経つにつれて薄れていった。

(見たくない……レンちゃん……)

見たくなかった。しかし、目の前には自分達を狙っている敵がまだいる。
その敵をなんとかしなければ……そう思ってぎこちない動きでカードを取ろうとした時であった。
それは綺麗な放物線を描き、はやての膝にぽつんと置かれた。
さっき使った物、今使おうとした物――カードであった。

「レン! ……ちゃん……」

そしてはやての隣にはいつも通りレンがちょこんと立っていた。
最初は生きていた事による喜びと安堵感が混ざったが、その姿を見て苦痛と不安が混ざった口調へと変わった。

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:57:59 ID:EEShm+GV
66 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:45:30 ID:BH8tyQyo0
ある程度レン自身で防いだのかはわからないが、刃によって負われた全身の切り傷が痛々しく見えた。
その傷はいつ死んでもおかしくない数である。
口からも足からも手からも血がすーっと流れ、よく見ると足がふらついている。
立っているのがやっとではないかと思わせる程弱々しい。

「逃げてって……レンちゃんに任せられへんよ!」

レンの念話を受け取って、反論をはやては述べた。
こうしてる間にも敵が襲ってくるかもしれない。だからこんな事で話続ける暇などなかった。
いや、そもそもはやてはレンの事を見捨てるわけがない。自分を助けた上さらに逃がしてくれるなんて、そんな事はやてが許すわけなかった。
しかし、

「このままじゃ2人とも死ぬっ……て、だからって!」

レンの言い分はもっともであり、はやてにはわかっていた。
敵の魔法は強大だ。対するこちらはカードを全て攻撃に回しても5発。
さらに仲間1人は重傷、このまま放っといていたら確実に死ぬであろう。回復の魔法を発動する暇はない。
ならば確実に生き残る為ならば……
1人がここを死守して仲間を逃がせばよい。
それが当然の考え、誰一人責められる内容でもない。

「そんなの嫌やわ!」

自分の思考を消し去ろうと頭を左右にふる。
その瞬間、はやての目からは涙が毀れた。
はやて自身もわかってる、それが仕方ない事であると。しかし認めない。認めたくなかった。
先の少年での戦闘も助けてくれて、今も重傷を負ってまで自分を助けてくれた。
同情もしてくれた。支給品だってわけてくれた。
念話で会話もできた。もっともっとお話をしたい。
無表情ではあるが、内面は優しい女の子なんだ。
そんな子を、そんな大切な子をはやては捨てる気など絶対にしたくない行為。
我侭と言われてもいい。だって、恩返し1つもしてないではないか!
顔を伏せる。見られたくないからだ涙を零す姿を。

「行って、お願い……」
「そんなむ……え……?」

予想外の出来事に目を見開いた。
確かに聞こえた。頭ではなく、耳で。
聞きまちがいだったのかと思わずレンの方を向いた。
――笑ってた。
いや、それは本当にちょっとだけ口が緩んだだけ。
むしろ微笑んだというのが正しい表現であった。しかし、はやてはそれが笑っていたという以外説明できなかった。
その瞳は優しかった。
心の底から悪という気持ちが流れさってしまうような感じ。自分の犯した罪を赦してくれるような感じ。
はやては確信した。レンははっきしと声に出したのだと。そして気づく。自分はそこまで大事にされているのだと。
今は勝てない、けど今度出会った時勝てばいい。その時弔ってくれ、とそう訴えてくれた感じもした。
とにかくその言葉、初めて口に出したその言葉ではやては決心した。レンの気持ちを無駄にしない為、自分がレンの分も生きていく為にも……
それは聞き間違いだったのかもしれない。幻聴だったのかもしれない。しかし、はやてはそんな考えなど浮かばなかった。
はやては小さく「ごめんな……」と呟くと車椅子を動かし始めた。
そしてその膝の上に今度は自分のランドセルを乗っけた。



304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:58:37 ID:EEShm+GV
67 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:45:51 ID:BH8tyQyo0
 *  *  *


イリヤはただ黙って2人の様子を見守った。
いや、見守っていたわけではない。ちょっとした保険をかけていたから必然的にそうなってしまっただけである。
だから砂埃がかき消されて、車椅子の子が無傷であったのは少し驚きを隠せなかった。しかし、少しだけ。
イリヤは冷静に対処する。油断してはならない。先程も車椅子の子は魔法を使った。
ゆえに何か話してる間、イリヤは2人にばれないように準備に取り掛かった。
この間に攻撃をしてもよかった。しかし、向こうにあの防御魔法がある限り、こちらの攻撃は通らないだろう。
ならば先の魔法は? いや先程の魔法はもう放てない。あれは魔力消費が高すぎた。そちらよりもより確実な方をイリヤは選んだ。
と、車椅子の子が去っていく。好都合――と言うべきなのだろうかともかく魔法を使える子は離れた。
目の前に残ったのは重傷の子、この子をさっさと殺して車椅子の子を狙おうかとイリヤは判断する。

「へぇ……あの子を逃がすんだ?」
イリヤの質問にこくりとレンは頷く。
「あなたもう死んじゃうよね?」
また頷く。
「わたしに勝てると思ってるの?」
再三頷く。
「じゃあやってみてよ。S2U!」
『Blaze Cannon』

イリヤは黒杖をレンの方に向け、魔法陣を発動させる。直後熱量と魔力が篭った魔法弾を発射させた。
威力、発射速度共に高レベルの砲撃魔法。
相手は避ける事なくただ立ち止まっている。
そしてそれはレンの目前へと迫り、炸裂した。
イリヤの視線から見ると、それはレンへと直撃した以外説明できない。
煙がむんむんとレンの姿を消す。
イリヤは勝利の確信を得たのか、笑みを込めて喜ぶ。が、それも束の間。
その煙をかき消すぐらいのスピードを持った何かが、レンの方から発射された。
驚き、慌てて防御魔法を唱えようとしたが、遅い。

「げふっ……」

予想外の展開、予想外の攻撃。
なんなのかはわからないが、何かがイリヤの腹部を直撃した。
出したくもない音を吐き出し、橋の上を転げ回るイリヤ。
止まったや否や、胃をやられたのか血が混じっている胃液を吐き出す。
対するレンの方は無傷、いや切り傷を除けば、であるが。
そう、レンはネコアルクを瞬時に召還させたのだ。
これがスティンガーレイのような複数発放つ魔法だったら変わっていたのかもしれない。
とにかく1体で防御し、1体で飛び道具としての攻撃。
予想外に効いたのか、イリヤはなかなか立ち上がれない。
レンはトドメを刺そうと先の『スティンガーブレイド・エクスキューションシフト』で一部破壊された橋を飛び越えて、距離を縮めようとした。
しかし、

「!?」



305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:59:13 ID:EEShm+GV
68 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:46:02 ID:BH8tyQyo0
レンの動きが止まった。
下には魔法陣が発動、そして両腕両足には魔力の鎖がレンを拘束した。
レンは必死に振り払おうと身体を動かすが、魔力の鎖はびくともしない。
――完全に捕まってしまったのだ。
レンがはやてを逃がしている間にイリヤが攻撃をしなかった準備とはこれであった。
それはS2Uに入ってある捕縛魔法の1つ『ディレイドバインド』
これは特定空間に進入した敵を捕縛する魔法。
但し弱点もある。それは詠唱の長さと特定空間のみの作動により敵に避けられやすいという2点だ。
だが、その2点もレンがはやてを逃がす時間と、レンが勝利を確信しての油断により消え去る。
イリヤは勝利を確信した。故にレンの攻撃を直撃で食らった。
レンは勝利を確信した。故にイリヤの罠へと嵌った。
ふらふらと立ち上がり、腹部を抑え、咳き込むイリヤ。

「2人いたから2つ、だから2倍の威力だよ。逃げられる術なんてないから」

イリヤが冷たい言葉を放つ。
この状況下で逆転できる術などあるはずがない。しかし、それでもイリヤは焦っていた。
外面に出さないように必死に抑えている。なぜなら、
――レンの瞳は未だに諦めている様子などなかった。
見栄を張っているだけなのかもしれない。そう思いたくても先の戦闘での経験が物を言う。
ふらつきながらも近づき、残り距離は後数m。
本来ならばもう少し近づく。が、これ以上近づいたら自分も死んでしまうのではないか? と全身が警戒してくる。
故に立ち止まる。故に一気に決める。そう思ってイリヤはS2Uをレンの方に向ける。

「終わらせて」
『Blaze Cannon』

しかし、イリヤは気がつかなかった。
イリヤが完璧に射殺す間合いは、レンがイリヤを狙える間合いである事を……
S2Uの先端に魔方陣が現れ、炎を伴う魔力弾が再度レンを狙う。
レンにはもう防ぐ術はない。ここで捕縛された以上勝てる要素はない。そう、勝てる要素は……
ならば相打ちにもってくだけだ。
それは現れた。彼女の胸辺りから。
無数の氷の刃が彼女の周りを見境なく空気もろとも切り刻んだ。



306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 17:59:44 ID:EEShm+GV
69 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:46:19 ID:BH8tyQyo0
 *  *  *


はやては橋を渡りきると、車椅子の動きを止めた。
敵がこちらに来ないという事は、レンが倒したのかそれともこちらに来れない事情ができたのか……
でもレンがこっちに来てくれるという可能性は0に等しい。
期待したら裏切られる。故にはやては期待しなかった。
レンが死ぬが当然だと思った。当然だと思わなければならなかった。
そう思わないと今も止まらない涙がずっと止まらなくなってしまう、そう気が気でならない。
全ては自分のせいであった。
初対面の人にもっと疑いをかければよかった。
そもそもあの子を見捨てて北の方に行けばよかった。
挙げてけばキリがない。
悪いのは自分なのになんでレンに全てしっぺ返しがくるのだろう。
最初の少年の時も、そして今も助けてくれたのはレン。
自分は何もしていない。ただの足手まとい……

――それもこれも下半身が動けないから――

そうだ。そもそも下半身が動けさえすればこんな目にはならなかった。
もっと色々対処できたではないか?
そう考えるとこの体である自分が悔しい。

『……4人殺すごとに『ご褒美』をあげよう。
 追加の支給品や知りたい情報、怪我の治療の3種類の内から1つだ。目標が近くに見えた方が幼子達も気合が入るだろう』

不意にあのジェダって人の言葉が浮かんだ。
それこそ無意識の内に勝手に浮かび上がったのだが……
その中の『怪我の治療』という単語が出たとき、はやては身体が止まった。
怪我の治療……それはこの下半身にも言えるんじゃないだろうか?

(そないすればレンちゃんみたいな犠牲者はもう出なくなる……)

ハッと気づくと、なんて馬鹿らしい事を考えたのかとはやては自分の事を叩いた。
その為には人を3人も殺さなければならない。
そんな事できるわけないし、そんな事レンが望むわけない。
しかし、その思いははやての悩みの種として植え付けられる事になった。



【F-5/南部/1日目/午前】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:腹部に浅い切り傷、魔力消費(小)、殺害への僅かな悩み、精神的にショック
[装備]:メイド服(防弾仕様・腹部に裂け目)、車椅子、カード×5@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式(はやてとレン)、自分の服、首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ、ヘルメスドライブ@武装錬金(使用可能まであと二時間)
[思考・状況]
1:これからどうするべきなのか決める。
2:レンの仇をとる。
3:脱出手段を練る。
4:何かあったらカードを使用
※闇の書事件の数週間後ほど後から参戦。リインフォースUは未完成な時期。
※首領パッチソードの説明は読んでいません。馬鹿らしくなったので。



307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 18:00:16 ID:EEShm+GV
 *  *  *


「ハァ……ハァ…………ハァ…………」

呼吸が苦しい。身体がだるい。
ここは頭上に橋が建っている川辺。
誰かが意識的に来ない限りまず見つかりはしないであろう場所。
イリヤはそこで弱々しく倒れこんでいた。
レンが最後に放った攻撃はイリヤのバリアジャケットを貫通し、肩や足や手といった箇所を切り刻んだ。
しかし不幸中の幸いだったのか、距離が少し離れていたのか、どれも致命傷となる傷にはならなかった。
そして薄れる意識の中レンの死亡を確認すると、残された数少ない魔力を使って飛行し、ここへと辿り着いたのであった。

(シロウって……いっつもこんなに無茶していたのかしら?)

などと苦笑がこぼれる。
彼女に回復の手段はない。ゆえに自然回復して待つしか方法がなかった。
その点本当にイリヤは助かった。
レンとの距離がもう少し縮んでいたのなら今頃出血多量で死んでいたに違いない。
バリヤジャケットは解かれて、元の服装へと戻っていた。
そのスカートの切れ端を使ってとりあえず傷を負っている部分の簡単な止血は施した。
後はもう体の体調がよくなるのを待つだけ。
疲労感と魔力の回復も込めて、イリヤは眠りにへと入った。



【F-6/川辺/1日目/午前】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:魔力残量僅か、疲労大、全身に切り傷(応急手当済み、命に別状はない)、睡眠中
[装備]:S2U@魔法少女リリカルなのは、凛のペンダント@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考・状況]……。
基本:優勝して、自分の寿命を延ばす。
※セイバールートの半年後から参戦。

【レン@Melty Blood 死亡】
【ネコアルク3@Melty Blood 死亡】
【ネコアルク4@Melty Blood 強制送還】

【橋が一部壊されました(大体1M弱の穴)。なお崩れる心配はありません】



308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 18:00:55 ID:EEShm+GV
71 :Muddy Blood ◆NaLUIfYx.g:2007/03/28(水) 16:47:26 ID:BH8tyQyo0
投下完了ですっ
指摘や問題点に関しての返答は多分こちらの避難所ですると思います。
迷惑かけてしまいすみませんorz

とのことです。

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 18:02:34 ID:cgbQYv44
本人代理投下者ともども乙。
命を張って一矢報いるのは大抵失敗フラグなのは気のせいだろうか

|葬式会場|  λ.... それじゃあ行くか……

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 18:26:58 ID:Qn2Cdcsj

ただイリヤが『魔術』ではなく『魔法』と思っていたのが少し気になった。
あとはやてはデバイスを見ても何の反応も無し?こっちは原作未見だから参戦時期とかに関連してるのかも知れんが。
そうだったらすまん

311 : ◆3k3x1UI5IA :2007/03/28(水) 19:35:13 ID:PXieE2R7
投下&転載乙です。

フランドール、しんべヱ、ヴィクトリア 以上3名予約します。

プロット時点で既にコラボによるオリ技やら何やら、議論呼びそうな要素が結構あって不安ではありますが……。
ま、全てはものを出してから、ということで。

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/28(水) 23:22:59 ID:ckD0ZSDs
>>310
S2Uは確かアニメ本編では見ていないと思う。そのころにはS2Uの持ち主はデュランダル
持っていたはずだし。ただし、そのときにS2Uが壊れていた訳じゃないから見る機会がどこかで
あったかもしれない、という程度かと。それにしたって、魔法発動時にミッドチルダ式魔法陣が
出るんだから、はやてがS2Uのことをデバイスだと思うのは普通だと思う。

>>311
筆が速くてうらやましい……。期待!

313 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 07:08:46 ID:77i9RTk+
申し訳有りませんが少々投下が遅れそうです。

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 08:06:15 ID:yajUm6Ll
>>313
ガンガレ。

とりあえず、>>293に誰か答えてあげてください。
自分の意見は短剣のままで話をすすめるべきかなと。
短剣の設定らしいということは前から言われていたし。

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 10:27:36 ID:EO7dn8LU
>>293
元から短剣のつもりだけど長剣と名前を間違えただけじゃね?

316 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:15:05 ID:TXL/3I8f
投下宣言。
これより投下開始します。
wiki収録を考え前後に切りましたが、状態表は後編のみ付属します。
……というか予定以上に長くなっちゃったから、
これでもテキストモードでページ作らないと入らないかな。

317 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(1/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:16:34 ID:TXL/3I8f
灰原哀は……いつの間にか、目覚めていた。
薬の不眠症の効果も有り、失神から睡眠へと移行しない意識の喪失は短い物だった。
梨花と一休のやり取りも全て聞こえていた。
まだ聴覚その他諸々は鋭敏なままだった。
耳障りな雑音や声が耳に響きわたっていたが、その全ては無視する。
そんなのはどうでも良い事なのだ。
………………。
少女の目の前には一つの支給品が転がっていた。
古手梨花のランドセルから転げ出たそれは、ある種の『武器』――
(……いいえ。普通は武器と考えないわね、これは)
説明書きも一緒に転がっている。
その内容からして、これを武器と考えるのは極めて難しいだろう。
説明書きからしてふざけているし、使える状況は極々限定される。
――ように見えた。
(でも……そうじゃない……?)
ある思考に陥っていた灰原はそれ故にその使い道に気づく。
手には手錠を掛けられていたが、体の前で掛けられたこの程度なら支給品は使える。
顔を上げると、目に映るのはとんでもない格好をした小坊主と、モップを突きつける少女。
先程、その見た目からは想像できないテクニックで彼女を気絶させた少女。
少女は灰原に無防備な背中を向けて小坊主と対峙していた。
…………その事が少し、腹立たしかった。

     * * *

「……警戒を解いてはもらえませんか?」
「へんた……そんな変な格好の人はすぐには信用できないのですよ」
「おや、これは困りました。この頭の物ならかぶるのはやめますが」
「被るのをやめたらどうするのですか?」
「履きます。それが正しいのでしょう」
「………………」
(……何か変な事を言ったのでしょうか)
降参のポーズを取る一休に、少女は以前警戒を解かないでいた。
こんな小坊主が手を上げて降参の意志を示しているのだ。
少なくとも無力と考えてくれても良いはずだが、一向にその気配は無い。
(確かにわたしにだって奥の手は有りますけどね)
「さもないと石」なる怪力乱神を呼び寄せる宝石。
これを使えば人間一人程度は殺めてしまえるのだろう。
(いやはやおそろしい物です)
出来る限り使いたくはない物だ。誤解による諍いならば尚更だろう。
他は体の力が抜けてしまう粉末状の毒に、気付け薬。
焚く事で嘔吐感と気怠さを感じさせたり、激しい幻覚を見せたりする焚薬などだ。
(脱力させる『“わぶあぶ”の粉末』とやらは効果的なのでしょうが、
 取りだして撒く前に叩かれてしまいますし、不意を打たなければ吸い込んでもらえるか判りません。
 これはなかなか困りましたね)
やはりどうにかして信用を得るのが一番だろう。
(それにしても変な格好という事はこの頭に被っている物のせいでしょうか?
 確かに下履きを頭に被るというのは妙な図ですからね。
 でもそれを直すと言ったのにあまり評価が芳しくありません。
 そこまで最初の見た目で判断されてしまうとは困ったものです)
一休はどうすれば良いか考える事にした。
こういう時は少し考えれば良いとんちが閃くものだ。
しかし自慢の頭までいつもより冴えが悪く、良いとんちが出てこない。
集中できないのだ。
……理由は判っている。
(この『音』が無ければ……諸行無常とはいいますが…………)
内心の歯痒さを押し殺し、一休は梨花と対峙する。

     * * *


318 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(2/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:17:12 ID:TXL/3I8f
一方の少女、梨花から見た一休の危険性を再確認しよう。
まず、どうやら着物を着たお坊さんらしい。頭も剃っているから本職だろう。
お坊さんらしい生活によってか同年代の子供よりは鍛えられているのが見てとれる。

一休自身はブルーに手痛い目に合わされたり理科室に怯えたりで強みとは考えていないが、
同年代の少女の肉体から見ると押さえ込まれれば危ない相手には変わらない。
梨花は自分自身の脆弱さをよく知っているのだから。
しかし梨花が危惧していたほどに脅威が無いのもまた事実だった。
(幸い大した相手じゃないわね。捕まりさえしなければなんとでもなる。
 変な道具を持っていなければだけど)
梨花とて異常にスペックの高い部活メンバーの中で鍛えられた身だ。
自分の未熟な肉体でどう戦えば勝利を掴めるかはよく知っている。
要は正面から戦わなければ良い。
相手の油断を誘い、隙を作り、不意を打ち、手段を選ばずに戦えば良い。
――それとは別に正面から戦わなければならない時も知っていたが、今は置いておく。

そういう意味で言えば不意打ちでモップを突きつけた状態はもう勝ちに等しい。
相手が時間を止めて殴ってきたりする可能性はどうしようもないので除外。
(問題は……あのヤク女ね……)
今は背後で気絶しているが、あんな少女(?)を変態少年の前に残して逃げられる筈がない。
だが古手梨花の幼く弱い肉体ではあの少女を持ち運ぶのはあまりに困難だ
よって、連れて逃げようと思えば目の前の変態少年を邪魔出来ないよう叩きのめす必要がある。
正直これが一番手っ取り早く、確実だ。
モップを突きつけている現状ならさして難しくないだろう。
問題は目の前の変態少年がどこまで危険か判断しづらい事にある。
もし悪人でも危険人物でもないのなら、話し合いの余地がある。
話し合いで解決するならそれに越した事は無い。
古手梨花は改めて目の前の少年の姿をじっと観察した。

「………………みぃ、やっぱりどこからどう見ても変な人なのです」
「し、失敬な!」
頭に被った赤ブルマがやはり最大のチャームポイント。
着物の隙間から見えるのは体操服だ。多分ブルマとセットの女生徒用。
更に懐から覗く先程の打撃を受け止めた本は保健の教科書。
真面目な意味ではあるが言ってみれば『からだのお勉強』の本である。
更に梨花は目敏く気づいてしまったが、手に握られたリコーダーは……。
「その笛は……『吹いた』のですか?」
動詞を強調して確認する。
「え? …………い、いいえ、そんな事は全く」
一休はしらばっくれる事にした。
(吹いてはいけない物だったのでしょうか。これは参りました。
 うそだと気づかれなければ良いのですが。
 いや、この少女もやはり神仙の類で既にお見通しだという可能性も有りますね。
 もしそうだとすれば……どうしたものでしょう)
などといった動揺だ。
そして一休が内心警戒する一方で、梨花もまた警戒を強めていた。
しらばっくれたのを見破ってしまったのが警戒する理由の一つ。もう一つは……。
(『吹いた』にも動揺したようね。でもちょっと『吹いた』だけでそんな濡れ方するわけが無い)
梨花が偶然にも気づいたのは、リコーダーの吹く所がよくよく見ると妙に湿っている事だ。
実はこれは水道を弄った時にかかった水が僅かな湿り気を残していただけ、全くの偶然だ。
また、水が掛かったそれは吹いたという湿り方ではなかった。
そのために一休もそこから梨花が推理(誤解)した事までは気づかなかった。
(あの湿り方は『吹いた』んじゃない。あれは……)

恐らくは女生徒の物である体操服を着て、頭に赤ブルマを被り、懐に保健の教科書を入れた少年が、
吹く部分がちょっと吹いた程度ではなく湿ったリコーダー(体操服やブルマと同じ出所?)を持っている。
これらの情報からどういった答えを連想するか。
それは現時点まだ純真である一休には如何にとんちでもひねり出せない答えである。


319 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(3/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:17:54 ID:TXL/3I8f
(そう考えると……所々に付着している『微かな白い汚れ』もまさか…………)
それは本当は白いチョークを回収した時に付いてしまった汚れだ。
手に付いた汚れは水道を弄った時に洗い落としたが、衣服に僅かな汚れが残ってしまった。
きっぱりそれだけだ。
それだけなのだが梨花がそんな事を知る由も無く、位置もこれまた絶妙な位置だったりする。
(…………考えすぎよ。
 大体、唾液の臭いもいわゆるアレの臭いも別に……
 くっ、さっきの女のあれでまだ臭って、これじゃ別の臭いが混ざっても判らないじゃない。
 疑心暗鬼に囚われるのは愚かだけれど、後ろの女の事も考えると慎重に動かなきゃ……。
 当たり前だけど思考が落ち着かない。胸騒ぎが止まらない。
 ……リンク。
 早く、この『音』を止めて。あなたが止めて……)
梨花は内心の焦燥を押し込めて考えていた。
どうすれば良いのかを。

     * * *

灰原は、梨花に対して少しだけ腹立たしく思った。
(どうして……殺してくれなかったの?)
汚れ乱れて、愚かに、そして惨めに殺されて死に果てる。
それが灰原の望みだった。
それなのに灰原は梨花に……いかされた。
生を選ばされた。
死に全てを委ねようとしていたのに、強引に生へと進み行かされた。
(…………馬鹿ね。本当に馬鹿)
今、灰原の手の中には一つの支給品が有る。
それは『武器』……いや、こう言い換えた方が良いだろう。
『凶器』と。
灰原は多少なりとも江戸川コナンの周囲で頻発する殺人事件を見てきた。
その経験から言えば、人を殺すには少しくらい無茶に見える物でも十分だ。
流石に複雑すぎて動かし方の見当すら付かない『あるるかん』は無理と判断したが――
実現できるかどうかは別の問題として、要は殺し方をこじつければ様々な物が凶器に変わる。
そんな目で見れば、梨花が使えないと考えたこの支給品でも実は人を殺せる。
――灰原自身の命を奪うことが、出来る。
(自分の手で私を殺していればご褒美の糧となったのにね)
いつの間にか『夢』である筈のこの世界を現実のように考えている事に苦笑する。
これが夢なら自らの死により全ては終わるはずなのに。
灰原はそっとその『凶器』を身につけて、自らの胸に押し当てた。
後は一言でいい。
たった一言の憤りをぶつけるだけで、この『凶器』は灰原の命を奪う。
灰原哀は灰原哀を殺せる。
罪を殺せる。
そう、今も死に瀕しているであろうこの『音』のように。
(せっかく助けてもらったのに悪いわね。でも私には……生きている権利すら、無い)
そして――

     * * *

時の将軍様をも唸らせた程のとんち。
あるいは数千の死を超えた元魔女の経験。
それはどちらも、とても優れたものだった。
その両方が戦いを望まないでいた。
争いを起こさないためにはどうすれば良いのか、その答えに気づき、あるいは知っていた。


320 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(4/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:18:36 ID:TXL/3I8f
それでも、それを実行する事が出来るかはまた別の問題だった。
現実の障害はいつも多い。
例えば……『音』だ。
その音はずっと聞こえていた。
灰原は、それが悪夢を構成する欠片の一つに過ぎないと聞き流していた。
梨花は、リンクがそれを止めてくれると願っていた。
一休は、可哀想だが触らぬ神に祟り無しを通していた。

「みなざ『ピーーーーガガガッ』ば3人も、死なせでし『ガガガピーッ』を申し上げたく……」

ずっと聞こえていた。
その音は梨花や一休の耳に響きわたり思考を掻き乱していた。
目の前の人間に対する不安を増幅させていた。
その音は。

「うる『ガガッ、ピー』もう」
「ごめんなゴフッ!?」
「キミはもういらないから『ピー、ガガガ』」

どこまでも無邪気で残酷な声に壊された。
微かに、液体が勢いよく降り注ぐ音がして。
それから、湿った柔らかい物が覆い被さるくぐもった音がして。
それを最後に、響いていた音は途切れた。

「ひぃ…………っ」
一休はおそらくその形で放送が終わる事を予想していた。
それでも恐ろしかった。
今この瞬間に自分と同じ年頃であろう少年が殺されたのだ。
恐れずにいられるものか。
だから一休はこの張りつめた状況の中で思わず一歩、二歩と後ずさり――

「リンク――!」
梨花はその形で放送が終わった意味を理解していた。
これはリンクの戦いの始まりを示す音だ。
あの哀れな少年を使って罠を仕掛けた別の少年が、戦いを始めた合図。
おそらくはリンクが戦場に到着した合図。
その合図に思わず押し殺した声が漏れ、意識が逸れる。
その瞬間。
目の前の少年、一休が一歩二歩と後ずさった。
(まずい)
梨花は一休を不意打ちで追い込む事が出来ていた。
それはつまり一休がどんな武器を隠し持っていようと封じ込めていたという事で、
逆に言えば距離を取られ危険な武器、例えば銃器を取り出されれば梨花の勝機は消え失せる!
だから反射的に、踏み込んだ梨花は一撃を見舞っていた。
その打突は一休の胴を打ち、教科書に止められながらも痛みを届ける。
「ヒ、ヒィッ!!」
一休は怯えながらも必死に、同じくモップを振り回す。
梨花はそれを受け止めそして……辛うじて受け流す!
「お、重――!?」
「この、この!!」
焦った思考ながらも穏便な話し合いを断念した一休は更に連撃で押し込んでくる。
火事場の馬鹿力という言葉がある。
一休は喧嘩はからっきしだったが、それだけにこの状況では目の前の少女にすら死の脅威を感じていた。
だからこそ、その一撃は必死の重みを持つ事になる。
(この変態小坊主が!)
梨花はそれをとにかく必死に受け流しながら反撃に出た。

321 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(5/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:20:55 ID:TXL/3I8f
攻撃を受け流すだけなら力は要らない。
力がちょっと強いだけで単純な打撃なんて体力が尽きるまで避ける自信が有った。
これに倍する力と速度で巧妙さと豪快さを併せ持つ大鉈の連撃でも時間を稼ぐ位は出来たのだから。
だが問題は……。
「えい!」
掛け声と共に振り下ろされたモップの柄は見事一休さんの頭を叩いた。
赤ブルマに覆われた頭を。
「やっ!」
突きは教科書に護られた胴に吸い込まれ。
「く……っ!」
足払いは仮にも山寺育ちの足を揺るがすには至らない。
攻撃される合間の反撃はどうしても軽くなる。
(あと5年分も尺が有れば……!)
元々、梨花の力は喧嘩をするには弱すぎる。
催涙スプレーのような腕力に関係無い武器でも無ければまるで相手を止められない。
このままでは必死に暴れる一休との根比べになる――いや。
僅かな隙に一休が懐に手を突っ込み、粉末を撒いた!
「しま……ケホッ! ケホコホッ」
梨花は完全に粉末に突っ込んでいた。
後ずさりながらも幾らかを吸い込んでしまうのは避けられない。
(まずい……)
一休は距離を取り、慎重に様子見の体勢を取る。
一休は激しく動揺する中で一抹の冷静さを取り戻していたのだ。
梨花も焦燥に駆られながらそうするしかない。
(まずい、まずい、まずい! 何かの毒!? それなら一体何を撒いて……!)
「“わぶあぶ”という虫を乾燥させた粉末だそうです」

梨花の手の力が、抜けた。

「あ……!」
「即効性で、粉を吸った者を脱力させてしまうそうです。説明書き通りですね」
カランと音を立てて、梨花の握っていたモップが床に転がる。
握力が低下して手から放してしまったのだ。
「そ、そんな……」
握力はまだ残っている。モップを拾い上げて戦う事は出来るだろう。
しかし屈み込んだ瞬間に叩かれれば、終わる。
拾い上げても握力の低下したこの腕では攻撃を受け流す事もできるかどうか。
「どうやら手詰まりですか。やっぱり落ち着かないといけませんね。
 あわてない、あわてない」
一休はふぅと息を吐いた。
どうやら事を納めされそうだという安堵の溜息だ。
(穏便とは言えなかったけれど、後は話し合いでなんとかなりますよね。
 本当にあぶないところでした)
一休にはこれ以上彼女達を害するつもりは毛頭無かった。
何故なら。
「あなた達は摩訶不思議な力を持っているわけではないようですね。
 いやはやわたしも喧嘩などからっきしですが、大変ですよね。
 か弱い女子ばかりで居るなんて。襲われでもしたら大変です」
一休は自慢のとんちで、この争いの理由は互いの不安によるものだと気づいていたからだ。
(必死になったとはいえわたしが勝ってしまうくらいですから、おそらくは弱いのでしょう。
 誰も彼もがとてつもなく強い人々ではないのでしょうね)
その結果、互いの不安から戦いになってしまった。
必要なのは力そのものではなく、安心感だ。
心強い、頼れるといった安心感があれば、こんな争いは起きなかっただろう。
(つまりわたしが敵ではないという事と、わたしを強く……は見せられなくとも心強く感じさせる言葉。
 男性的な力強さなどをアピールするべきでしょう。
 やれやれ、あまり慣れた言葉ではありませんね)
とにかく何と言うべきかは決まった。
だから一休は、真面目な話だからと安堵で緩んでいた顔を引き締めて。
……言った。

322 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(6/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:21:44 ID:TXL/3I8f
「男手を貸しましょう」
「…………え?」

     * * *

そして……灰原が自殺しようとしたその時。
耳障りなほど響いていた少年の放送が終わった。
「リンク――!」
梨花が一瞬だけ視線を逸らし、どこか遠くに意識を向けた。
その時にようやく灰原はもう一人の少年がこの場に居ない事に気が付いた。
あの放送は……違う、あの声は灰原が彼女達に会う前に聞いた覚えがある。
あの放送は東の森にいた別の誰かの声だ。
(別れたの? …………でも、どうして)
答えは朧気ながら、出た。
リンクという少年は、おそらく放送を強要された少年を助けに向かったのだ。
梨花はこの場に残った。灰原と共に。
(……私のせい、ね)
灰原は手錠を填められ概ね無力化されながらも、生かされている。
おそらくは自分のせいで、彼女がここに残ったのだ。
無責任に放り出さない為に。
(私は生きる資格なんてないのに)
だからそれはとてもとても滑稽で。
……もしそれで梨花やリンクが傷付くなら、それは済まないと思った。
一休と梨花が棒術合戦に雪崩れ込んでしまったのを見ながら、思う。
(勝って。お願いだから)
だが願いは虚しく、一休の撒いた毒の粉により梨花は破れてしまう。
後ずさった梨花は偶然にも灰原の目の前に立っていた。
梨花は背後を見る余裕が無く、灰原が起きている事すら気づかない。
一休は梨花に隠れた灰原の様子に気づかない。
「どうやら手詰まりですか。やっぱり落ち着かないといけませんね。
 あわてない、あわてない」
勝利を確信したのだろう。
変態小坊主(灰原の認識)はふぅと息を吐いて、穏やかに言った。
「あなた達は摩訶不思議な力を持っているわけではないようですね。
 いやはやわたしも喧嘩などからっきしですが、大変ですよね。
 か弱い女子ばかりで居るなんて。襲われでもしたら大変です」
その穏やかな口調がかえって恐ろしかった。
(この坊主……一体何を考えているの?)
背筋が薄ら寒く冷えた。
そして一休は……顔に浮かべていた笑いを、消した。
その瞬間に灰原は確信した。

――この男は、危険だ。

確信の次の瞬間に一休は口を開く。
「オトコデオカシマショウ」
「…………え?」

理解できないという様子で聞き返す梨花に、一休は再びにこやかな笑顔を浮かべた。

「おや、聞き逃しましたか?
 オトコデオカシマスと言ったのです」

確信は必然たる誤解を呼び寄せる。
灰原は一瞬思った。自分が汚されるなら、それでも良いと。
無惨に汚され、殺されてしまえば良いと思った。
その為に理性を放棄して他の者を汚そうとまでした。
だけど、それでも自分を助けた目の前の少女が汚され殺されるのは…………イヤだと思った。

323 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(7/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:22:32 ID:TXL/3I8f
だから。
灰原は梨花にそっとささやき、手の中のそれを差し出した。
「……これ、使えるでしょう?」

     * * *

「どうやら手詰まりですか。やっぱり落ち着かないといけませんね。
 あわてない、あわてない」
落ち着いて息を整える小坊主が憎たらしく、そして恐ろしかった。
梨花の命運はもはや目の前の変態坊主の手の内に有るのだから。
「あなた達は摩訶不思議な力を持っているわけではないようですね。
 いやはやわたしも喧嘩などからっきしですが、大変ですよね。
 か弱い女子ばかりで居るなんて。襲われでもしたら大変です」
(……結構な皮肉屋ね)
彼の言うとおり梨花はか弱い女子の灰原と居る所を彼に襲われ敗北した、つまり大変な目に遭った。
灰原は気絶している足手まといなのだから尚更だ。
正直なんで助けてしまったのだろうかという気もしないではない。
だが今更だ。
(それで何をする気? この変態坊主め)
そして一休は……顔に浮かべていた笑いを消して、言った。
「オトコデオカシマショウ」
「…………え?」
(今、こいつは何て言った……?)
戸惑う梨花に一休は再びにこやかな笑顔を浮かべ、繰り返した。
「おや、聞き逃しましたか?
 オトコデオカシマスと言ったのです」
オトコデオカシマス。
“男手を貸します”という本来の意味合いは、確信に裏打ちされた誤解に呑まれて消え失せた。
その誤解から代わりに浮かび出た意味合いは、一休には想像すらも出来ないだろう。
一休が坊主でありながら世俗の垢にまみれていくのはまだ先のこと。
目の前に居る少女達(倒れている灰原含む)が見た目にそぐわぬ齢を重ねている事を知る由はない。
彼女達が一休と出会う前にどのような事があったのかも知らない。
彼女達はこの島にはそういう者もいるのだと認識し、
一休もそれだと確信し、更に一休を戦いに突入してしまった敵だと判断していた。
その結果一休の言葉がどう取り違えられたかは、如何なとんちでも計れない事だったのだ。

――――――『男(隠語)で*します』

(この小坊主、やっぱり正真正銘の変態じゃない!!)
梨花は確証を持って誤解し一休への抗戦続行を決意する。
だがどうすればいいのか。
梨花の力は萎え、モップを拾い上げる事が出来てもまともに抵抗は出来ないだろう。
加えて変態坊主が持つ毒もあれで終わりではないだろう。
更に一服撒かれてしまえば完全に抵抗できなくなる。
(どうすればいい? どうすれば……)
いっそ殺されないならそれで良いかも知れないと思い始めた時、囁き声が聞こえた。
「……これ、使えるでしょう?」
そっと後ろ手に握らされたそれは……

「…………礼を言うわ。あなたの名前は?」
「灰原哀よ。梨花さん」
「ありがとう、灰原哀。そう、私は梨花。古手梨花」
灰原哀に礼を言い、梨花はそれを腕に填めた。
それは綺麗なブレスレットの形をしていた。
一見すると武器には見えない腕輪。
例えその機能を知ったとしても武器とは考えにくい腕輪。
だがその機能を知れば万人が思い知る。
“この状況において、これは紛れもない武器なのだ”と。

324 :でにをは、そして正しすぎる拳(前編)(8/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:23:17 ID:TXL/3I8f
「まだ何か?」
「ええ、一言だけね」
梨花は、もうケリは突いたと思いこんでいる変態坊主に向かって走り。
ブレスレットを付けた拳を突きだして絶叫した。

「この、ド変態坊主ッ!!」

     * * *

その支給品の名前は『勇者の拳』という。
普段はお洒落なブレスレットの形をしているが、使用時は巨大な拳に変わる。
それは本来も武器と言うより、勇者である事の証を立てる為の物だ。
入手、そして使いこなすための条件は一つ。
世界に満ちるおかしい事に対して『それはおかしい』と誅す事。
その勇気によって勇者である事を証明する勇者の証なのである。
これらを意訳するとこうなる。

『勇者のツッコミ』

その意訳や使用例『ツッコミ所のある所で使いましょう』、
『正式名称“恥ずかしの拳”(勇者“ああああ”命名)』などという
頭が変になりそうな説明書きから梨花はこれを外れだと判断した。
実際、相手にツッコミを入れられなければ使えないのだからどうしようもない。
そんな敵に襲われる珍しい事態などそうそうあるわけがない。
命を取り合う危険な島でそんな事をしている奴など居るものか。
ここはとても恐ろしい島なのだから。

…………さて。
突然だがここで、一休さんの状態を整理してみよう。

・頭に被った赤ブルマ
・それから考えて女生徒の物と思しき体操服着用
・保健の教科書が懐から覗いている
・手にはリコーダー(女生徒の物と(略))を握り、吹くところは妙に濡れている
・所々絶妙なポイントに白い汚れ有り
・怪しい薬で少女を無力化
・オトコデオカシマス(男(***の隠語?)で*します)


………………………………………………………………南無阿弥陀仏。


梨花の手に填められたブレスレットが一瞬で変化。
1mはあろうかという巨大な石のゲンコツと化す。
梨花の手はそれに包まれるが、重みは無い。だが、その威力も腕力では引き出せない。
その威力は全てその時に発現した言葉の力が決定する。
今回は言うまでもなく、殆ど最高値。
――むしろ振り切れていた。
「なんでゴグゲピッ」
声は変な音に叩き潰され、一休は叩き跳ばされた。
背後にあるのは教室の扉。一休は扉に叩きつけられ……
ちゃちな金具は衝撃を止めきれず千切れ弾けて、扉も飛んだ!
そのまま吹き飛ぶ一休と教室の扉は廊下を横断!
廊下の窓に叩きつけられ、窓を破って落下する。
一休は教室の扉と割れた窓ガラスと共に、植え込みの木に向かって墜ちて――


騒音は、梨花達の居る教室にまで響き渡った。



325 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(1/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:24:08 ID:TXL/3I8f
(…………死んだ、かな)
少なくとも普通の人間なら4階の教室から墜ちただけで死因としては十分だ。
その前の打撃に至っては……普通でない人間でも耐えきれない気がする。
(殺す事は無かったんだけど)
いくら変態の性犯罪者――彼女達のこの誤解は完全に定着していた――とはいえ、
殺し合いに乗っていたとは限らない。
それなら殺すほどの理由とは言い切れない。
……殺しても心がそれほど痛まない位の理由では有ったが。
(とにかく生死を確認して、それからここを離れなきゃまずいわね)
さっきの騒音は1階から4階まで聞こえたほどだ。
恐らくは無惨な情景を晒し人を怯ませているだろうが、逆に集まる者も居る。
リンクも心配するかも知れない。
だけどその前に……

「本当に助かったのですよ、灰原哀」
危機を脱する事が出来た功労者に改めて礼を言う。
あの時に灰原が勇者の拳を手渡してくれなければどうなっていた事か。
「あなたのおかげなのです」
「……そう。良かったわ」
哀は冷淡に答え、それに相反する熱っぽい笑みを浮かべた。
梨花は眉を顰める。
(まだ薬の効果は抜けてないようね。慎重に対応しないと)
とにかくこれを聞かなければならない。
成り行きで捕縛してしまった灰原哀を連れて歩くか決めるために。
「一つ、哀に訊きたいのです。良いですか?」
「……内容によるわ」
「哀は、これからどうするつもりなのですか?」
「………………」
灰原哀は対価として梨花に質問しようかと思った。
灰原にとっては梨花の方が謎の塊だ。
なぜ自分を生かしたのか。
目的が読めない。
なぜその幼い外見にそぐわないものを内に秘めているのか。
素性が判らない。

――だけどそんな事はどうでも良いとも思った。
(今更、興味や好奇心を持ってどうなるというの。
 “これからどうする?”、ね。正鵠を射た問い掛けだわ)
「それは私にとってとても重要な問いよ」
「……答えてもらえないのですか?」
「そのブレスレットを貸してくれれば答えるわ。気になる事が有るの」
灰原哀の指差したソレは言うまでもなく、“勇者の拳”だ。
巨大な拳の形は攻撃の後すぐに消え去り、元のブレスレット型に戻っている。
限定された相手に対しては武器として使える支給品。
(…………どうしたものかしらね)
確かに先程一休に使用した時の威力は驚異的な物だった。
あれだけツッコミ甲斐がある相手だったのだから当然だろう。
逆に言えばあんなぶっ飛んだ敵にしか使えないはずだ。
だけどもしも使えたら……
(私の腕力は低下している。
 哀はあのリングで何かをしようとしている。攻撃かもしれない。
 でも哀は這い蹲って体勢が悪く、手錠も掛かっている。
 ブレスレットを向けてツッコミを叫ぶまでには先手を打てる。
 それに……あまり長く問答していられる状況じゃない)
結論は出た。

326 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(2/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:24:41 ID:TXL/3I8f
梨花は先程落としたモップを拾い上げて保険を張ってから、灰原に勇者の拳を差し出した。
「……どうぞなのです」
「ありがとう」
灰原哀はブレスレットを受け取り、それを腕に填めた。
梨花の警戒する中、灰原哀はその腕を誰にも向けず静かに語り始める。
「それじゃ話しましょうか。私のこれからと、それに連なる理由をね」
「手短にお願いしますのです」
「ええ、判ったわ。手短にしましょう」
哀はその場の緊張に似合わない陶然とした笑みを浮かべて、話し出した。

「ねえ、あなたはこの夢をどう思う?」
「……夢、ですか?」
「ええ、夢よ。……私にはそれ以外にこの世界を説明できる言葉を知らないわ。
 世の中には、にわかに信じられない事があるのは知っている。
 私や探偵君がこの身で体験した事だって常識の枠の外にある。
 それでもこれは夢よ。信じがたい夢……」
「………………」
確かにこの世界は余りに非現実的だ。
魔法。冥王。救世主。異世界。殺し合い。
どれをとっても常識人の理解を超えている。
(……ある意味、当然か。
 例えば悪の組織の陰謀といった理屈の上では現実に起こりうる話でさえ、普通の人なら信じない。
 神の実在は目の前に現れ、あるいは何かを為さねば信じられない。
 荒唐無稽な予言は当たった後で顧みられる)
信じないなら、どこかで辻褄を合わせなければならない。
狂った歯車で動き出した世界がおかしいのか。
それとも世界が狂って見える自分がおかしいのか。
灰原哀は後者、自らの視点に原因を求めたのだ。
世界は何事も無く回っていて、これは自分が見ている夢幻に過ぎないのだと。
(でも……それじゃおかしい)
梨花の疑問を気にもせず、灰原は話を続ける。
陶然とした笑みを浮かべたまま。
「私はこれを、罰だと思うの。私の罪に対する、罰」
「罪と、罰?」
「そう。私は罪人だもの。人殺しの薬を作ってしまった、罪人」
……涙を流して。
陶然とした笑みを崩さぬままに涙を流して。
言った。
「そんな私が……他を押し退けて生き残って良いはずがない」
「な……っ!!」
すっと。
灰原は勇者の拳を身につけた手を、抱え込むように自らに向ける。
そして、叫んだ。

「どうして私なんかが生きてるのよ!」

それは彼女の定義した“過ち”を誅す言葉。

     * * *


327 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(3/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:25:19 ID:TXL/3I8f
「あいたたた……まったく、ひどい目に遭いました……」
そこは1階の廊下。
正確には窓から1階の廊下に入った所だ。
一休はそこに居た。
しっかりと、生きて。
「九死に一生を得るというのはこういう事を言うのでしょうね」
人間は簡単に壊れる一方で意外な頑丈さを見せる事も有る。
頭に被っていた赤ブルマや懐に入れていた教科書は、勇者の拳の衝撃を緩和してくれた。
それは僅かなものだが、それにより跳ね飛ばされた背後に扉が有った事も幸いした。
一休と共に弾け跳んだ扉はその後に窓を割った時もガラスから身を護り、
更に植え込みの樹に向かって墜ちた時、百舌のはやにえになる事を防ぎ、
それどころか衝撃を広く吸収し、樹をよくしなるクッションに変えてしまった。
結果、普通の人間なら5回位は死ねそうな経緯を生き延びるに至ったのだ。
『奇跡の生還!』などという特集が組めそうな悪運である。
ついでに赤ブルマや保健の教科書やリコーダーを失ったのも本人は知らないが幸運だ。
しかも墜ちた近くの窓から廊下に入ると、目の前に有ったのは保健室である。
どうやら簡単な治療を行う部屋らしいという事は調べがついている。
「いやはや、運が良いのか悪いのか」
意味不明な理由と手段で叩きのめされ死にかけたのはどう考えても不運だろうが、
それを抜けて無事だったのは運が良いと言って良いだろう。
苦笑いしながら一休は保健室の扉を開けた。
――中に居た二人の少年と対面した。

「お、おや。先客ですか」
流石に一休の顔が強張る。
奇跡的に生き残ったとはいえ軽傷とは到底言えない状態だ。
こんな状態で、しかも年下に見えるが“まともな武器を携帯している二人”に襲われたら絶体絶命だ。
しかし眼鏡(一休にはギヤマンと金具の奇妙な組み合わせとしか判らなかったが)の少年が言う。
「そういう事だな。まあ、オレ達は用が有るからすぐ出ていくけどな」
幸いにも、警戒している様子は有るものの戦うつもりは無いらしい。
不干渉。
彼らが今求めるのはそういう事のようだ。一休はホッと安堵の息を吐いた。
「待ってください。さっきの凄い音はあなたですよね。一体何が有ったんですか?」
「それは……」
もう一人の少年の問いに一休は少し考え、すぐに結論する。
ここは明かした方が良いだろう。ただし部分的に。
「先程、4階で襲われてしまいまして。いやはや危ないところでした」
「襲われた? どんな人ですか?」
「ネギ、気になるのは判るが今は急がないと……」
「黒い髪の女の子でしたね。
 ああ、それとそこのあなた位の……少し赤っぽい茶髪の子も居ましたっけ。
 手枷のような物を付けられていましたが」
「な……っ!」
二人の少年、ネギとコナンは息を呑んで目を合わせる。
「確かコナン君が捜してるのって……」
「ああ。……お坊さん、その子の名前とか判らないか?」
「名前……ですか?」
そういえば最後に襲ってくる直前、何か聞こえた気がする。
あの時はそれどころではなくなってしまったが、確かそう……
「古手梨花……それと…………灰原哀、でしたか」
「――――!」

     * * *


328 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(4/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:26:13 ID:TXL/3I8f
「…………チッ。また人が増えちまった」
「ケケケ、ゴ愁傷様ダナ」
メロとチャチャゼロ。
悪党と悪人形は少し離れた場所からそれを見ていた。
静かに密かに物陰に潜んでいる。
「しかし四階から叩き落とされて無事とはどういうガキだ。
 運が良いのか、それとも何か魔法の品でも持ってやがるのか」
「魔法ッテ感ジハシナカッタゼ? 多分ダケドナー」
「ラッキーボーイだろうと、何かを持っている可能性は有るな。
 四階の方は……動きが無いなら放っておくか。教室の扉ごと外まで吹き飛ばす火力だ。
 そんな怪物を相手に出来るかよ」
「ケケッ、慎重ダナ。ケドヨ」
チャチャゼロがケラケラと笑って囃し立てる。
「ソンナ調子ジャア、三人殺ルノニ日ガ暮レチマウゼ?
 にあッテ奴ニ負ケチマウンジャネーノ?」
確かにこれまでにメロが敬遠した獲物の数は十指に届こうかという程だ。
襲った数は二名、仕留められたのは一名だけ。
慎重で着実な成果と言えるが、十分な早さとは言い難い。
ニアより先にジェダをやりこめるメロの目的からすればもう少し殺害数を稼ぎたい。
「別に狙ってる奴が居ないわけじゃない。何処かで危ない橋も渡らないといけないからな」
「ホウ? デ、ドコヲ狙ウンダ?」
「保健室だ」
「オイオイ、ソコハヤベェンジャネーカ?」
そこは現時点の情報において最大戦力であるネギと、それ以外に二人もの人が居る。
同じ三人でも漁夫の利を狙える裏校庭の方が一見マシに思えるほど。だが。
「今すぐ襲うわけじゃない。
 ……正確には今保健室に居る連中の、ネギって小僧以外が狙いだ。
 どうやらネギと眼鏡のガキは他にも仲間が居るみたいだ。
 多分、裏校庭に駆け付けた二人のどっちかがそうなんだろう。
 そっちの方に行こうとしている様子が見てとれるからな」
「向コウカラ来ルカモシレネーゾ?」
「駆け付けるなら保健室から戦場に、だ。逆は無い。
 考えてもみろ、どうして奴らは仲間を一人戦場に行かせて保健室に居る?」
「アア、ナルホドナー」
それはつまり、ネギと同行している一人は単独行動に不安が残る戦力なのだ。
だから応急処置の為にネギという戦力が付いた。
無防備になってしまう応急処置の最中に襲われても対抗できるように。
「それでも剣は持っているし、支給品ならこの天罰の杖の様に特殊な力が有るかもしれない。
 だがそれでも“戦力的に不安がある”事は間違いない。
 小坊主の方に至っては武器は懐に有るか無いか、しかもあの怪我だ。
 あの二人なら不意を突けば十分狙える」
メロは合理的に狙いを定めていく。

「ナア、ミンナシテ裏ニ行ッタラドースンダ?」
「その時は……また次の獲物捜しだ」
「ナンダヨ、マタソレカヨー」

息を潜めて待っている。

     * * *


329 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(5/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:27:51 ID:TXL/3I8f
カツ、という音がして。
次の瞬間、木の棒がへし折れる音がした。
「く……っ」
「え……?」
二種類の音が漏れる。
梨花の振り下ろしたモップは灰原の手錠の鎖を引っかけてその方向をねじ曲げた。
その腕に纏われた勇者の拳は梨花のモップを叩き折る。
灰原哀は、また生かされた。
古手梨花によって。
梨花は内心で冷や汗を流す。
「そういう使い方も出来るわけね……思ったよりも強力な代物じゃない」
勇者の拳の本質は『おかしい(と感じた)事におかしいと言う事』だ。
多少こじつけでも発動するし、おかしいと思う事は人それぞれだ。
例えばこの殺し合い自体を間違っているとするならば、殺し合いに乗った者達も否定できる。
今回の威力は先程よりは遥かに見劣りしたが、それでも当たる所に当たれば人が死ぬ。
(この使い方さえ判っていればリンクに渡しておいたけれど……そうすれば変態に負けていた。
 それにリンクならきっと大丈夫、だから今はそれよりも――!)
――それよりも今、彼女はなんて言った?

「『どうして私なんかが生きてるのよ』?
 ふざけないで。あなたを生かしてくれた人が居たからでしょう?」
「それは……」
何故判るのか。
灰原の顔に驚愕が浮かぶ。
「そんな言葉が出てくるなら居なかったわけがない!
 『私なんか』と言うのなら、あなたを護り助けた人が居たはずだ!
 それを全部放り出して死ぬつもり!? 願いも遺志も踏み躙って!」
「………………」
そう、確かに灰原は助けられて生きている。
『組織』から逃げた時、阿笠博士に助けられなければ死んでいた。
だから……もしも『組織』に正体がバレそうになれば自分の存在を消してでも巻き込みたくないと思っている。
江戸川コナンこと工藤新一にも助けられた。
だから……この島で彼が生き残る可能性を自らの一人分だけでも高めたいと思った。
そして……灰原哀の姉は…………。

「だから、そんな理由で死を選ぶなんて私は許さない。許すものか」
古手梨花が近寄り手を差し伸べ。

灰原哀は絶叫した。
「どうして私なんかを助けるのよ!」

――暴発した。
跳ね飛ばされた小さな体はくるくると宙を舞い、机の群に叩きつけられた。
飛び散った血が灰原の顔に……かかった。

「……あ…………」

     * * *

「ネギ、おまえは急いで小狼の方に向かえ」
その言葉にネギはギョッとなる。
「コナン君!? ダメだよ、一人でなんて!」
「バーロー、罠の方に一人で行ってる小狼の方がヤバイっての。
 無茶はしねーよ。様子を見て、必要だったら動くだけだ」
「必要だったらって……」
それでもネギには不安が残る。
小狼はどうやら東洋系の魔術師のようだった。
ネギ自身は言うまでもなく魔法使いだ。
しかしコナンはそういった特別戦い慣れた人間ではない。
単独行動で、それも危険人物の様子を窺うのは危険なのではないだろうか?

330 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(6/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:29:19 ID:TXL/3I8f
コナンは笑って首を振った。
「心配いらねーよ。
 確かにオレはおまえみたいな魔法は使えないし、格闘技だって大した事無い。
 ただの人間だ。そう、オレは……」
江戸川コナンこと工藤新一はただの人間だ。
サッカーが得意なスポーツマンではあったが、格闘技も魔法も学んでいない。
その上にその体は子供と化していて、荒事には随分と頼りない。
もしも一休の言葉が本当なら殺し合いに乗った危険人物が相手になるのにだ。
(違うな。この坊主は全てを語っていないか、嘘を吐いている。あるいは誤認している)
少なくとも古手梨花という少女は全参加者を無差別に殺すつもりは無いだろう。
灰原哀に手錠を掛けて捕らえていたという事は、生かしているという事だ。
少なくともすぐに殺すつもりが無い事だけは明白だ。
目の前の坊主が何故四階から叩き落とされたのかは判らないが、そこには必ず理由が有る。
その理由を導き出せば自ずとどうすれば良いかも明白となる
コナンはそこまでの推論を短い時間で弾き出す。
コナンにはこの武器がある。名探偵工藤新一の頭脳がある。
体は子供、頭脳は大人。
それが彼の今の名。

「江戸川コナン。探偵さ」
コナンは不敵な笑みを浮かべて、宣言した。

「…………判った。それじゃコナン君も、気を付けて」
「おまえもな、ネギ!」
パンっと手を打ち合わせ、二人はそれぞれの目的を持って…………散った。

――悪党はそれを見ていた。

     * * *

「あ………………………あはっ…………」

灰原哀は………………笑っていた。
「は……はは…………くすっ、ふふふ………………ふふ…………」
甘美で破滅的な熱情に身を焦がされて……笑っていた。
古手梨花に一時的に吹き飛ばされ、殺意への緊張が凍らしていた炎が、溶けていく。
薬のもたらす発情に呑まれていく。
フォクシーの効果は3〜6時間。まだ効果は持続している。
手錠が填ったままの不自由な手で体を抱き締める。
鎖が食い込む。
身も心も縛られる
とてつもなく濃密で甘ったるい……絶望へと溶けていく。
「本当に……なんて罪深いのかしらね…………」
その罪悪感すらも苦痛に変わり、更に快感へと変わり果てる。
罪に快感を感じている事さえも新たな罪悪感の火種に変わる。
終わらない悪循環。
罪と罰の両方が心を溶かして犯していく。
灰原は吹き飛ばされた梨花を見た。
机の群に叩き込まれた梨花はピクリとも動かない。
小さな体が動く事はなく、その体の方々には無数の傷がついている。
そう、あれは……

「私が……………………………………………………殺した…………」


331 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(7/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:32:46 ID:LcFiHyst
その言葉を口にした瞬間、全身に電流が走った。
体がおこりのように震えて視界が真っ白に明滅する。
「…………あ………………は………………」
その心地よさに笑えてしまう。
涙がぽろぽろと止まらない。
掠れた笑い声が止まらない。
「……は…………は……は…………は………………」
思考は千々に乱れて纏まらなかった。
それでもやらなければならない事だけは判っていた。
「私は……夢の中でまで…………罪深いのね…………」
これは夢だと、自らにそう言い聞かせながら。
ゆっくりと、ブレスレットに戻っている勇者の拳を向けた。
自分自身へと。
「本当に……なんておろか…………」
そして叱責の言葉を紡いで。
それを舌に。





――乗せようとした。
「そう、あなたは本当に馬鹿ね、哀」
「……………………え?」

幻聴だと思った。
だってそんな事が有る筈がない。
そんなに都合の良い事が有る筈がない。
「何を驚いているの? この世界があなたの夢だというなら都合の良い事が起きるのは当然でしょう」
だけど灰原の視界に映ったのは確かに。
体の所々から血を流し、全身に打ち身を作りながらも。
「それなのに驚いているのはどうして?
 ……それはあなたが最初から判っていたから。
 この世界が紛れもない現実だって事が判っていたからよ!」
しっかりと自らの足で立っている古手梨花の姿だった。

喜ぶべき事の筈だった。……だけど灰原哀はその姿に、怯えた。
「こ、来ないで……」
動揺する灰原哀の言葉を意に関さず、古手梨花は歩き出す。
机の間の通路をゆっくりと進み往く。
「この世界は夢なんかじゃない。そして例え夢だったとしても……死んで良いわけがない」
「私は罪人よ。人殺しの為の薬を作ってしまった、今もあなたを殺しかけてしまった罪深い罪人」
その足取りは確かなものとは言えなくて。
節々が痛むのか、時折揺らぎもするけれど。
「それなら私が赦しましょう」
「な…………!?」
それでもその足取りは止まらない。
その想いは止まらない。
「私は私を傷つけたあなたを赦す事が出来る。だからあなたを赦しましょう」
「……それでも私の罪は……残るわ」
それどころか一歩一歩進む毎に歩みは力を取り戻す。
足取りは確かに、その言葉は力強い響きを増していく。
「それなら哀のやるべき事は自らを滅ぼす事じゃない。罪を滅ぼす事。自らの罪と戦い滅ぼす事よ」
「――――っ!!」
遂に梨花は灰原へと辿り着く。
伸ばした手はブレスレットを抜き取って、万が一にも暴発しないようポケットへとしまい込む。
「……誰もが強いわけじゃないわ。私は……」
今だ弱音を吐く灰原の弱さを。
「変えられないと諦めていたら何時まで経っても変われない!」
梨花はその襟首に手を掛けて。

332 :でにをは、そして正しすぎる拳(後編)(8/8) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:33:39 ID:LcFiHyst

「運命と戦え! 罪を滅ぼせ、灰原哀!!
 だって私達は生きている! だから最後まで生き足掻こう!
 私達はまだ何も終わってなんかないんだから!!」

――魂の叫びで打ち破った。

(生きて……いる……)
灰原哀の胸を過ぎったのは、彼女を助けようとしてくれていた姉の姿。
……姉は死んでしまった。
組織に始末されて死んでしまった。
(だけど私はまだ生きている。だから……生きろっていうの?
 まだそっちに行っちゃダメなの……?
 そうなの? ……教えて。
 教えて……姉…………)
「……………………さん…………」
灰原は俯いて。

声もなく静かに、泣いた。


333 :でにをは、そして正しすぎる拳(報告1/2) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:34:51 ID:LcFiHyst
【D-4/学校4階、4-2教室内/1日目/昼】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:色々と疲労困憊。全身に無数の打ち身と擦り傷(骨折などは無い)。腕力低下(ワブアブの毒)
[装備]:勇者の拳(すぐ取り出せるポケットに入れている)
[道具]:基本支給品、5MeO-DIPT(24mg)、エスパー錠の鍵@絶対可憐チルドレン 、平常時の服
[服装]:体操服。体操着に赤ブルマ着用。
[思考]:灰原の様子を見たい。
第一行動方針:灰原を連れてこの場から離れたい。
第二行動方針:リンクを待つか合流に向かうか。
第二行動方針:同行者を増やす。
基本行動方針:生き延びて元の世界に帰る。ゲームには乗らない。
参戦時期:祭囃し編後、賽殺し編前
[備考]:一休さんの事は変態性犯罪者と認識しました。

【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:健康、目覚め、催淫薬の効果はまだ続いているがほぼ切れかけ
[装備]:エスパー錠@絶対可憐チルドレン
[道具]:基本支給品、ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)
[服装]:子供服。着方が乱暴でなんか汚れてる。
[思考]:罪を……滅ぼす……?
第一行動方針:罪を償うため……私は…………
参戦時期:24巻終了後
[備考]:この世界を現実だと認識しました。
    一休さんの事は変態性犯罪者と認識しました。


【D-4/学校本校舎1階保健室→裏校庭へ移動中/1日目/昼】
【ネギ・スプリングフィールド@魔法先生ネギま!】
[状態]:胸に斜めに大きく浅い傷痕(ダメージ小)。魔力を相当使ってだいぶ疲労。
[装備]:指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
[道具]:なし(共通支給品もランドセルもなし)
[思考]:とにかく急がなきゃ。
第一行動方針:小狼の元へと急行する。
第二行動方針:そちらを解決した後でコナンの方に急行する。
第三行動方針:出来る事なら魔力回復の為休みたい。
第四行動方針:二人(エヴァ&小太郎)と、小狼の仲間(桜)を探す。
第五行動方針:18時のリリスとの約束に遅れずに行く。
最終行動方針:ロワから脱出する
[備考]:
リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
催淫作用は解けましたが、襲ってくる存在には容赦するつもりはないようです。

【D-4/学校本校舎1階保健室→4階教室へ移動中/1日目/昼】
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:右腕骨折(応急処置済み)
[装備]:はやぶさの剣@ドラクエ
[道具]:支給品一式、バカルディ@ブラックラグーン、銀の銃弾14発、
   シルフスコープ@ポケットモンスターSPECIAL
   蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン
   殺虫剤、リリスの食料と飲み掛けの飲料水
[思考]:灰原哀の居るらしい四階教室に向かう。
第一行動方針:四階教室の古手梨花と灰原哀を捜索し、見つけたら様子を見て慎重に行動。
第二行動方針:ネギ、小狼の仲間を早めに見つけたい。
第三行動方針:リリスを倒す為に協力してくれそうな人物を探す。
最終行動方針:ロワから脱出する。
[備考]:リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
 バカルディと飲み掛けの飲料水は、リリスが口をつけたため弱い催淫効果を持っています。
 一休さんの情報は部分的にのみ信じています(灰原哀が手錠を掛けられ囚われているなど)。


334 :でにをは、そして正しすぎる拳(報告2/2) ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:36:32 ID:LcFiHyst
【D-4/学校本校舎1階保健室/1日目/昼】
【一休さん@一休さん】
[状態]:軽くはない傷(勇者の拳で吹き飛ばされ四階から転落し奇跡的に助かった)
[装備]:シャインセイバー(サモナイト石)@サモンナイト3
    体操着(着物の下)、教科書(服の下に仕込んである。保健は無くした)
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末(残2)、カプマゥの煎薬(残3)、ネコンの香煙(残3)、紅皇バチの蜜蝋(残3)) @うたわれるもの
体操着袋、チョーク数本、雑巾、ブリキのバケツ、ホース数m、教科書数冊
[思考]:さて、どう動いたものでしょう。さっきの少女は危険人物と考えるべきでしょうか。
第一行動方針:あわてない、あわてない。
第二行動方針:どう立ち回るか考える。
第三行動方針:驚く事ばかりだけれど、周囲への理解と食料の確保をしたい。
第四行動方針:余裕があれば、森にでも骨格標本を埋葬し供養したい。
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する。
[備考]:懐と体操着袋とバケツに細かい荷物を分けて入れています。
水道の使い方、窓や扉のカギの開け方を理解しました。
ブルーを不思議な力(スタンガン)を持った神仙または学術者の類と思っています。
※:負傷の程度は軽傷や即死物で無いという事以外は不明です。次の話で決定どうぞ。


【D-4/学校本校舎1階、保健室より少し離れた場所/1日目/昼】
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:軽い打ち身と掠り傷。
[装備]:天罰の杖@ドラゴンクエストX、賢者のローブ@ドラゴンクエストX
[道具]:基本支給品(ランドセルは青)、チャチャゼロ@魔法先生ネギま!
   ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン(ちょっと不調)
[思考]:機は熟した!
第一行動方針:ネギと別行動になった江戸川コナンと一休さんを襲い、殺害する。
第二行動方針:保健室で物資を調達する。
第三行動方針:『3人抜き』を達成し、『ご褒美』を貰い、その過程で主催側の情報を手に入れる。
第四行動方針:どうでもいいが、ドラ焼きでなく板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい。
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く。
[備考]:ターボエンジン付きスケボーは、どこか壊れたのか、たまに調子が悪くなることがあります。



【勇者の拳@魔法陣グルグル】
普段は綺麗なブレスレットの形をしている。
勇者専用装備の一種だが、『勇者しか装備できない』のではなく、
これを『使いこなす事で勇者と認められる』言うならば勇者の証である。
このロワイアルにおいては誰でも使えるようになっている。

使用方法は腕に身につけ、拳を突き出しながらツッコミを叫ぶ事。
瞬時に1mほどもある巨大な石のゲンコツと化す。
重そうにする様子は無く重量は軽いようだが、威力も腕力に寄らずツッコミの強さで決まる。
追い回されて「イタチごっこかよ!」、ゴーレムに向かって「岩かよ!」など、実は割と応用が効く。
ただしツッコミである以上、一つのツッコミ所に対するツッコミは一回までである。
ちなみにツッコミとはいうがこれはニケ達の意訳であり、『おかしい事におかしいと言う』事がその本質である。

余談だが、ニケがこれを入手し記録天使に勇者の名前及び拳の名前を聞かれた時、
神様がお読みになるだけでなく永遠に記録されるという説明にニケが慌てふためいた為、
『恥ずかしの拳(勇者ああああ銘々)』というとんでもない名前になってしまった。
この名前は説明書きにもしっかり記載されている。

335 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 11:41:01 ID:LcFiHyst
投下完了。えらい所で連投規制喰らってもたつきましたがw
一部キャラは微妙に自信無いので少し不安有ったりします。

336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 11:53:23 ID:EO7dn8LU
一休wwwwwwwwwwww誤解ふりまきまくりんぐwwwwwwwww

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 12:05:14 ID:yLgEFhqN
乙。
嗚呼、一休。一応聖職者なのに……
一休さん、不幸キャラ認定されそうだな。

338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 12:09:27 ID:0onLEvzI
一休にとってイヤな形での包囲網が結ばれつつあるwww
勇者の拳を持ってきたのはうまいなあ。
腕力いらず、汎用性・応用性高し、使い方に慣れればかなりの当たり武器かも。
なによりこの話のように、燃え展にもギャグ展開にもいい演出を添えられそうだ。

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 12:35:54 ID:snt02loh
確かにツッコミどころ満載だwww
変ッ態! 変ッ態! 包囲網! 包囲網!

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 13:08:45 ID:9iJm0LJx
一休さんのモノローグに「アピール」って言葉が出てくるのが気になる
後はワロタw

341 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/29(木) 13:56:03 ID:LcFiHyst
一休さん周りウケすぎw
ともかく感想ありがとうございます。

>>340
あ、ほんとだ、うっかりしてた。
「アピール」という所は「強調」に置き換える事にします。
wiki収録時で良いかな、細かい事だし。

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 14:40:32 ID:yajUm6Ll
>>341
とりあえず一言。

なんでやん。突っ込みどころがあるすぎるわ、ほんま。

勇者の拳は関西人に渡って欲しい。むしろ、はやてに。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 15:06:52 ID:2ugfhbYt
梨花から灰原への叱咤の台詞、勇者の拳で滅殺パンチと燃え展開続出。
熱い、熱いよ。やっぱロワ内友情こそ、ロワの華だよ。
……とか言いつつも、一休さんへの誤解が面白すぎて、ギャグ展開色ツヨスwww
多くの女性陣から変態として認識されてる不幸さが笑えるw

ところで
>それなのに灰原は梨花に……いかされた

あえて「生かす」の漢字変換をしない高等テクニックに痺れました><
お兄さん、流石わかってるね!

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 18:08:05 ID:wgfCYSLv
一休…この変態っ!!

345 : ◆tF8w7KK0cU :2007/03/29(木) 21:18:22 ID:EDJcO4h+
乙、笑いまくった。そして吹いた。
よくもまぁ、一休をここまでしたもんだ。本物が天国から見てたら、どうなる事やら……
それと、灰原。
自分が書ける数少ないキャラの一人なんで、愛着が強いです。
夢から覚めたみたいなんで、これからの行動が楽しみ。
ところで、夢フラグ立てたのって誰だっけ?




追伸。
かなりのプレッシャーを感じました……
あなたのSSをパロろうと思ったのは無謀かも知れない。

投下、少し遅れそうです。

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/29(木) 23:13:42 ID:LvU8uHbr
>>335
最近ひぐらしの漫画版読み始めて、まだ綿流ししか読んでないから、
まさか梨花から燃え成分を補給できるとは思わなかったぜ。
主人公死にまくりだから燃え展開できるキャラはおいしいな。
当然、笑いも補充できたw

347 : ◆0e1.qJAPw2 :2007/03/29(木) 23:21:50 ID:KcZMwZ8u
年度末進行をなめていた……
きり丸・のび太・キルア・太一の予約を取った者ですが、どうやら今日中の投下は無理そうですorz
一応予約は破棄という形にして、再予約されていない場合に限り後日無予約で投下しようと思うのですが、よろしいでしょうか?

348 : ◆tF8w7KK0cU :2007/03/30(金) 00:33:48 ID:TrBRMxcF
三宮紫穂投下です。
遅れてスイマセン。


あと、パロってスイマセン。一応、本人の許可は取ってますが……

349 :禁忌『スク水バージン』 ◆tF8w7KK0cU :2007/03/30(金) 00:34:37 ID:TrBRMxcF
 ──現状、三宮紫穂は全裸である。
 理由は簡単だ。ネギの魔法を受けた。
(全身タイツと、『えう゛ぁ』と書かれたスクール水着が私の着衣。
神社を探せば他にもあるかもしれないけど、可能性はそれほど高くないわね……
まともな衣服がないのは単なる偶然、それとも……ジェダの趣味?)
 境内を探しても衣服がある可能性は低いし、仮にあった所でジェダのセンスは信用ならない。
 そも、彼女はバベル以下のセンスの服を求めてなどいなかった。
 三宮紫穂が望むのはセンスのいい着衣、ただそれだけだ。
 タイはない。
 帽子もない。
 制服は花びらに姿を変え、魔法と共に死んだ。
 ミニスカから覗く下着さえ空気に溶け去り、自身の花びらを晒した彼女はもう、全裸だ。

 親友、明石薫発案の元にバベルが作成した制服は、三宮紫穂の超能力を活かす制服でもある。
 皆本を除く大きいオトモダチに、あの制服がどう見られていたのかは、能力で知っていた。
 今になって思えば、「肉を切らせて骨を断つ」などというエロサイコキノの浅慮さえ懐かしく感じられる。

 先程の戦いで、名も知らぬ魔法使いの底力を見た。
 先程の戦いで、見た目幼い少年の計り知れぬ知力を感じた。
 けれど、サイコメトラーとして千億の暗闇を知り尽くした紫穂には、彼らと闘う能力がったはずだ。
 膨らまない胸元が、青い果実の魅力を惹きたてる。
 肩幅に近いベレー帽が、ロリ好きの心を奪い去る。
 いけない物がチラリと覗くミニスカは、男の息子を奮い立たせる。
 もしもあの時、制服の力を自分が最大限に発揮していたら、戦闘の勝者は入れ替わっていたはずだ。
 今になって失ったものの大きさに気付く。
 自身の能力、制服の特性、発案者の性格。失う前に気付けるファクターは多かったはずなのに。

350 :禁忌『スク水バージン』 ◆tF8w7KK0cU :2007/03/30(金) 00:35:23 ID:TrBRMxcF
 制服を失うまで、その有用性に気付かなかった理由は1つ。
『単純に恥ずかしかったから』
 どれ程人の闇を覗いてきたとしても、紫穂は高々10歳の少女。
 ごく稀に例外的なエロオヤジも存在するが、アレはアレなので置いておくとして。
まっとうな10歳の少女が、チラリズムやエロリズムを戦闘にイカせるはずもない。
 特に相手が男2人の場合、最終的にヤれたとしても、その途中でヤられる可能性が高い。
 男の下半身に理性はないということを紫穂は10歳にして知っているし、10歳ゆえにその身だけは穢れを知らない。
 だからこそ、制服の有用性、活用方法には気付けなかった。
 けれど、これからの戦いではそんな甘えは許されない。
 『不意を突く』必要性をコナンとネギから学んだ。
 不意を突くために必要な短刀も手に入れた、普段使い慣れている銃器も手に入れた。
 あとはサイコメトラーとして、より高みを目指さなければならない。

 ふと思う。
 このような決意ができたのだから、一度ぐらいの全裸も悪い事ではなかったと。
 ある意味で、使い慣れた銃を手にしてしまった事は甘えに繋がる道でもある。
 先の戦いで馬鹿正直に剣を使ったのも『剣は武器だから』と言う思い込みがあったからだ。
 だからこそ武器に甘え、サイコメトラーとしての能力を活かす術を考えようともしなかった。
 その結果は、惨憺たる敗北だ。
 今も、銃や仕込みナイフを手にしている。
 自分が服を着たままであれば、反省せずに同じことを繰り返しただろう。
 そして、いつまでも国内唯一のレベル7サイコメトリーを単なる『マニュアル代わり』にしか使わなかったのではないか。
 『マニュアル代わり』なら、何のためのレベル7か。
 レベル7とは、単に6より上というだけではない。もう一つ、上限がないという意味も持っている。
 超能力区分に、レベル8は存在しない。
 単純な考えで見れば、レベル6より上は全て7であり、同じレベル7でも上と下では1と6以上の差もありえる。
 紫穂はそのレベル7に属する。自分がそこの上位に入るか、下位に入るか、彼女はまだ知らない。
 けれど、世界最強である可能性を秘めた少女ではある。
 だからこそ、『マニュアル代わり』の能力からは卒業すべきだ。

351 :禁忌『スク水バージン』 ◆tF8w7KK0cU :2007/03/30(金) 00:36:17 ID:TrBRMxcF
 さて、そう考えるとこれからの着衣選びは慎重に行わなければならない。
 にもかかわらず、まっとうな衣類は紫穂に与えられていない。いや、むしろ……
「……ある意味、まともなのかしら……」
 スク水も、全身タイツも決して着たいと思うような服ではない。というか、燃やして捨てたい服だ。
 けれど、上のような決意をした以上、実のところ、このような服こそが紫穂にとって必要なのかも知れない。
「でも、嫌なものは嫌なのよ」
 どこの世界に、スク水を着て陸を歩き回る子供がいるのか。
 どこの世界に、全身タイツを着て殺し合いをする子供がいるのか。
 紫穂が求める『マニュアル代わりでない』能力の活用とは、例えばセンスのいい服を着て誘惑するとか、そういうことだ。
 もちろん、そこにエロリズムがあればなお良しだが、ストレートなエロは望むところではない。
 チルドレンにおけるエロの権威、明石薫はチラリズムを制服に応用した。
 そう、応用するのはチラリズムでいいのだ。スク水やタイツまで行くと行き過ぎている。
 しかし、さりとて……
「ここに他の服はないわけで……」
 結局のところ、どれ程悩んでも無駄に時間を費やすのみ。
 それであれば、今すぐにでもこれらの服を着たほうがよいというものだ。

 紫穂は全身タイツをとる。
 平仮名で名前の書かれたスク水はさすがに恥ずかしすぎる。
 まだ、こっちの方がマシと思ってこれに全身を通すのだ。無論、これは一時凌ぎに過ぎない。
すぐに、まっとうな服を手に入れて着替えるつもりだ。

 彼女が袖を通した全身タイツは、大人用のものだった。長すぎるために、四肢に大きな皺を作ってしまう。
「でも、スクール水着よりはマシね」
 そう考えて、スク水の方をランドセルに仕舞い込む。そして、いつもの癖で全身タイツを読む。
「これは……犯罪者が使ったものね」
 殺人者が着用していた服。悲壮な決意で完全犯罪を志したにも関わらず、眠りの名探偵にあえなく敗れていった敗北者の服。
 けれど、これは紫穂にとって敗北の証にはならない。
「私なら、絶対に負けないわ」
 どんな探偵だろうと、ノーマルである以上自分を超える事はできない。
 だから、この服を着ていても特に気にする事はなかった。次の記憶を読むまでは。
「え……何? これ、この映像は……」
 慣れ親しんだサイコメトリーの力により、流れ込む景色。犯罪以外の全身タイツのもう一つの使用方法。
 俗に『コスプレ』と呼ばれる用途にこの服は使用されていた。プレイ名称は『逮捕しちゃうぞ』。
 婦警に扮した女性と、犯罪者に扮した男性のあられもない遣り取り。

352 :禁忌『スク水バージン』 ◆tF8w7KK0cU :2007/03/30(金) 00:37:18 ID:TrBRMxcF
    * * *

 突然ですがここでお知らせです。
 都合によりこれ以降は音声及び効果音描写だけでお伝えします。
 健全な回想をお楽しみ下さい。

    * * *

「ん……」
 不自由な拘束衣で、もがく声が聞こえる。
 カチャカチャと、手錠を外そうとする音が聞こえる。
 その音を遮るように、チュパチュパと唾液のはじける音がする。
「動いちゃ駄目、君はスピード違反をしたんだから」
 逮捕された男の上を、婦警の指がピアノを弾くように動く。
 時に激しくフォルテシモ。時に優しくピアニシモ。
 全身タイツと言う黒い鍵盤の上を踊るように動くピアニストに、タイツの下の小さな観客がスタンディングオベーション。
 ピアニストは、彼の喝采に答えるべくさらに演奏を強めていく。
 ピアニストの指と、観客の頭は一枚の薄い布に遮られながらも、触れ合い、寄り添って、愛情を深めていく。

 そして……

    * * *

 気がつくと、三宮紫穂は全身タイツをズタズタにしていた。彼女は再び全裸だ。
 短刀を手にしたその表情には、怒りと悲しみが浮かんでいる。

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:38:00 ID:TrBRMxcF
「皆本さん、私……汚れちゃった……」
 こんなものを支給したジェダは決して許す事ができない。皆本にのみ許されたはずのアレが、こんな形で散らされてしまった。
もちろん、彼女自身の体は全くの無事なのだが、そんな気分ではない。これは精神的な問題なのだ。
 心の陵辱、言い換えればセクシャルハラスメント。
 大切な、二着のうちの一着はズタズタになったが、これは不可抗力の事故として諦めよう。
 そして、こんな辱めを与えたジェダ、コナン、ネギの3人は絶対に許さない。
「あの3人は、ただ殺すだけじゃ足りないわね……」
 もはや、エスパーだとか、ノーマルだとか、そんなレベルの話ではなくなった。
 一人の女子として、最大限の屈辱を受けてしまったのだ。その怒りは頂点に達している。
 どんな手を使って堕としてやろうかしら……と、一瞬考えて振り切る。
 あの3人も許せないが、今は何より服が大事だ。そう、彼らに対する復讐は、彼らに会ってから考えればいい。
「でも、その前に……」
 念のために、水着をサイコメトリーで確認する。
 着る前に中身を見ておけば、安心できるというものだ。
「これの持ち主は……変わった人ね。いや、人じゃないみたい……」
 だが、たとえどんな生物であったとしても、紫穂に辱めを与えるような生き物ではなさそうだ。
 こちらの着衣には害はない。
 そう判断して、紫穂はスクール水着を着ようとした。その時である。
「あれ、ちょっと待って。これも制限されている」
 この世界における一つのルール、『制限』。
 ゲーム開始時にジェダが説明していたし、自分自身も能力の制限を感じている。
 しかし、ジェダは能力を持った子供たちに有利すぎるから、と言う理由で制限をかけていたはずだ。
 目の前のスクール水着に制限をかけられる理由は無い。
 けれど、現実にスクール水着には制限がかけられているのだ。
「全く……どこまで変態なのよ……」

 スクール水着にかけられた制限とは、吸光係数の制限。
 この世のあらゆる物質は、大なり小なり光を吸収する。その吸収の仕方によって、物質は白く見えたり、黒く見えたりするわけだ。
 本来、光の吸収とは物質の電子の振る舞いによって変わってくるものだが、そんな事紫穂は知らないし、
ジェダだってその法則に従って吸光係数を制限したわけではないだろう。
 ともかくも、ジェダは超能力でさえも説明のつかない『何かの力』を使って、スクール水着の吸光係数を制限した。
 結果としてスクール水着は、可視域の光に対し吸収が悪くなり、透過性が強くなるという変化をした。

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:39:04 ID:TrBRMxcF
 …………
 まじめに書いてて恥ずかしくなるが、要は透けて見える水着なのだ。それも、微妙にほんの僅かだけ。

「でも、これを着るしかないのかしら……」
 この水着を着たとしたら、自分の乳首はほんのりと輪郭を晒す事になるだろう。
 そりゃ、今みたいに完全シースルーと言う状態よりは見えにくくなる。だが、より一層エロくならないか?
 しかし、どれ程文句を言ったところで、自分にある服はこの一着のみ。
 もはや、これを着るほかに選択肢はなかった。
「これも、薫ちゃんの言った『肉を切らせて骨を断つ』と思えば気が楽かしら……」
 最初に決意した、サイコメトリーの活用。
 それを思えば、透ける水着はある意味で適任かも知れない。
 無論、だからと言って、これを着続けるつもりはない。だって、透けてたらチラリズムじゃないから。



 着用した水着の胸元を確認する。
 目を凝らしてみると、僅かだが輪郭がのぞいている。
「早く他の服を探さないとね……」
 日本最強エスパーの一人、三宮紫穂はそう呟くと何処かへと歩いていった。



【C-4/神社の境内/一日目/昼】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:少し疲労。電撃の痺れが僅かに残る。全裸。
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
[道具]:支給品一式×2、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE
[思考]:新しい服が欲しい。
第一行動方針:真正面からの戦闘に限界を感じ、ステルスor扇動マーダー路線を目指す。
第二行動方針:そのために利用できそうな仲間を探す。
第三行動方針:コナンとネギの2人は殺すだけじゃ済まさない。
第四行動方針:ジェダも許さない。
基本行動方針:元の世界に帰るために最後の一人になる。
[服装]:スクール水着@魔法先生ネギま!

[備考]:スクール水着はジェダの制限により透けて見えるようになっています。

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:40:58 ID:TrBRMxcF
投下終了です。



パロを許してくださった書き手さんに感謝です。

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:41:43 ID:TrBRMxcF
>>354 修正。

【C-4/神社の境内/一日目/昼】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:少し疲労。怒り。
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
[道具]:支給品一式×2、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE
[思考]:新しい服が欲しい。
第一行動方針:真正面からの戦闘に限界を感じ、ステルスor扇動マーダー路線を目指す。
第二行動方針:そのために利用できそうな仲間を探す。
第三行動方針:コナンとネギの2人は殺すだけじゃ済まさない。
第四行動方針:ジェダも許さない。
基本行動方針:元の世界に帰るために最後の一人になる。
[服装]:スクール水着@魔法先生ネギま!

[備考]:スクール水着はジェダの制限により透けて見えるようになっています。


357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:46:48 ID:qPbrpUTs
タイトルにまず吹いた
そして備考にもう一度吹いた

透けるのはジェダの制限なのかよ!w
一人なのに爆笑させてもらった、GJ

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:52:48 ID:lSCvEu39
ちょっ、あの最悪の二択はどっちもハズレなのかよw
スク水を先に着ようとしてたら、こっちが反射的に切り刻まれてたんだろうなぁ……。

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 00:55:35 ID:6KHYuIEd
サイコメトリーはいつもろくなことにならないなw
タイトルに込められた意味が深すぎるwww

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 01:12:01 ID:RqBqBwyC
じぇだ…恐ろしい子ッ!!!

361 : ◆CFbj666Xrw :2007/03/30(金) 03:27:09 ID:VMRN+7O6
>>343
ええ、前に進み行かせるとか読み手によってその他諸々のいろんな読み方が出来るようにしてみました。
真面目な場面ですから。
その他諸々がどう読まれるかは関知せず。見た人の数だけ意味があるのです。
……真面目な場面ですよ?

>>346
梨花は罪滅ぼし終盤で燻り始めて皆殺しで火が点いて最終章でもっと熱血だから、
漫画で見られるのはかなり遅いので気長に待つべし。


>◆tF8w7KK0cU氏
>>344
>ところで、夢フラグ立てたのって誰だっけ?
アンタだ――――!!(しかも媚薬付きでw)

>>355
見覚えのあるタイトルに笑って、読み覚えのある流れに吹いて、究極の選択の解答編でぶっ飛んだ。
何支給してんだよジェダ!?
GJ。とてもGJ。


……学校周辺がバトルに火種にその他諸々沢山で凄い事になってきてるw

362 : ◆aAwQuafMA2 :2007/03/30(金) 03:54:17 ID:6aAl7sgb
申し訳ありませんが、私的な事情の関係で今日中〜明日は投下ができなさそうです。
もしよければ、手前勝手ですが
期限を二日ほど延長させてはいただけないでしょうかorz

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 08:42:04 ID:WPQZkGKU
>>355
ジェダワロタw
そこまでしてロリの服にこだわるセンスに吹いた

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 10:27:37 ID:XLoZwttt
笑えることは笑えたけど、ちょっとどうかと思う
このロワでは正式にジェダはロリコンの変態って設定になるの?

今までは支給品や参加者の人選からロリコンの変態だと参加者に誤解されてるけど、
本来ジェダってムカつくくらい紳士的な奴なんだけどな。
唯我独尊だから他人の都合なんか考えないタイプだけど

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 10:30:55 ID:RqBqBwyC
真面目は正しくて良い事だが、ほんの遊び心を持たなければつまらないものになる



366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 10:37:21 ID:dMzcVg8v
>>364
逆に考えるんだ。
後編まで消失しなければ、なんらかのフラグアイテムになるんだと。

まあ、制限されるようなもんでもないからジェダの嗜好以外で説明がつかない
ということに対しては同意。ほんとなんでだろう?

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 10:49:00 ID:zIRvD/Di
どこまで有りかって話かな。判らないでもないが。
素肌に着る変な服(今回の設定無し時点のスク水など)はこれまでも既に出ていた。
というか催淫薬まで出ていたw
ただ、参加キャラの元世界から無作為に持ってきたと言っても筋は通る範囲。

加工された(制限された)アイテムってのはそう多くないからな。
強力すぎる武器を弱めたり、オリ設定が出てしまう核鉄を制限したり、
あと意志無しポケモンといった(それを出すなら)運営上最低限必要な物が主。
ただしそれ以外にも、ポテチ袋に入った偽死体の首など経緯が不明な物が存在している。

ジェダの深謀遠慮は人間には理解できませんという方向でも筋を通せない事は無いと思う。
流石にこれはダメだろでアウトor修正を要求も有りだと思うけど。

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 11:17:00 ID:2zL+QZC4
ジェダ自信じゃなくて、部下の悪戯とかにしたらどうだろう
もしくは、意図したものじゃなくて、偶然かかった制限とか

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 11:25:49 ID:XLoZwttt
原作アイテムとか実在品なら問題ないけど、これが通しだと極論では
「バリアジャケットは今後にエロコスチューム固定」とかも通りそうで嫌だ。
ネギま本編でスク水を用意したクーネル氏(偽名)の嗜好であれば、何の異論もない。
俺は必然性のない特殊制限が嫌だと思っているだけだから

370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/30(金) 11:33:59 ID:MTe5qvr+
いや、これジェダが制限したってのはあくまで紫穂視点の話だろ。
制限内容や、支給品の詳細まではあくまで現場の人間だけが把握してるのかもしれないし……

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